可愛い友達と新たな始まり
入学式の朝は、まだ夜が明けたばかりの頃に目が覚めた。昨晩は緊張しすぎて中々寝付けず、寝た気はしなかったが、二度寝をすれば起きられないだろうと思い、起き上がった。
もう少し明るくなれば食堂も開くはずだ。早めに行って食べなければ、新入生や帰ってきた学院生でごった返す。
新入生は今日の入学式までに寮に入らなければならない。明日から総合科の選定が始まる。総合科の一年生が決まった次の日、明明後日から通常授業が始まるのだ。
今日の入学式の後、夜六時までに総合科に入りたい者は立候補しないといけないので、用紙を出し忘れないようにしなければ。
ウォーレンやノアには情報科に入ると嘘をついておいた。邪魔はされないはずだ。
兄弟の中では姉のキャロルにだけ士官科に入る予定だと伝えている。姉だけは応援してくれていたから。
部屋が徐々に明るくなってきた。そろそろ身仕度を始めようとベッドから降りたとき、まだシリルが寝ていた。今日は早起きすると昨晩言っていたような気がする、気のせいだろうか。
いや、今日は入学式だ。教師がこんな時間に寝ていて大丈夫なのか。朝の十時から式は始まるが、今は六時前だ。男性とはいえ髭を剃ったり、正装に着替えたり、と大変だろう。
それに当日でも式の準備はあるはずだ。
(とりあえず、起こさないと。)
心配になったレイラは近寄り、軽く肩を揺らした。
「先生起きてください。」
起きない。今度はもう少し強めに揺らす。
「今日は早起きすると仰っていたでしょう。もう先生がいつも起きられる時間ですよ。」
「…熊。熊が……。」
まだ夢の中のようだが、大分意識が浮いてきたみたいだ。今度は全力で揺らす。
「先生。先生が遅刻したらグランデ先生とアスティン先生にからかわれますよ。」
いつだったか、シリルがあの二人にからかわれている『記録』を何度か視た。必ずネタにされるはずだ。
その言葉が効いたのかシリルはがばりと起き上がり、窓の外を見た後ポツリと、
「朝飯抜きだな。」
そう一言だけ言ったあと、飛ぶように洗面所に駆けて行った。着替えに寝室に戻って来るはずだ。邪魔にならないようにリビングに出ておく。
ソファーで寛いでいると、シリルが洗面所から寝室に駆けて行った。
数分後、寝室から物語に出てくる騎士のような服を着たシリルが出てきた。紺色の上下で落ち着いた雰囲気なのだが、上着は襟に銀糸の縁取りがされており、燕尾服のように後ろの丈が長い。なんというか邪魔そうだ。
じろじろ観察しすぎたのか、シリルが怪訝な顔でレイラを見ている。
「お似合いですね。」
「それは嫌みか?」
本当に似合っていると思っているのだが、シリルには嫌みと思われたようだ。というかシリルのように綺麗な男性なら何でも似合うと思う。
でも、シリルの蜂蜜色の髪と橄欖石の瞳には明るい、いっそのこと白の方がもっと似合うかもしれない。
「起こしてくれてありがとな。先に行っとくから遅刻するなよ。」
そう言って走っていった。シリルは既に遅刻なのかもしれない。後ろの髪が跳ねていたが気付かなかったことにしよう。
この時間から制服に着替えるのは恥ずかしい。そう思い、顔を洗ったあと髪だけ梳かし空色のワンピースに着替え、食堂に向かう。
食堂にはちらほらと生徒がいた。この時間帯に来たのは初めてで、見たことがない人ばかりだった。
何人かの視線を感じる。居心地が悪いので端っこの机で食べることにした。休暇の間も初めて食堂を利用したときはじろじろ見られたのだが、しばらくすれば誰もレイラのことを見なくなったので、久しぶりの体験だ。あまり目立ちたくない。
ちびちび食べていると、目の前の席に誰かが座ってきた。まだ席はあちこち空いているのにわざわざレイラの前に座るとは、何をしに来たのだろうと顔を上げれば、銀色の髪を肩で切り揃えたレイラと同い年くらいの女の子が微笑みかけてきた。
「おはよう!」
「おはようございます。」
この子はなぜレイラに話し掛けるのだろうか。レイラなんかより話しやすそうな子は他にもいるはずだろうに。
「わたしドリス・フォスター、情報科一年よ。あなたは?」
「レイラ・ヴィンセント、士官科一年です。」
「敬語は使わないで、もっと気楽に話してねレイラちゃん。」
「はぁ。」
どうしたものか。レイラは屋敷からあまり出ることがなかったので、人と楽しく話すことが苦手だ。しかし、わざわざ話しかけてもらったのだ、ここは頑張らねば。
「えっと、ドリスは綺麗な瞳ね。」
捻り出した言葉がそれだった。薄氷のような色素の薄い青い瞳が綺麗だな、としか頭に浮かばなかった。
「ありがとう。」
それでも笑ってくれたドリスは良い人だ。
「でも、レイラちゃんの方が綺麗よ? 周りの男子は皆レイラちゃん見てるもん。」
「気のせいよ。」
皆はこの変な瞳の色が珍しくて見ているだけだろう。ドリスは可愛らしいといった感じの女の子だ。みんなこの子を見ている。
「ねぇ、入学式は一緒に行かない? 席は特に決まっていないらしいの。」
さすが、新入生とはいえ情報科だ。もうそんな情報を持っているとは。
「私で良ければ、お願いします。」
「もう、また畏まった喋り方になってる。」
むぅ、と頬を膨らませたドリスは可愛らしかった。この子とは仲良くなれそうだ。
その後、朝食を食べ終えたレイラとドリスは着替えるため部屋に戻ることにした。が、問題があった。
レイラの住む部屋は職員棟という、職員室やら学長室、理事長室に応接室のある棟にある。職員棟と女子寮と男子寮はコの字型になっており、男子寮と女子寮を行き来するには、教師の行き交う職員棟を通過しなければいけない。その為忍び込もうとする前に教師に見つかるようになっている。
それに、夜間には扉が閉められ行き来は出来ない。各寮の一階に教師の部屋がある。男子寮にはニール・ジンデルという情報科の先生がいる。そして、女子寮にはシビル・アスティン先生が住んでいる。
夜に緊急の何かがあればその二人が対応にあたるらしい。
シリルもジンデル先生が居なくなれば、自分がそれをやることになると言っていた。そして自嘲気味に男性教員の独身者はもうジンデル先生と自分しか居ないとも言っていた。応援しようと思っている。
食堂はその三棟の真ん中、中庭のような所に建ててある。食堂にも職員棟を通過しなければいけない。
その為、レイラは一度女子寮に帰るフリをして後でこっそりと職員棟に帰ることにした。
(ドリスの部屋が二階で良かったわ、最上階だったらおかしなことになるところだった。)
自室に帰って、着替え始める。学院の制服は立襟の白いシャツの上にワンピースを着る。ワンピースは襟の部分は青いが、その他は白だ。初めて見たときは汚れが目立つ、というのと動きにくそうだと思った。
そして、スカーフのようなものを付ける段階になって付け方が分からなくなった。
スカーフのようなものには青い大きな石が付いている。銀の台座には植物のような紋様が彫ってあり、その台座の裏を見ればフックのようなものがあった。
そして、襟にフックを引っかければ、いつかに視た『記録』の生徒達と同じ姿になる。
膝下のワンピースは、いかにも医療科の女生徒向けの制服だ。
(これで、動けるのかしら。)
明日からの総合科の選定には他の服の方が良いだろう。
準備も出来たので女子寮に向かうが、ドリスの姿は無かった。二階に上がりドリスのネームプレートの掛かった扉をノックしてみる。
「どちら様ですか!?」
聞いたことのない声が応えた。中からは忙しない足音が聞こえる。基本が四人部屋の女子寮のため仕方ない。
「レイラ・ヴィンセントです。ドリスはいますか?」
「レイラちゃん!? 入って!」
勝手に入っていいのか、と思ったが部屋の住人が良いと言っているのだ。
扉を開ければ、そこは未知の世界だった。
ドリスを除いた三人が髪に鏝をあてて巻いている。ドリスはその手伝いをしているようだ。
基本、メリル学院では化粧は駄目なので髪しか弄るところはない。
レイラも時間があったので一部の髪を編んでいる。
「悪いんだけど、レイラちゃんも手伝って! 私一人じゃ手伝いきれないの!」
そうドリスに言われて断るはずもなく、レイラも鏝を片手に人の髪を巻いていった。
全員の身仕度が整ったのは、式の三十分前だった。
程よい時間に終わったと思う。レイラ一人の身仕度だと暇をもて余していたし、良い経験になった。
髪を巻くのなんて初めてだったが、巧く巻けたので問題ないだろう。
「ありがと!」
「ありがとね!」
そうレイラが手伝ったドリスの同室の二人に言われると、少し恥ずかしい。彼女らの髪を焦がすことがなくて良かった。
そんな慌ただしい朝も終わり、入学式が始まる。
静寂の中で粛々と行われているが、とても眠くなる
。隣のドリスはずっと前の席の生徒に頭突きをかましている。その生徒は男だったが、迷惑な顔ひとつせず、「気にしないで。」と言っている。可愛らしい女の子の頭突きならいくらでも受けれるだろう。
レイラも眠いが隣のドリスが目立っている、教師の視線も集めている。なぜ誰も何も言わないのか。もちろんシリルもこっちを見ている。
そろそろ前の男子生徒の背中も限界だ。止めてあげてほしい。
結局、誰も止めることなく式は終わった。男子生徒は「気にしないで。」と言って友達と去っていった。
「どうして、誰も止めなかったのかしら。」
「わたしが怖いんじゃないかな。色んな情報もってるもん。」
そうなのか。だが式の最中、皆の視線はドリスにあった。式の妨害になってもドリスの機嫌を取る方が大事とは。ドリスは何者なのだろう。
「用紙を出しに行きたいのだけどいい?」
総合科の選定の為の紙を忘れないうちに提出しておきたかった。
「なんの?」
「総合科の選定の紙。」
「え! レイラちゃん総合科行きたいの? すごい! 頑張ってね! 今まで女性で総合科ってあのミラさんしかいないらしいから。」
てっきりまた無謀だ、と言われると思っていた。嬉しい。
「ええ、ありがとう。」
◇◆◇
入学式にとんでもない奴がいた。シリルは壁際の席にいたのだが、妙に後ろがざわざわすると思って後ろを見れば前の席の生徒に頭突きを食らわす女子生徒がいた。
(なんで誰も止めない!?)
立ち上がろうとしたら、隣のリオに止められる。
「誰も止めないのか?」
小声で喋る。
「ほっとけ、彼女は昨日の晩に寮に移ってきたんだ。」
聞けば、ドリス・フォスターという女子生徒は情報収集を生業とした一族の娘らしい。フォスター家は王家の目とも言われているらしく、教員は文句を言えないらしい。しかし、前の席の生徒は辛そうだ。
隣にはレイラが座っていた。なんだか心配そうな顔をしている、のは気のせいではないだろう。
式が終われば、レイラはドリスと共に歩いていた。友達がいないと言っていたが、出来たようで良かった。レイラくらいの年齢の女の子はいろいろ難しい、シリルには出来ない相談事もあるだろう。
職員室に帰ると、総合科に立候補しているのが既に十一人もいた。中にはレイラの名もあった。
(本気でやるのか。多分女の子一人だぞ。)
「なにニヤけてるの?」
アスティンの声で我に返る。
「ニヤけてないですよ。」
後ろからアスティンの手が伸び、用紙を取られる。
「あら、彼女も出るのね。」
「みたいですね。」
「ミラちゃんみたいに一時間で全員倒すのかしら。」
「あれと比べないでください。姉さんは化け物です。」
何のために二日と設定してあるのかというと、大体は一日で決まるが、念のために二日としているのだ。
しかし、ミラ・フィンドレイは一時間で二十三人もの男を倒した生きる伝説だ。
あの姉とレイラを比べるなんて失礼……。
(もしかすると、生徒全員殺すなんてことは…。)
男の首を目掛けて短剣を降り下ろす光景が頭に浮かぶ。 まずい。選定で使う武器は木刀だが、それも打ち所が悪ければ死ぬ。
「ちょっと休憩してきますねー。」
そう言って、職員室を抜けた。きちんと説明しておかなければ、死者が出るかもしれない。殺す気で戦う者とでは強さに違いがでてしまう。
それともうひとつ、聞きたいこともある。
レイラが総合科に入る可能性があるならシリルは人間性を知っておかなければいけないのだ。
まずはレイラを探さなければと、部屋に向かうが居ない。昼食を食べているかもしれないと思い食堂に向かう最中に運良く見つかった。ドリスと一緒だったので、悪いとは思ったがこちらは重大な話がある。
「ヴィンセント!」
◇◆◇
職員室に用紙を出した後、ドリスと共に中庭に行った。
「ここね人間観察が出来るから好きなんだ!」
「情報科の性みたいなもの?」
「そうなのかな? そうかもね!」
くるくると表情が変わるドリスは見ていて楽しい。
先ほど年齢を聞けば十七歳と言っていた。レイラの一つ上だ。
可愛らしい雰囲気からてっきり年下だと思っていた。
しばらく二人で人間観察していると、アルヴィンが視界に入った。アルヴィンはレイラに気付いたようでこちらに歩いてくる。
「アルヴィン・パーシヴァルよね。なんで外にいるんだろ。」
いつもは部屋に籠りきりらしいのに、と既に生徒の情報も手に入れているようだ。
「レイラ、頼みがある。」
相変わらず話が唐突だ。
「なんでしょうか?」
「来月の十五日は空いてるか?」
「多分、空いてると思います。」
「その日は私に付いてきてくれないか。」
金の栞を渡される。おそらくこれを視ろ、ということだろう。
「分かりました。」
アルヴィンは最近、物の『記録』を視てほしいと依頼してくることがある。レイラも小遣い稼ぎになるのでアルヴィンからの依頼は受けている。
定職に就いているシリルも小遣い稼ぎをするくらいだ。レイラも少しは自分で稼いでおこうと思っている。
「ありがとう。助かる。」
微かに笑ったアルヴィンに、周囲にいた女子生徒の視線が釘付けになっているのが分かる。そんなことに気付かないアルヴィンは男子寮に戻って行った。
「レイラちゃん、もう総合科の人と仲良くなってるのね。」
「偶々会って、少しお話ししただけだわ。」
かなり苦しい言い訳だ。折角、仲良くなれそうな人に会えたのに、話すことが出来ない。隠し事はしたく無かったが仕方がない。
「そっか。あ、そろそろ昼ごはん食べに行こ?」
お腹すいちゃった、とお腹をさすりながら笑うドリスは本当に良い人だ。レイラの下手な言い訳に何も訊かないのだから。
食堂に向けて歩いていると、レイラを呼ぶ声が聞こえた。振り向けば焦ったような顔をしたシリルがいた。
「ヴィンセント話がある。時間いいか?」
真剣な顔で言われて断れるはずがない。もしかして緊急事態が起きているのかもしれない。
ドリスに後から行くと言えば嫌な顔ひとつせず、良いよ、いってらっしゃいと言ってくれた。
そして自分達の部屋にやって来た。
「話って何ですか?」
「総合科の選定で生徒を殺すなよ。」
……。
「当たり前です。」
さすがに生徒達を殺したりしない。前に男を殺そうとしたのを見られたからだろうか。レイラが学院に来るときもなんやかんやと騒いでいたが、またやられるとは思わなかった。
「良かったー!」
全力で安堵されると、こんなに腹が立つものだったのか。勉強になった。そう思っていると、
「なぁ、なんでヴィンセントはあの時殺そうとしたんだ?」
急にシリルが真面目な顔になった。何もかもを見透かすような橄欖石の瞳を見ると、考えるより前に口が開く。
「私やアルヴィンさんを殺そうとしたから。」
「殺さずに相手を無力化出来ないのか?」
「私は弱いから。」
どんどん心が冷えていくのが分かる。赤い嵐の夜が頭に浮かんだ。
「俺は、結構強いと思ったんだが。」
「でも、殺さないといけないの。」
様子の変わったレイラに気付いたのかシリルの纏う空気も変わった。腰をかがめてレイラと視線を合わせる。
「それは、なんでだ?」
「私を殺そうとした人は皆殺さないと。」
「それは、どうしてだ?」
もう目の前は真っ赤でなにも見えない。それでもシリルの瞳だけはいつもの色だった。それに安心する。
「カーラを殺した人達を殺したから、殺さないといけないの。」
「なんで、そいつらを殺したら殺さないといけないんだ?」
「だって不平等でしょう?」
「なんで不平等なんだ?」
優しい声で問いかけてくる。思わず頬に雫が伝う。
溢れる涙はシリルが優しく拭ってくれた。
「あの時…は殺したのに、次は殺さない…なんて不平等だわ。」
つっかえながら喋る。もしかたらシリルは知っていたのかもしれない。レイラが昔にしたことを。
「それは不平等とは言わない。昔は殺すしか方法が無かっただけで、今のヴィンセントなら殺さずに捕らえられるだろう?」
それは違う。レイラは首を横にふる。レイラはあの時、殺さずに全員を眠らせることができた。
「ごめんな。理事長から全部聞いてる。これも踏み込みすぎとは思ったんだが、ヴィンセントの思考だけは知っておきたかった。」
やはり、知っていたようだ。この言葉が意味を持つことも総て。それでも普通に接してくれていたことが嬉しい。レイラは正真正銘の化け物だから。
「今度からは絶対に傷つけるなとは言わない、が余程のことがない限り殺すなよ。」
言うことの聞かない子供に言い聞かせるように、強めの口調で言うシリルはちゃんと教師みたいだった。
それでも応えかねていると、抱き寄せられた。突然のことに驚き、体を強張らせていると頭を優しく撫でられた。
「ここでは俺が『兄様』の代わりだ。守ってやるから殺すなよ。」
これはレイラをからからっているのか、それとも元気付けようとしているのか、どちらだろう。
「分かり…ました。」
それにしても、兄様の代わりにしろとは、放置しておけばいいということだろうか。それとも、
「!?」
急にシリルの体が強張る。兄様の代わりにしろと言われたから腰に腕を回したのだが、駄目だったのだろうか。
「まあ『兄様』だもんな。前も抱き付いてたもんな。」
動揺するシリルを見て、間違えたことに気付いた。兄の代わりに守る、という意味だったようだ。恥ずかしすぎる。穴があったら入りたい。しかし、ここに穴はない。顔をシリルの胸に押し付け真っ赤な顔を隠す。こんな時でも表情が変わらない自分に感謝した。
「すいません。間違えました。」
「いや、間違ってはない。精神面でも守るのが『兄様』なんだろ?」
なにかを乗り越えたような顔をしていた。それならレイラも乗り越えて、新たな関係を築くことにする。
「はい。不束者ですが、改めてよろしくお願いします。」
「ああ、まかせとけ。」
そう言って笑うシリルは相変わらず眩しかった。