アービトラージ
デーモンを、ゴーレムを使ってコントロールする試みは、20年ほど前からあるのだが、
研究目的がほとんので、実際に魔国で使われはじめたのは数年前からになる。
デーモンをゴーレムでコントロールするのは比較的容易いのだが、
問題は、デーモンが上手く魔力を取ってこれるかどうかだ、失敗するとデーモンが襲ってくる。
そこで、私はゴーレムにデーモンのコントロールはさせず、監視だけさせた。
最終的にデーモンに命令を出すのは私になる。
デーモンを監視するといってもデーモンは世界中にいるので何処を監視すればいいかわからない。
私はあるエリアの2つのグループに注目した。
南の地域にある、鉄鉱石などの資源がとれる鉄の国と、その隣にある小さな島国だ。
この鉄の国と、島国は大きな魔力の差があるのだが、なぜかデーモンたちは、同じエリアとして動く。
そこをゴーレムに監視させたのだ。
そして、鉄の国と島国で、デーモンのバランスが崩れたときに、私のデーモンに命令をだす。
<実際の魔力>
鉄の国:120
島国:20
<デーモンの数>
鉄の国:80(本来は120あるべき)
島国:50(本来は20であるべき)
つまり、実際の魔力差があるにもかかわらず2つのグループの差が縮小したり拡大した時に、
ゴーレムは、私に異変を伝える。
私は、その状況をみて、鉄の国が低く評価されていれば、鉄の国に魔力を注ぎ、
一方の高く評価されている島国からは魔力を引き上げる。
この異変は、次第にもとの実力に戻っていくので、注いだ魔力はもとの実力分だけ増えて返ってくる。
これは専門的な用語でいうとアービトラージという昔からある方法の一つだがな知らない人も多い。
ただ注意しないといけないのは、デーモンの動きだけに囚われてはいけないということだ。
例えば、鉄の国に隕石が落ち、鉄の国の実力が0になっているにもかかわらず、
デーモンの動きだけを見て、鉄の国に魔力を注いでも、返ってくることは無い。
なぜ鉄の国と島国に同時に魔力を注いだり引き上げたりするのかだって?
それはな、世界全体でデーモンが増えている時もあれば、デーモンが減っている時もあるからだよ。
島国から魔力を引き上げてるのに、全体のデーモンの数が増えると、
島国のデーモンは上がりっぱなしになるからな、そこで鉄の国に注いでいた魔力が保険として働くのさ。
全体が増えているので、島国で減った魔力を、鉄の国で取り戻すことができる。
すこしばかり難しい話だったかも知れないが、
デーモンが使えるとダンジョン経営はかなり楽になるということだよ。
まぁ、今回はデーモンを使えない縛りプレイでの戦いとなるがな。
これはこれで面白そうだ。
そうそう、デーモンを使えたからといって、誰でも上手くコントロール出来るわけではない。
もしコントロールできなかったり、不安を感じたらデーモンは手放すことだな。
デーモンが君自身を襲ってくる前に。




