②
「……悟空?」と聞かれたので、俺は「違います」と答えた。
「いえ、間違いありません!」ノックの奴は、扉を開けて顔を見せた。
「私は、三蔵法師玄奘です。第一回 西遊記ドラフト、一位指名おめでとう。さあ、私と一緒に旅に出るのです!」
ウキウキしている三蔵法師を落ち着かせて、俺はいくつか質問をした。
「誰が何のためにやったドラフトなんだよ!」最大の疑問である。
「妖怪ウォッチというのが、流行っているのでしょう?」三蔵法師が言う。「あれに勝つためです。妖怪ものなら負けられません!」
ドラフト一位指名はまんざらでもないが、妖怪ってところが気にくわない。
「なんで俺なんだよ!」俺はさらに問い詰める。
「あなた 一人に、猿と豚と河童のキャラが集約されているからです!」三蔵法師は、ハキハキと答えた。
「猿と豚はいいけど、河童はやめろ!さすがに傷つくだろ!」
冷静に考えれば、猿と豚もよくはないのだが、なんだか完全に奴のペースに飲まれているようだ。
三蔵法師は、しばらく考えこんだ後、苦虫を噛み潰したような顔で
「わかりました……。それじゃあ、河童は私がやりましょう……!」と、呟いた。「あなたが、天竺へついてくるのならば……!私が、河童を、やりましょう……!」
ぶるぶると怒りに震えながら三蔵法師が被り物を脱ぐと、見事な坊主頭が現れた。
「私が……!かっ、かっ、河童、を……!」
「分かった分かった俺がやるよ!」結局、三蔵法師の般若のような形相に負けた俺が河童もやることになった。
「それじゃあ」すっかり機嫌が治った三蔵法師が、にこやかに宣言する。「いざ、天竺へ!てんーじーくへ!」
「ハローワークみたいなイントネーションで言うな!大体、俺はニートじゃねえ!」
「とりあえずガストで作戦会議ですね」三蔵法師がドリンクバーのクーポン券をくれた。