心の安全装置
ゴーレムを使ったダンジョン経営は、ゴーレムを作れる者にとっては誰もが思い付くことだった。
実際に多くのダンジョン経営者はゴーレムを使っていた。
逆にダンジョン経営者でもゴーレムについての知識がない昔ながらの経営者もいた。
私が狙っていたゴーレム市場は、魔力ネットを使った、いわるゆネットゴーレム市場だった。
ネットゴーレムにも色々な種類があり、デーモンを監視するゴーレムもネットゴーレムの一つになる。
今回狙ったのは遊戯ゴーレムだった、この市場はここ3、4年で100倍に成長している市場だった。
というのも、魔力ネットと接続できる携帯端末ミニゴ(ミニゴーレムの略)が魔国のみならず、
人間の世界でも爆発的に普及していったからだ。
確かにゴーレムを作るのは大変な作業ではあるが、少人数で作れ世界中で戦えるのが魅力だ。
また、そこで身に付けたスキルは他の分野でも役立てることができた。
この計画は、私には絶対の計画だったが、理解者は少なかった。
魔都に向かったのは、このダンジョンの2人のギルド委員にあう為だった。
ダンジョンの経営は私に任されているが、前代表がいなくなった今、
私を含めたギルド委員の権利は、ちょうど3分の1にずつになっていた。
そのため、何か大きな変化を実行する時は、他のギルド委員の意見を聞くべきと考えたのだ。
そして、個人的な用もあった。
私にとっては、こちらの方が重大だった。
魔都には思い人がいたのだ、馬鹿な話かも知れないが、その思い人が原因で離婚をし、
誰にも別れを告げず地方都市に移り、いつか魔都に迎えに行くはずが、
ダンジョンの危機で地方都市から動けなくなり、その間に思い人の母親が病に倒れ、
その母親に花嫁姿を見せたいと、思い人は別な男と結婚したのだ。
私にも落ち度があった、たまに魔都に行ったときに逢っていたのだが、
次第に連絡もおろそかになっていた。
そして、思い人は、いつまでも私を待っていると思い込んでいたのだ、しかし時間が長すぎた。
地方都市で身動き出来なくなった私は、よく思い人の夢を見るようになっていた。
空を飛んで、思い人に逢う夢だ。
結婚の事実を知ってからも同じだった。
いや、よりいっそう不安になり、いてもたってもいられなくなったのだ。
こんな不安定な心の状態で、ダンジョンを運営できるのだろうか?
魔都への支店設立は、無理矢理つくった私の心の安全装置だった。




