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episode1 出会い

 俺、勇動凄斗ゆうどうせいとは現在困ったことになっている……。何を隠そう俺は勇者だ。そんな勇者の俺の前に美少女が立っている。普通美少女が立っていると喜ぶところだろと言う人もいるかも知れない。俺も喜ぶだろう。では、なぜ俺が困っているのかというと……俺は現在縛られている。そして、その美少女が俺が倒すべきモンスターだからだ。俺はどうしてこうなったか朝からの記憶を遡ることにする。

 朝、普通に目を覚ますと朝食を食べ宿を後にした。そこまではいい、その後だ。その後、俺はお金を稼ごうと町付近の森に散策へ出た。いつも通り目の前に出てくるモンスターを倒しながら先へ進んでいく。森の奥へ進んでいくとやたら大きい目の服を着ていて顔を布で隠している人が俺の前に現れた。俺はここはモンスターが多く出るからここから離れることを勧めた。しばらく動かなかったが、そいつは無言のまま歩き始めた。俺はほっと胸を撫で下ろし、森の奥へと足を進めようとした時、足にものすごい激痛がおそった。


「ぐあっ!!」


 俺は足を抱えながら地面に倒れた。俺は少し前の自分を恨んだ。あの瞬間俺は今までで一番といっていいくらい油断した。痛みが少し弱まったときに急いで止血したが、血は少しも止まらない。遠のいていく意識の中、俺は確かに声を聞いた。


「……」


 その声を聞いた後俺の意識はパッタリと断たれた。

 目を覚ますと俺は気に縛りつけられていた。目の焦点がまだ合わない……が俺の前に誰か立っているのは分かる。俺は人やモンスターの気配が分かる。やっと目の焦点が合うと俺の目の前には美少女が立っていた。町で歩いていたら男は絶対一度は足を止めるだろう。青色のロングヘアー、髪の色と同じ綺麗な瞳。しかし、彼女が人間でないのは一目で分かった。彼女の頭には角が付いていた。人間ではなくモンスターだろう。

 そして、今に至るというわけだ。すぐにでもこの縄を解くことができるが、俺は少し話を聞いてみることにした。


「君の名は?」


 できる限り優しく言ったつもりだが少し強く言ってしまったのだろうか、彼女はビクッと肩を振るわせた。しまった怖がらせてしまっては聞ける話も聞けなくなってしまう。俺はもう一度できる限り優しく話しかけることにした。


「君の名前は?」


 今度は大丈夫だろうと思ったが、彼女は涙目になりながらその場に尻餅をついた。俺の今の話し方で尻餅をつく要素があっただろうか。そんなことを思っていると彼女の方から口を開いた。


「ピ、ピ、モ、ピモです」


 やっと口を開いてくれた。ピモそれが彼女の名だろう。しかし、なぜこんなことをしたのか知るには近づくしかない。俺はため息をつきながら縄を解く。俺が縄を解くとピモは絶叫に近い声を上げた。


「ゆゆゆ許して下さい。わ、私はただ」 

 

 ピモはものすごい勢いで後ずさっていく。そして、泣き始めてしまった。俺はそっと彼女の頭を撫でた。


「怖がらせてごめんな。でもどうして君がこんなことをしたのか知りたかったんだ」


 ピモは泣きながら俺の胸に顔を埋めてくる。


「わ、私はただ道に倒れていたあなたをた、助けたくって……ぐすっ」


 なるほど、俺が何者かに足を切られてその場で気を失ってしまったあとに俺を見つけてくれたのか。俺の足の血が止まっていたことの理由もつく。


「ありがとな。俺の足治してくれたのはお前だったのか」


 そう言うとピモはパァッと笑顔になり俺に抱きついてきた。こんな女の子を俺は倒せない。逆に守ってあげたい。それには俺のことを伝えないと。そう思い俺はピモの肩に手を置いて真剣な表情になる。ピモは急なことで何が起こったか分からなく戸惑っている。


「ど、どうしたんですか?」


「ピモ、実は俺勇者なんだ」


「え?」


 彼女の表情がみるみるうちに青くなっていく。

 これが勇者の俺とモンスターの彼女との出会いだった。

ご愛読ありがとうございます。

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