アリアの目覚め
通り道の市場で購入したアクセサリー「耐熱マント」を頭からかぶる。
マントがアクセサリーなのはなんか納得いかないが、一旦脇に置いておこう。
大神殿への一本道を歩いて大神殿へ。
「ジェダ様も律儀だよなぁ、ファフニールが機嫌を悪くするかもだなんて」
ふっと飛び込んで来た兵士同士の会話。
“ファフニール”の言葉に一瞬他の周りの兵士が固まる。
「軍入ったくらいで気が立つとか、神獣って短気過ぎないか?」
神獣って確か、アリアが仲間にしたカーバンクルの事だよな?
「…ジェダ様も“格下”の神獣なんかに気を使わなくて良いのに」
「それな。バハムート様の敵じゃないっつーの」
外で待機している兵士たちの愚痴のような物を聞く限り、入れなかったというよりはジェダから待機指示を食らったのだろうか?
「お前ら、そんなくだらない話をジェダ様の耳に入れるなよ」
副官のような人が溜め息をついて睨み付けると、隊は少しだけ引き締まる。
そんな殺伐とした空気を横目に大神殿の扉を開けた。
ぱっと目に飛び込む、大神殿の最奥。
湖の水を湛えた祭壇の中央。
浅い水盤の中に、
巨大な赤い宝石が鎮座している。
隣の凍慈が小さく“あれはガーネットの宝玉や”と。
それはまるで、心臓のようだった。
カッ――
深紅の光が内部から脈打つ。
「……!」
神官たちがざわめく。
「宝玉が……共鳴している?」
ジェダの視線が、ゆっくりとアリアへ向く。
ふわっと一陣の風がアリアとジェダの間を通り抜け、二人の髪が風に浮く。
ジェダの左耳の両剣水晶は光り、碧眼はアリアを優しく見つめていた。
「えっと、どういう…?」
赤い光が彼女を包み込む。熱ではない。
優しく、温かな光。
アリアは目を細める。
「……あったかい」
大神官が杖を鳴らすと場が静まる。
白髪の老人が、ゆっくりと口を開いた。
「ガーネットの宝玉が反応を示し、」
その声は、水面に落ちる雫のように静かだった。
「――マナの女神より啓示があった」
一拍。
シゲが柱の陰で息を止める。
「聖女の相を持つ者である」
場の空気が一気に変わる。
光が一段、強く脈打つ。
「やはり、そうか」
ジェダは目を伏せて一歩下がる。
「無礼を働いた。許されよ」
そしてアリアに向き直ると深く一礼した。
「すまなかった」
すっと踵を返し、大神殿をあとにした。
シゲと凍慈の隣を通り過ぎるが、彼の碧い瞳にうつることはなかった。
「撤収する」
えっという声は少しだけ上がったが、
「用は済んだ」
という短い号令。
それ以上の言葉を要する部隊ではない。
一個大隊が去った都からは緊張がなくなり、砂煙が落ちる頃には再び活気が戻っていた。
「聖女?」
「……おっ、今回は聖女認定速かったやん」
そういえば凍慈は前に、前作は認定までが長かったとか文句を言ってた気もする。
俺達に気付いたアリアからぱっと笑顔が溢れた。
「やっぱり来てくれると思ってた」
「んっ、ごほん」
走り出したアリアの後ろで大神官がわざとらしく咳払い。
「まだ話は終わっておりませぬ、ルビーの聖女様」
「えっ、それ本当に?間違いじゃない?私が、聖女?」
まぁ俺も気持ちはわかる。
いきなり「あなたゆうしゃよ!」とか言われて旅に出された俺が言うんだから間違いない。
いや、もっと前の段階からアレなんだけどさ。
「はい。間違い御座いません。あと、ルビーの神獣を宿されましたね?」
「はい」
「神獣はクリスタルに宿ることで、人の意志と共鳴し、戦場にて助けてくれます。それを、我々は召喚と呼んでおります」
「……つまり、契約ってこと?」
「いや。選ばれるのだ」
背後では凍慈がヨッシャー!ようやく召喚解放やー!と叫んではいるが、全くもってピンと来ない。
あと、凍慈はもう少し情緒ってもんをだな。
****勇者シゲ****
なんかこの声久しぶりに感じる。。
むしろ今までどこで何をしていたんだ。言わなきゃならんことめちゃくちゃあっただろ。
****召喚が解放されました。ステータスで確認して下さい****
ステータス画面を開くと、鍵がかかって見えなかった場所が解放、召喚の文字に。
「カーバンクルの奇跡レベル1、か。うぉ、プロテクト味方全(レベルで防御力アップ)、HP自動回復・味方全(レベルで回復量増加)、一度だけ一撃死の防衛、凄い効果………、消費MP40!??」
「召喚魔法やねんから当たり前やろ」
真顔で何言うとんねんと突っ込まれるが、、
「え?俺が間違ってるの?」
****では、勇者シゲ。アリアのスキルバレットに召喚獣をセットして下さい****
え?嘘?まさか?
待って待って、、選ばれたんだよな?な?大神官?
言われた通りにセットすると、やはり思った通りのセリフが…
****スキルバレットにセットしないと神獣召喚は出来ませんので、忘れずにセットしましょう****
あー、もう、今までの神秘的な流れが台無しだよ…。




