経験者、理不尽との遭遇
【凍慈がパーティーに加入しました】とテロップ。
ステータスを開くと
凍慈、18歳。身長180センチ、レベル10、職業弓兵。
覚えている技、盗み(単体)、範囲撃ち(範囲)、急所狙い(単体)
装備・木の弓(攻撃力5)
頭具・バンダナ(防御力2)
胴具・布の靴(防御力2)
「レベル高い……、、え?盗みってなに?犯罪者?」
「なんでや。そういうスキルや。モンスターとかからアイテム貰うんや」
「でも盗むんだろ?モンスターから盗み働いて良いってのも変じゃないか?」
「変ちゃうわ。この手のゲームじゃ、盗みスキル持ちなんかめちゃくちゃ重宝キャラやぞ」
この人は一体何を言っているんだ……。
モンスターだって襲ってくるから倒してはいるけれど、持っている物までカツアゲの如く取り上げるなんて酷い話だ。
「…アカン。頭痛が……、、ちょい待て」
「?」
「今レベルなんぼや?」
「え?5になった所だけど」
ステータス画面を見せると、凍慈の顔がひきつる。
「なんでレベル上げしてへんねん…」
「レベル…上げ…?」
ちゃんとレベルは5に上がっていると今言ったところなのに、「レベル上げ」とは…??
「当たり前やー!このあとボス戦や!!」
ボス?なんだか不穏な単語だけど一旦スルーしよう…。
「え?でもストーリー通りに進めてレベルも上がってるけど」
ガックリとその場にうなだれてしゃがみこむ。
え?俺今変なこと言った??
「これがやった事ないやつの発想かっっ…!女神ももう少し人選あったやろ!!」
「うん。それはそう」
そこからは再び森の中を移動開始し、森の出口へと歩いて行く。
なぜか横路やら関係ない道を進んで行く凍慈。
追われてること忘れているのだろうか?
無駄にモンスターと戦闘になるし、凍慈はやたら盗みを連発しているし…。
「なんで、、宝箱スルーやねん」
行き止まりにある、あからさまに置かれている宝箱。
部屋にあったのと似ているけれど…。
踵を返したシゲの肩がガシッと掴まれていた。
「えっ?だって俺のじゃないし」
「……どあほ!今すぐ開けろ!!待て待て待て。これルビーの森の宝箱絶対取ってへんやん!!」
「取らないとダメだった?」
アリアが「あっ、そう言えば…」と声を上げる。
「あかん、ハゲる自信ある!!」
宝箱の中からは何に使うのかわからないアイテムが出て消える。
アイテムボックスとかいう所に入るらしいのだけど、、この機能は素晴らしい。原理は気になるけど。
****勇者シゲ****
「?」
このタイミング?特に何もないけど…。と、辺りを見渡すと不自然に円形に光る地面が…。
****セーブポイントです***
「セーブポイント…」
****貴方には、、不要でした****
え?待って、不要ってなに?セーブポイントって?
いや、流石にわかるよ、データ残す的なのな、不要??
****隣の女神像を触って下さい****
場違い感半端ない、謎の金の女神は確かに気にはなっていたけど…。
あの金ぴかの像?女神像っていうの?
「お、女神像やん。ほんならこのあたりやな」
恐る恐る触ると、【HP MPが全回復しました】のテロップが。
「ほな、レベル上げすんで」
「え!?」
「ええか、このゲームの最初のボス戦は基本的に10前後はレベルないと厳しいんや。全回復出来るポイント周りでレベル上げんのがセオリーや」
そこからは周りをぐるぐると歩いてはゴブリン・スライムなどとの戦闘を繰り返しての作業感溢れるレベル上げへ。
ただ、そういう作業だと思えば苦にならないかも知れない。
「…職場で無駄な事させられてた事に比べたら、まだこっちの方は自分の為になるしな」
と、謎のポジティブを発揮してようやくレベルが10に。
レベル10記念ボーナス、全てのステータス+2の表示が出て、ちょっとウキウキで画面を開く。
次のレベルアップから振り分けスキルが5~10に上昇します、の文字も。
「5~10って幅ありすぎだろ…。下限上限が倍は酷くないか…」
「あー、それな。分け量はMAX固定やから気にせんでええで。どっちかと言うと…って…」
つまり、わかりやすく言うと振り分けられる数は100に決まっている、みたいな感じか?
ならそこまで気に…いやでも序盤少ないのもなぁ…。
「…スキルとジョブポイント振ってへんのかいっ」
「だって、何に使うかわかんないし…」
「ジョブみして」
スキルツリーを確認するシゲがまたしても頭を抱える。
「とりあえず、今後はぶんまわしと強打しかつこうたらアカンで、わかったな」
「………えぇ」
見たらわかるやろーと溜め息をはきながら、ゆっくりと画面のぶんまわしと強打を指差す。
「スキルに数字書いとるやろ?」
「使用回数?」
「せや」
「それがどうかしたの?」
「このゲームのジョブスキルは進化型や。初期技は100回で次の技に進化する。俺が盗み連発してんのはそういう事や。何か響きイヤやな…」
謎の声よ…、、そういうのだろ、最初に教えなきゃいけないの。
そのままレベル画面のステータスを見て、(+28)を見つめる。
シゲ、レベル10(+28)
HP 163 (+63)
MP 33 (+13)
物理攻撃力 13(+9)
物理防御力 15(+11)
魔力攻撃力 11(+9)
魔力防御力 11(+9)
速さ 13(+9)
技術 12(+9)
幸運 7 (+5)
「幸運ひっくぅ……」
「………うっ」
確かに10レベル上がるなかで、3しか上がらなかったけど……。
「その+28、幸運にぶちこめ」
「えっ!?」
「この幸運の数値、宝箱の出現率とレアアイテム出現率に直結するんや。全部は言い過ぎやと思うやろ?このゲームのあるあるやねんけど、ランダムで上がりやすいのは決まってまうねん」
だから最初基本的にはリセマラするんやけどな、と呟く。
リセマラ?なんだそれ……と思いつつ。
ランダム要素入れといてランダムじゃないとか理不尽過ぎないか……。
「ま、他も上げんとボス大変やし。こんな感じやな」
シゲ、レベル10
HP 165 (+65)
MP 35 (+15)
物理攻撃力 15(+11)
物理防御力 17(+13)
魔力攻撃力 12(+10)
魔力防御力 12(+10)
速さ 15(+11)
技術 15(+12)
幸運 20(+18)
パパっとパネルを操作して、あっという間に割り振り終了。
口はまぁあれだけど。
色々とアドバイス貰えて助かったなーと思ってお礼を言おうと振り返った瞬間。
「ほな、ボスやるで」
凍慈がにこやかにどこかに弓を放った瞬間だった。
「ゴガァァァ!!!」
クソでかいゴブリンがこん棒ぶんぶんしながら現れる。
【森の主ゴブリン!】なんてテロップと静止画付きだが…
ちょっと待って、心の準備まだなんだけど……。




