孤立無援
ある日、シューは思い付いたかのように、唐突に言った。
「辞めます」
私も、それを止めるわけでもなく、理由を聞くわけでもなく言った。
「それなら退団届けを書いてください」
働きたくないギルドで働く。
居てほしくない人にギルドに居てもらう。
お互いに不幸だ。
だが、シューは退団届けは書きたくないと言い出した。
すごいな・・・。
とりあえず、1か月後を目処に辞めることになったが、
シューにはまだ休みをとる権利があったので、
1ヶ月経った後、その休みを消化してから辞めるといいと私は言った。
つまり、シューに少しでも得になるように私は言ったのだが・・・
何を思ったのか、シューは休みを消化して、1週間後に辞めると言い出したのだ、もちろん、
この魔国の法律では、1週間前に宣言すればいつでも辞めることが出来るようになっている。
こうしてシューは部屋を出ていった、隣でこの話を聞いていたチャイが後を追いかける。
このギルドはメチャクチャだった。
ギルドの部屋に鍵がかかっていたり、ギルドに連絡がつかなかったり、
魔力バンクと話し合いをして、外部を固めても内部がこれだと、どうにもならなかった。
零細ギルドとは実に脆い。
もしこれが大ギルド、いや10人メンバーのいる小ギルドなら、
たいしたダメージにならならなかったかもしれないが、
3人の内1人、実はこの時すでにチャイの様子もおかしく、
内情は、3人の内2人を敵にまわし、たまに来るアシストの知り合いだけが私の頼みだった。
結局、3ヶ月経った後、シューがギルドを去る代わりに、
退団届けを書かずに、ギルド都合で辞める事になった。
その書類の作成はチャイが行い、ギルド都合の理由は「ギルドの縮小により」となった。
まるっきりデタラメだった。
事実は、ゴーレム開発をするために人を増やす方向でギルドは拡大方向、
辞めると言い出したのもシュー本人の都合でギルドの都合ではなかった。
7つのダンジョン主なんて、実にたいしたことがない。
たった2人の部下もコントロールできず、ダンジョン運営に支障をきたさないように、
事実とは違う、書類を提出しなければならなかったのだ。
そして、アシストの知人とも連絡がとれなくなる。




