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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
〜勇者と聖女の旅立ち〜チュートリアル編
8/19

初!ボス戦、そして理不尽



バトルフィールドに突入。

背後からしたっぱゴブリンと書かれたのが4体、ボスゴブリンの前にあらわれる。


「まずは雑魚片付けや!ぶんまわし2~3発も当てたらいけるはず」


「わかった!」


アリアも杖を取り出して詠唱に入ろうとした瞬間。


「あー、せやせや。アリアは後方で回復に専念で」


「え?」


と、シゲとアリアが同時に言うやいなや、凍慈はボスめがけて走り出す。


「じゃ、この作戦で行くで」


とりあえず言われた通りに前衛ゴブリンにぶんまわし。

ステータスで力も少しプラスにしたからか、1回で半分は削れているのがわかる。


「(凍慈は、、あれは盗んでるな…)」


あのモーション。流石に何回もみたからわかる。

ボスめがけ盗みを繰り返している。なんかちょっと響きがあれだけど……。


「やっぱ体力あると盗み成功率悪いな~、長引くの嫌やけどしゃーないか…」


なんて独り言が聞こえてきたがこっちはそれどころではない。


「って、うわっ、危な、、痛い痛い痛い!」


前衛ゴブリン4体から狙いうちにされて、ボカボカと殴られるはめに。


「たいしたダメージじゃないけどっ!痛い!」


「任せて!ヒール!」


違う。なんか違う。いや、合ってるんだけど。


再度ぶんまわしをすれば前衛ゴブリン撃破。

確実に強くなってるなーと何だか感激。


「あとは、、ボスゴブリン」


ぐっと力を入れて、「強打!」とコマンドを叫ぶ。


「ぎぎっ!」


黄色い文字に100のダメージ。確実に減った緑のバー。

思ってるより効いてる!?しっかしこの木の棒、、凄いな…。

一体なんの素材で出来てるんだ。家の素材とかに使ったら凄いと思うんだが……。


「シゲ、ボスの体力は1200だよ!」


アリアがボスに「調べる」の技を使ったらしく、あと11発なら余裕で倒せる!と、思ってからの強打7連発。


「もっかい強打!!ん?出ない…」


そして気が付いた。


「あ、MPなくなった」


MPは35しかなかったのでぶんまわし(MP4)と強打(MP3)を連発したらそりゃなくなるわけで…。


「てか、どこにMPとやらを使ったんだ?魔法みたいなのはわかる。マジックポイント?だからさ。これ俺の腕の力だよな?」


そんな事を呟くもボスは待ってくれない。

奇声を発しながら何故かこっちに突っ込んでくる。


待って。盗み働いてる凍慈は無視?確かに俺木の棒でどついたけどさ。

殴られつつも反撃をする事数回、ボスの体力が赤く光りはじめる。


「よし、とどめ」


「まだや!!」


「……え?」


「まだ盗めるもんあるから、ちょっと終わるまで回避と防御と回復で待機や!!」


「……え??」


まだ盗めるもんがあるって何?

凄いセリフだけどそれはあってるのか?


「赤ゲージになった時にだけ盗めるもんがあんねん!」


凍慈の腕が閃く。


一瞬、ボスゴブリンの胸元に赤い光が弾けた。


【盗み成功!】


「よっしゃぁぁ!!ゴブリン心核ハートゲットォ!!」


ボスがまだ生きているまま、胸の奥が一瞬透けて見えた気がした。


「……」


「……」


「え?」


シゲとアリアが同時に固まる。


「ハート? 生きてるのに心臓取るの? どういうこと?」


「いや、物理的に取ってへん取ってへん!概念的なやつや!」


「概念的な心臓ってなに?」


「ゲームやからセーフや!」


その間にもボスは怒り狂って棍棒を振り下ろす。


「うわっ、今は普通に殴ってくる!」


「盗み成功したら攻撃力上がる仕様や!回避回避!」


「理不尽!!」


アリアのヒールが飛び、なんとか体勢を立て直す。


凍慈が距離を取りながら満足そうに言う。


「これな、このゲームの“取り返しのつかへんアイテム”の一つやで」


「は?」


「ここで取り逃がしたら二度と手に入らん。ボス素材でしか作れん装備があるんや」


「そんな大事なの今言う!?」


「せやから止めたやろ!」


「説明が足りんのよ!!」


ボスの体力はわずか。


シゲが木の棒を握り直す。


「……えっと、もう良いってこと?」


「ええで。心置きなくやったれ」


「最初から言え!」


思い切り殴りつけてのコンボに黄色い数字が弾け、ボスゴブリンはゆっくりと崩れ落ちる。


【ボス撃破!】


静寂。


経験値の表示が流れ、軽快なレベルアップの音楽。


しばらくして、シゲがぽつり。


「初ボス戦って、こんなもん?」


凍慈が肩をすくめる。


「今回はな。ちゃんとレベルも上げたし」


その一言が、妙に引っかかった。


アリアが心配そうに聞く。


「心核って……本当に大丈夫なんだよね?」


凍慈はアイテム欄を確認しながら笑う。


「安心せえ。これは“データ”や」


シゲは倒れたボスを見る。


「……データ、なぁ」


画面の端に、小さく表示が出る。

“☆5素材、ゴブリン心核(のハート)


シゲは天を仰いだ。


「初!ボス戦!そしてやっぱり理不尽だ……」




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