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勇者に転生したけど理不尽だ  作者: 甘味好き
〜勇者と聖女の旅立ち〜チュートリアル編
14/17

ジェダ・ハンネ・アウゼンハイド EP0






そのムービーシーンは、はじめてみた物で、それでいて少しだけ他とは違うなと思う演出だった。



━6日前━


の、テロップ。


ムービーは一人の男性の背中からはじまる。

幻想的な光の差し込む長い廊下を歩く、どこかでみた金髪の後ろ姿。


[お呼びでしょうか、父上]


扉を開いて中へと入る姿。まだほぼ背中しか見えない。

“最強のイケメンボイス”と大人気を泊する声優の声が響き、どんどんと引きの映像へ。


[ルビー国にアリアという女がいる。我が国に害を為すと判明した]


こちらもどこかで聞いたことのある重厚感ある声。

そして一気に視界が広がり、王の間と玉座、そこに座る男性が一気に映し出された。

【皇国の王、ファイ・フアン・アウゼンハイド16世】の静止画。


[護衛もろとも始末してこい]


[父上。考え直して下さ…]


[任は伝えたぞ。息子よ。二度も言わせる愚息ではあるまいな?]


ぐっと喉からでかかった言葉を飲み込み、「はい」と言葉を絞り出す。

いつからだろう、父と歯車が噛み合わない。


[父の名に泥を塗ってくれるなよ?]


[御意に]


すっと立ち上がり踵を返し、王の間を後にする。


[神龍槍(わがやり)を]



立ち去るジェダの背から再び王の間にスポットが。


[念のためだ。別動隊でルビーの村を消してこい]


[御意]


[その後は、わかってるな?]






━現在━



「…村を襲ったのはあいつじゃなかったんだ…」


まぁ、村にジェダが来ていたら物語は終わってしまいそうだが…。


「てか、あのムービーが正しいなら、、アリアが殺される!?」


「ヤバいなー、はよ助けにいかんと~」


大慌てのシゲと、何やら冷静な凍慈。


「何でそんな冷静なんだよ」


「あのな、流石にこの手のゲームはヒロインは死なへん」


死んだパターンは無いとは言いきれないが、こんな序盤でヒロイン殺されるパターンとか、もはやヒロインでない可能性まである、らしい。


「…ヒロインじゃなかったら殺されるんじゃないか!」


「いや、アリアはヒロインで間違いないから」


「でも、アリアが酷い目に合ってるかも知れないだろ」


ゲームだから、とか。キャラがとか。

ちゃんと会話して、ちゃんと彼女はそこにいて。


「仲間だから、速く助けてあげたいんだ…」


「優しいやっちゃなぁ。まぁ、お前らしいっちゃらしいけどな」





シゲ達から50キロ程先の野営地。




「あの、、将軍?さん」


「……」


「どうして私を連れ去ったんですか?」


しかし、眼前の男はその問いには答えない。

檻に入れられている、という事もなく。野宿アイテムのキャンプコテージで待遇はどちらかというと良い。


「このキャンプコテージ…、確か繰り返し使えるタイプのだから、3000ルートだよね。シゲが聞いたらびっくりしちゃいそう」


ベッドに座ってそんな事に想いを馳せながら、足をぶらぶらさせ、ふふっと笑う。この厚待遇にアリアは少し緊張が取れてきていた。


「でも、この人達が…村を…。どうしてそんな事したんだろう」


ごろんとベッドに横になりそっと目を閉じた。



「ジェダ様、どうされますか?」


副官の問いに、ジェダはしばらく沈黙した。

何かを察したのか、副官がジェダに暖かい飲み物をそっと差し出す。

それを受け取り物思いにふける。

夜の焚き火の火が、金の髪を赤く照らしていた。



「…さて。どうしたものか」



父上は殺せ、と言った。


が、邂逅して思ったのは「この程度では脅威足り得ない」だった。


「……何かできると思うか?」


「え?」


「いや。なんでもない」


皇国ダイアモンドにあの三人の一体何が脅威なのか。


「……父上の側近の星見が間違っている可能性もある」


「ジェ、ジェダ様、そのような事を……」


皇国では王の次に星見が権力を持っている。滅多な事は言ってはいけない雰囲気があるのだ。


「ここから一番近い大神殿は?」


すっと地図が取り出されて、更に南へとピンが刺される。


「灼熱の都、ガーネットを守護するマグマ国かと」


「なら、明日そこへ向かう。今夜は皆しっかり休養するように」


「御意」



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