魔力管理
チャイの魔力管理を引き継ぐようになり、このギルドの実情が少しずつわかってくる。
魔力管理とは、魔力帳に魔力の流れを記載していく仕事だ。
ギルド運営は、冒険者の他にも、他のギルドと連携して運営されている。
例えば、魔力のやり取りには、魔力バンクを使うが、魔力バンクは魔力バンクで1つのギルドなのだ。
他にもギルド運営に関係している、別なギルドがあり、
そこに魔力を支払ったり、受け取ったりすることがある。
そして、私のギルドは、なぜか関連するギルドへの支払いが自動ではなかった。
1回1回、魔力バンクに足を運ばなければならない。
面倒なので、自動で引き落とす手続きにはいったが、変更までにはしばらくかかるので、
私が魔力を直接振り込みにいった。
そこでチャイに振込先の一覧を用意してもらった。
やめていくチャイにとって、これも引き継ぎ作業のひとつだった。
渡された一覧をもとに振り込みをしていくと、記載されている手数料と実際の手数料に差が出てきた。
そのことについて、チャイに訪ねてみると。
「あら、しまったわね。私の駄賃よ。」と言った。
仕組みはこうだった。
魔国では、慣例として支払いに関する手数料は受けとる側が支払っても良いことになっている。
例えば、10000魔力の支払いがあると、手数料が500魔力だった場合、
実際に支払うのは9500魔力でよいということになっているのだ。
そこでチャイは、支払いをATMゴーレムを使わず、窓口(係りの人が動く)を利用して
860魔力の手数料が掛かったことにして、相手へは10000-860=9140魔力の支払いをし、
魔力帳には、ATMゴーレムを使った魔力を記載していた。
つまり、魔力帳には、10000-160=9840魔力の支払いをしたと記載していたのだ。
ギルドは9840魔力を支払うが、実際に支払われる魔力は9140魔力、
この差700魔力が、チャイ個人の取り分になっていたのだ。
その為、このギルドでは多くの取引が、自動にはなっていなかったのだ。
振り込みがあればあるほど、チャイに魔力が入っていく仕組みだった。
この仕組みは、自動引き落としではなく、魔力管理者だからできた行為。
チャイいわく「ギルドの魔力を取っているわけではない」と言っていたが、
請求書には、振り込み魔力は別途お支払くださいというギルドが多くなっていた。
私は、法律のことは知らないが、基本的に「ダメだろ」と思った。
人間も魔族も、弱い生き物らしい。




