「死神姫の晩餐会」PART6
この世には人が触れてはならない『魔』がある。それは世界が畏怖し嘆き軽蔑し悪と呼んだ魔の力。
人とはそんな身に余る力を調べ尽くし、実験を重ね非道に手を染めてまで手に入れようと躍起する。
金、名声、未来、過去、手に入れたいものは数あれど人に過ぎた『魔』は破滅しか齎さないだろう。
もしそんな『魔』を一個人が手に入れてしまえばそれは一体どれだけ『不幸』なことだろうか。
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「な、なんだありゃ!?」
「た、弾がとまっている?」
男たちはそれぞれ驚きこの意味不明な状況に戸惑っているようだった。
無理もない。赤い少女を確実に貫いただろう銃弾が黒いなにかに阻まれ空中で静止していたのだから。
黒い闇。それは闇のように黒く靄のように暗く夜のように静かな『黒』だった。
『黒』は赤い少女の目前の銃弾を蹂躙するかのように包み込みそして次の瞬間跡形もなくそれらを焼き尽くした。
ただそれらを目撃した二人の男たちにはこの事実が黒い絵の具で空間を塗りつぶすような光景にまで
変換され自らの錯覚にすら気づくことはないだろう。
「もー!びっくりしてとっさにチカラつかっちゃたじゃん」
フッ。そして『黒』はそのまま最初からなかったようにに掻き消えた。
「ば、化物!!」
「こ、こいつもデスビートの死神だぁ!に、逃げろ!」
男たちの顔が恐怖に引きつり一目散にメイから逃げていく。
「人のことを化物とか死神とか全く失礼なおじさん達だなぁ」
少しだけ落胆の様子をメイが見せた。メイにとっては言われ慣れたものではあったがそれでも心は痛くなる。
「よーし」
言葉を言い終えメイの姿が消える。
「ばぁ!!」
「なっ!」
次の瞬間すでに数十m離れていた男の前に舌を出しながら両のほっぺを左右にひっぱった
メイの姿が現れる。
予想外のことに男たちは驚き反射的に逃走の足に急ブレーキをかける。
「チョップ!」
ガン!ガン!
「うっ!」
「ぐえっ」
その瞬間に余裕の溢れる動作で相手の頭上目掛け手を振り降ろした。
そして直撃を免れなかった二人はそのまま地面に倒れた。
「左手じゃないからあんまり痛くないはずだよ。って気絶してる!?」
男たちはそのまま地面に突っ伏し気絶していた。
「うーん。やっぱり手加減はムズかしいなー。修行が足りないや」
空を見上げこれまで何回しただろう反省をするメイであった。
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