厳つい冒険者
チャイがギルドを去る最後の一ヶ月、まるで憑き物が落ちたように、以前のチャイに戻っていた。
私は「よかったぁ、いつものチャイに戻って」と言った。
こうして、10年勤めたシュー、35年勤めたチャイはいなくなった。
送別会などはなかった。
当時は、そんな状況ではなかったのは確かだが、何かしてあげても良かったと今は思っている。
<ギルドメンバー>
・新人のチイ
・格闘家トンコウ
・再設置のユエン
ギルドは、私とチイ、アシストのユエンだけになった。
トンコウは、すでに次の所が決まっていたが、しばらく手伝いってくれた。
冒険者がやってきた。
190センチはあろう厳つい冒険者に、チイは震え上がった。
正直、私も怖かったが、ここで引き下がれないのが、ダンジョン主だ。
ダンジョン主が引き下がっては、この冒険者にダンジョンを乗っ取られてしまうことになる。
厳つい冒険者は威嚇してチイのミスを誘い、チイを殴り付ける。
チイもなんとか反撃しようとするが、力の差がありすぎだった。
仕方がないので私が出ていく。
正直、こうした肉弾戦は得意ではないが、私は一歩も引き下がらなかった。
立場上、引き下がれないのだ。
お互いに殴りあったあと、痺れを切らした厳つい冒険者は叫んだ「ダンジョン主を呼べ!」
すぐさま私は言い返した。「私がダンジョン主だ!」
厳つい冒険者は、こいつがダンジョン主?!といった顔をした。
そして、引き下がった。
厳つい冒険者はバカではない、ダンジョン主と本気でやりあったらどうなるかわかっていた。
実際戦うとどうなるかだって?お互いに時間と戦力を失うだけだ。
だが、私にはやることが残っていた。
チイがミスをしているのかどうか、確認する必要があった。
私はマジッククリスタルを持ってきて、時間を遡った。
2~3時間くらいクリスタルをながめていただろうか原因がわかった。
チイのミスではなかった。厳つい冒険者が自作自演していたのだ。
関連ギルドと一緒に、このクリスタル画像を確認して別な記録媒体に写した。
そして、厳つい冒険者を呼び出した。
厳つい冒険者と一緒に映像を確認、認めようとしない冒険者だったが、
「これ以上、言うのであれば警察へ」そう言うと、厳つい冒険者は完全に引き下がった。
魔国には、魔物と冒険者、共同で設立した警察機構があるのだ。
それからも、この厳つい冒険者とは何度か会うのだが、
私、チイ、トンコウの男3人だったので、正直、心強かった。
後でチイから聞いた話だが、シューやチャイは冒険者から土下座をさせられたこともあったそうだ。




