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コンコン。

ノックの音がした。

勉強の休憩がてらに開いていたエロ本を音速で閉じる。

参考書を開き、ノートを開き、鉛筆のおしりを唇に当て

左手でワイルドに前髪をくしゃっとやった。

いかにも、考え中ですよみたいなポーズを作り、返事をしかけたとき

不意に思い出した。


俺は、一人暮らしだ。




ここでちょいと自己紹介。

俺、まさる。22歳独身、ぴっちぴちのチェリーボーイ。

ちょいと小太りで、ちょいと頭頂部が涼しげな好青年さ。


ちなみにぴっちぴちというのは

新鮮さや瑞々しさを意味する方ではなく

ぴっちぴちのTシャツとかそっちの意味だ。


引きこもりやニートに間違われがちだけど、今 大学受験に向けて猛勉強中。(何回目かは聞いちゃダメだ!)


今日も朝から勉強勉強。

……の前に、本棚でも片付けよう。


こうして、いつも通りの1日が始まるはずだった。




話を戻す。

俺は、一人暮らしだ。

それじゃあ、いったい誰がノックしている?


ワンルームのアパートの

玄関とリビングを隔てている、ほんの気持ちばかりの扉が

今 何者かによって叩かれている。


コンコン、コンコン。

規則正しい音から、恐らく危険は無いだろうと判断し

俺は、思いきって返事をすることに決めた。


「はい」俺は、短く返事をした。

ノックの奴は、しばらく何も言わなかった。

緊張しているのだろうか、深呼吸をしているようだ。

フゥーッと力強く息を吐き、小さく「よしっ!」と気合いを入れた声の後

ようやくこちらに語りかけてきた。


「……悟空?」


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