シュー
魔都では、ギルド委員との会合を定期的に行いダンジョンの現状について話あった。
思い人とは、簡単に会えるものではなかったが、近くにいると思えるだけで心が安らいだ。
一方で、今の自分をなんとかして欲しいと、他の女性と関係を持ったりもしたが、どれもダメだった。
理由もわかっている、その思い人の事で頭がいっぱいで、心から好きになれる人がいなかった。
正確には、心から好きになれる時間を作ろうとしなかったのだ。
魔都には4年ほど支店を置き、地方都市と行き来することになったが、
結局、思い人と会えたのは、2度ほどで、それでどうこうなったという事もなかった。
無理やり連れて帰ることも、それで周りを説き伏せるだけの力も私にはなかったのだ。
どうにもならない思いをくすぶらせて、時間が過ぎていくのを待つしかなかった。
そして時が来る。
私の心を解きほぐしてくれたのは、言葉があまり通じない異国の少女だった。
そして、導かれるように魔都から撤退しなければならなくなる。
魔都での4年は、あまり変化はなかったが、ダンジョンでは変化が次々と起こった。
まず、他のギルドへ行くと宣言したいたシューは、その宣言通り、ギルドから離れた。
続いて、魔力管理をしていたチャイも、ギルドを離れた。
残ったのは、私とチイという新人だけだった。ちなみにチイのランクはシルバーでLv20。
アシストとして手伝っていた私の知り合いとは連絡が取れなくなった。
魔都での会合では議事録がとられていて、そこにシューが辞めた経緯が書かれていた。
それを読みながら当時を思い返してみた。
魔都に行くようになった私は少し後ろめたかったのだろう。
地方都市にいる間はギルドの仕事を手伝うようになっていた。
例えば、ダンジョン部屋の再設置の方法を学ぼうとシューから教わるようになる。
そうすると、ある疑問に気が付いた。
ダンジョン部屋の再設置は、1、2時間もあれば十分に終わる。
1日に少なくても2部屋は出来る。
そこで、私はシューに言った「これは2部屋出来るのではないか?」と、
するとシューは腹を立ててしまったのだ。
そして、新メンバーを募集している私に「こんなギルドに来る人はいない」と言い出した。
ところが、当時の魔国の状況もあって、ギルドの募集に約20名ほど集まった。
シューは悔しかったのかもしれない。
もう一人いるはずの、チャイは魔力管理をやっていて、ほとんどダンジョンの再設置はしていない。
ほぼシュー1人でやっていたのだ。
では、魔力管理をしているチャイの仕事はどの程度かというと、実際は大したことはなく
そのことはシューも分かっていることだった。
実際にチャイがいなくなった後、私が魔力管理をやってみると2日で終わった。
一応、言っておくが私程度のダンジョン主でも魔力管理2級くらいは持っている。
つまり、チャイもシューもほどほどに仕事をしていたのだ。
もちろん、それで良かったのかもしれない、ダンジョンが危機にならなければ・・・。
こうして私がいるギルドには居づらくなったのか、シューは自らギルドを辞めますと言い始めた。
今、改めて振り返ると、シューの気持ちがよくわかる。
シューは恐れていたのだ、仕事をしていないのがバレた、そして次に新しいメンバーが入る、辞めさせられると・・・。
そして、なぜ、私だけが、一生懸命仕事をしないといけないのかと・・・。
「こんなギルドに来る人はいない」と言ったのは、私をけん制していたのだ「私がいなくなると困るわよ」と。
そして私も言っていた「シューがいなくなってもギルドが無くなることはないし、辞めたいという人を無理に引き留めることは出来ない」
当時は、正論をいっていると思ったが、今、改めてみると、他の言い方をすればよかったのかもしれない。
当時のギクシャクした関係で、そうした相手を思いやる言葉が私に出たかどうかわわからないが、
今だったら、もう少しましなことが言えそうだ。
こうした私の発言に問題があったのか、なぜだかシューからは「ダンジョン主から辞めるように言われた」という事になった。
魔国では不思議なことが次々に起こる。




