使われないダンジョン部屋
七つのダンジョンにとって重大な魔力バンクとの会議を終えデーモンを封印した私は、
個人ではなくダンジョン主としてゴーレムの開発をすることにした。
個人では力不足の部分をダンジョン主としての力を使って開発しようとしたのだ。
個人的な魔力はたいしたことはないが、ダンジョン主としては多くの魔力が使える。
その魔力で新しいメンバーを揃えることにした。
だが、その前に閉鎖されているダンジョンの部屋をなんとかしなければならなかった。
ゴーレム開発に力を入れすぎて、ダンジョン全体の魔力を下げるわけにはいかない。
その為、ダンジョンのすべてを有効活用しようと考えたのだ。
まず、冒険者がダンジョンに入りたくなるような噂を町に流し冒険者をダンジョンにおびき寄せた。
今までは、昔から来る冒険者だけを相手にしていたが、こちらからアプローチするのは、
はじめてのことだった。
この町に噂を流す作業は、ダンジョン主である私自身がやった。
チャイやシューは、こういった作業には乗り気ではなかったのだ。
次に、冒険者がダンジョンに入ると、部屋が荒らされるので、冒険者が帰っていったあと、
再度、冒険者を楽しませる罠やモンスターを設置する。まぁ、これは通常の事だ。
しかし、問題もあった、冒険者の中には部屋をひどく荒らす連中も多い、
すると再度、罠やモンスターを設置するのが大変になる。
ダンジョンには部屋が他にもあるので、ひどく荒らされた部屋の再設置は後回しとなっていたのだ。
次第にその部屋は使われなくなり、維持する魔力がもったいないと考えた魔力管理のチャイが
その部屋を閉鎖して魔力が漏れるのを防いでいた。
それが、ダンジョンには使われていない部屋がいくつも存在する原因だった。
こうした私の現状を確認する作業は、ひどく現場を担当しているシューに嫌われた。
無理もない、いままでギルドに顔を出さず、ゴーレムばかりを作っていたのだから。
それでいて、自分の仕事を注意されたと感じていたのだろう。
シューにしてみれば、ただ遊んでいたやつが、突然やってきて何を言っているのだと思った事だろう。
内心「仕事も出来ないくせに!」と思っていたようだ。
事実、彼女は優秀で、私は現場の作業の事を理解もしていなかった。
女戦士のシューにはそれが面白くなかった。
まぁ、これは役割の問題だと思っているが、シューは私をダンジョン主と認めてはいなかったのだ。
やがて、シューの口からこんな言葉が出てくる「他のギルドに行きますよ」
それは当然のことかも知れない、私はギルドを再生させるため、彼らに与える魔力を減らし、
一方で、ゴーレム開発の為にメンバーを増やすというのだから。
それに、シューほどの優秀な人物だ、他のギルドでも欲しがるところは多いだろう。
私はゴーレム開発に必要なメンバーを集めるため、身近な人物たちに声をかけ始めていた。
やがて知り合いの1人がアシストとしてギルドに入ってくれた。
一方、私はどうしていたかというと、少しはギルドに顔を出したが、
ほとんどギルドには近寄らなかった。
ギルドには、私の席もなかったし、
彼らが私の事を”邪魔だ”と思っていることを、私自身が感じていたから、なのかもしれない。
それで私が何をやっていたかというと、魔国の首都である魔都に野暮用で出掛ける準備をしていた。
このギルドに入る前、私は魔都に住んでいたのだ。
私は、その魔都にどうしても心残りなことがあった。




