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なにゆえと to.3

作者: 社暖簾

「夏の交差点」

「人一人いない静かな朝に『私』がわたしを殺しに来た」

「ごめんね」

「『私』はどうして謝っているのだろう・・・」

「今度は、」

「ああ、―――そうか」

「ちゃんと、できるから」

「・・・・うん、待ってる」

「そう言って『私』は泣きながら、笑顔で、わたしを殺した」



「いや参ったね」

「なんだよ、突然」

「アレですよ」

「アレ?なにが?」

「ほら、例の」

「例の?」

「例のアレですよ、ほら、アレ」

「アレってなんだよ、わかんねーよ」

「だから、アレですって」

「いや、わかんないって言ってるじゃんか」

「えーそんなはずないんだけどなー」

「うぜぇよ早く言えよ」

「誕生日」

「え」

「だから、誕生日じゃないですか」

「え、あ、誰の?」

「いやいや、先輩のに決まってるじゃないですか」

「あー・・・」

「おめでとうございます!いやーめでたいですね!いやーめでたいめでたい!」

「うん、あのさ、」

「もう僕はこの日のために生きて来たと言ってもいいぐらいですよ、はーめでたい!」

「うん、気持ちはありがたいんだけどさ、」

「この日の事はもう一生忘れないですね!なんでこんな素晴らしい日を全世界で祝わないのか僕は不思議でしょうがない!」

「なぁ、なぁ、ちょっと言わせてもらっていいかな?」

「あーそれはもう!どうぞ!どうぞ!」

「違うじゃんか」

「ん?何がですか」

「いや、わたしの誕生日さ、今日じゃないじゃんか」

「ん―?いやー・・・」

「いやー・・・っじゃないよ、わたしの誕生日は2ヶ月前に終わってるし」

「あー・・・これアレだ、アレなやつだ」

「は?なんだよ」

「いや参ったね」



「殺し屋のクセに銃なんて無粋なモノ使うんだな」

「殺し屋は殺せればいいんだよ。過程や方法なんてどうでもいいのさ」

「そのわりには鎌なんてけったいなモノ使ってるじゃないか」

「まぁイメージも重要って事さ、ほら、鎌なんて死神みたいだろ」

「その死神すら殺した奴が言うセリフかね」

「流石に死神はないよ・・・せいぜい殺人鬼ぐらいさ」

「その殺人鬼も今じゃ妹みたいな存在ですってかい?ふふふっ」

「・・・・・・・・・」

「ま、アンタがいいならいいんだけどねあたしには関係の無い事だし」

「・・・・・・別にキミの邪魔をするつもりはないよ」

「わかってるって、ちょっとからかってみただけだよ」

「・・・そうかい」



「うん――そう、裏のポートの5番から8番までが機能してないみたいなの」

「―――――」

「今は外付けポートで代用しているんだけど、どうも外付けと本体の相性が悪いらしいの。だからいま裏ポートに繋がってるリード系を一つにまとめて直接表ポートに繋げようと思ったんだけど、そうすると3ポートを使う事になるの。でも表を3使うとなると他のボードセンサに影響がでるの」

「――――、――――――。――」

「つまりV.E.接続からAGM接続に変えるってこと?」

「――、―――」

「なるほど。じゃあKK5とメタアルファーがいるわね。それとリード系統をb3からC7に上げると。ほかに必要なものは?」

「―――」

「XXto-Z.heのナンバーコードとAGM系統対応のボードセンサね、分かったわ」

「――」

「オーケーじゃあ『ブラック・ボックス』の再調整が済んだらまた報告するわ」

「―」

「助かったわありがとう、それじゃ」

「―」

「ふぅ疲れたわ・・・ちょっと寝てから再調整に取り掛かりましょ・・・・・・」



「つまりね、キミはもう、わたしと一心同体。キミが死んでもわたしは死なないけど、わたしが死んだらキミも死ぬの」

「・・・・・・・・・うん」

「だから、ね?わたしのこと守って(はぁーと)」

「うん、・・・わかったよ」

「あれれれ?そんなに簡単に引き受けてくちゃうんだ」

「うん、だって君は命の恩人だからね」

「それはお互い様でしょ」

「・・・・・・」

「・・・?ねぇもしかして、本当は死にたかったとか?」

「あはは、まさか、そんなわけ、ないだろ」

「だぁよねぇ」

「・・・そうだよ」


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