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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
〜勇者と聖女の旅立ち〜チュートリアル編
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火炎の騎士とファフニール



神官の話が終わった、その時だった。


バタン!!


神殿の扉が勢いよく開く。


砂埃をまとった女性が、息を切らして駆け込んできた。


褐色の肌。

長いポニーテール。

そして、黒と赤を基調とした軽装の鎧。


腰には細身のサーベル。


「大神官様!」


神殿の空気が一瞬で張り詰めた。


「ファフニール様が……怒っておられます!」


ざわり、と神官たちが動揺する。


「怒っている……?」


「火焔山の奥で、マグマが荒れています!このままでは噴火するかもしれません!」


大神官の表情が険しくなる。


「原因は?」


「わかりません……ですが、ファフニール様が明らかに何かを探している様子で……」


「うーむ。そなたが言うなら間違いはないのであろう」


その女性の視線が、ゆっくりとこちらへ向いた。


シゲ、凍慈を流し、そのままアリアで止まる。


「……ああ」


何かを納得したように頷く。


そして、こちらへ歩いてくる。


「あなた、もしかして聖女様?」


アリアは少し戸惑いながら頷いた。


「え、えっと……はい」


「やっぱり」


女性は胸に手を当てて片膝をつき、そのまま軽く頭を下げる。


「私はセピア・ファンアス」


唐突の事にアリアはキョロキョロと焦った様子だ。


「この国の――」


一拍置いてから、誇らしげに言った。


「ガーネットの騎士よ」


凍慈が小声で呟く。


「お、出たで。クリスタルの騎士」


「クリスタルの騎士?」


「この手のゲームのお約束や」


小声の会話を気にする様子もなく、セピアは続けた。


「ファフニール様はこの国を守護する神獣。そして、その怒りを鎮められるのは――」


再びアリアを見る。


「聖女だけ」


少し間を置いてから、ニヤッと笑う。


「ってわけで」


サーベルを軽く叩く。


「火焔山まで付き合ってもらうわ」




「これはお馴染みや」


という、「準備が出来たら声をかけて」にて再度街に行って再びくまなく物色。。

いや、火山噴火するって、、え?こんな事していて?大丈夫なの??


「絶対に噴火はせーへん」


という謎根拠を信じ、物色後は街で買い物を。


「やっぱり耐熱系は必須やでなぁ、、うーん。金ギリギリか」


「あ、そういえばこの換金アイテムって…」


アイテムボックスからカーバンクル戦で手に入った“換金アイテム・大きなルビー”を取り出す。


「アホ!それをはよ言えっっ!!」


大きな宝石なのに、換金10000ルート。なんだか納得いかない。

絶対に足元見られてるじゃん。


「いや、序盤の換金アイテムにしたら高い方やぞ」


アリアの分の耐熱マント。

さらに、全員分の“砂漠の旅服シリーズ(+20)”を購入。

もちろん、6000ルートが一気に飛んで行く…。


破産の足音が聞こえるのは俺だけだろうか。


「ほら、ステータスの横に属性書かれとるやろ」


「あー、沢山あるやつ…」


「沢山あるやない。炎・水・風・土・雷・氷・木…」


「多い多い多い!」


凍慈の口から呪文が流れ出す。なんでそんなに覚えてられるんだ。


「クリスタルの数だけ属性あるんやから、頭にちゃんと叩き込んどきや~。で、今装備したやろ?ほら、炎の所+15になっとる」


「あ、本当だ」


装備の説明には「火焔山(かえんやま)のハイキングにおすすめ」と書かれている。

噴火する火山をハイキングってどんな世界だ、危機管理どうなってんだよ…。


「これでちょっとはマシ、、たぶんな」


「たぶん、、たぶんなんだ……」




大神殿を出て、街を抜ける。


マグマ国の外縁。


そこから先は、砂漠ではなかった。


美しい湖もオアシスもない、黒い岩肌だらけの山。


赤く光る地面。


遠くから聞こえるゴゴゴという低い音。


「……あれが、例の火山?」


「火焔山」


セピアが短く答える。


「ファフニール様の住処」


近づくにつれて、空気が変わる。


熱い。


いや、熱いなんてもんじゃない。


まるで巨大なストーブの前に立っているみたいだ。


「耐熱マント買っといてよかったな」


凍慈がうちわみたいな布をパタパタしている。


「これでもまだマシな方よ」


セピアは平然と歩いていく。


「内部はもっと熱い」


「えっ」


「火傷するレベル」


「えっ??」


軽く振り返る。

凍慈は「耐熱装備あるから心配すんな」と気にしていない。


「まぁ安心して」


そんなシゲを見て、にやっと笑う。


「私がいれば死なないわ」


どういう理屈で死なないのか説明が…


その瞬間だった。


ガサッ!


岩陰から、巨大な影が飛び出した。


「グギャアアア!!」


トカゲのような魔物。


全身が赤黒く、口から煙が出ている。


「うわっ!口から火!?体内構造どうなってんだよ!?」


「そこ??」


シゲが構えた瞬間――


「ウォーター」


セピアが指を軽く振る。


ドポン!!


水に包まれる魔物。

そして一瞬で魔物が水に溶けるように消えた。


「……」


「……」


「……」


凍慈がポツリ。


「黒魔導士やな」


まぁね、とセピアが肩をすくめる。


「この山の魔物は炎属性ばっかりよ」


まぁ、そうだろうね……。体の中から炎出してるくらいだし。


つまり体内にガソリンか何かを入れてて、着火させながら…?


と、無意味なことをぶつぶつ考えているシゲには目もくれずセピアは話を続ける。


「ただし。水に物凄く弱い」


そういいながらサーベルを抜く。


「まぁ、私は魔法と剣、両方使えるけどね」


刃が赤い光を反射する。


アリアは凄い!と目をキラキラさせ、シゲはまだ何かをぶつぶつ考えている。


「間取り持つん面倒臭いんやけど…」


「ついて来なさい、勇者御一行」


もちろん、ストーリー系の会話の途中なので彼女の話が止まる事はない。

抜いたサーベルが山の奥を指差す。


「ファフニール様が待っているわ」


火焔山の奥から、低い咆哮が響いた。


ゴオオオオ……


空気が震える。


凍慈がニヤッと笑う。


「お、2体目の神獣獲得イベやな」


「やっぱり口から火は納得できない!」


「まだ言うか」




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