ジェダ・ハンネ・アウゼンハイド EP0
そのムービーシーンは、はじめてみた物で、それでいて少しだけ他とは違うなと思う演出だった。
━6日前━
の、テロップ。
ムービーは一人の男性の背中からはじまる。
幻想的な光の差し込む長い廊下を歩く、どこかでみた金髪の後ろ姿。
[お呼びでしょうか、父上]
扉を開いて中へと入る姿。まだほぼ背中しか見えない。
“最強のイケメンボイス”と大人気を泊する声優の声が響き、どんどんと引きの映像へ。
[ルビー国にアリアという女がいる。我が国に害を為すと判明した]
こちらもどこかで聞いたことのある重厚感ある声。
そして一気に視界が広がり、王の間と玉座、そこに座る男性が一気に映し出された。
【皇国の王、ファイ・フアン・アウゼンハイド16世】の静止画。
[護衛もろとも始末してこい]
[父上。考え直して下さ…]
[任は伝えたぞ。息子よ。二度も言わせる愚息ではあるまいな?]
ぐっと喉からでかかった言葉を飲み込み、「はい」と言葉を絞り出す。
いつからだろう、父と歯車が噛み合わない。
[父の名に泥を塗ってくれるなよ?]
[御意に]
すっと立ち上がり踵を返し、王の間を後にする。
[神龍槍を]
立ち去るジェダの背から再び王の間にスポットが。
[念のためだ。別動隊でルビーの村を消してこい]
[御意]
[その後は、わかってるな?]
━現在━
「…村を襲ったのはあいつじゃなかったんだ…」
まぁ、村にジェダが来ていたら物語は終わってしまいそうだが…。
「てか、あのムービーが正しいなら、、アリアが殺される!?」
「ヤバいなー、はよ助けにいかんと~」
大慌てのシゲと、何やら冷静な凍慈。
「何でそんな冷静なんだよ」
「あのな、流石にこの手のゲームはヒロインは死なへん」
死んだパターンは無いとは言いきれないが、こんな序盤でヒロイン殺されるパターンとか、もはやヒロインでない可能性まである、らしい。
「…ヒロインじゃなかったら殺されるんじゃないか!」
「いや、アリアはヒロインで間違いないから」
「でも、アリアが酷い目に合ってるかも知れないだろ」
ゲームだから、とか。キャラがとか。
ちゃんと会話して、ちゃんと彼女はそこにいて。
「仲間だから、速く助けてあげたいんだ…」
「優しいやっちゃなぁ。まぁ、お前らしいっちゃらしいけどな」
シゲ達から50キロ程先の野営地。
「あの、、将軍?さん」
「……」
「どうして私を連れ去ったんですか?」
しかし、眼前の男はその問いには答えない。
檻に入れられている、という事もなく。野宿アイテムのキャンプコテージで待遇はどちらかというと良い。
「このキャンプコテージ…、確か繰り返し使えるタイプのだから、3000ルートだよね。シゲが聞いたらびっくりしちゃいそう」
ベッドに座ってそんな事に想いを馳せながら、足をぶらぶらさせ、ふふっと笑う。この厚待遇にアリアは少し緊張が取れてきていた。
「でも、この人達が…村を…。どうしてそんな事したんだろう」
ごろんとベッドに横になりそっと目を閉じた。
「ジェダ様、どうされますか?」
副官の問いに、ジェダはしばらく沈黙した。
何かを察したのか、副官がジェダに暖かい飲み物をそっと差し出す。
それを受け取り物思いにふける。
夜の焚き火の火が、金の髪を赤く照らしていた。
「…さて。どうしたものか」
父上は殺せ、と言った。
が、邂逅して思ったのは「この程度では脅威足り得ない」だった。
「……何かできると思うか?」
「え?」
「いや。なんでもない」
皇国ダイアモンドにあの三人の一体何が脅威なのか。
「……父上の側近の星見が間違っている可能性もある」
「ジェ、ジェダ様、そのような事を……」
皇国では王の次に星見が権力を持っている。滅多な事は言ってはいけない雰囲気があるのだ。
「ここから一番近い大神殿は?」
すっと地図が取り出されて、更に南へとピンが刺される。
「灼熱の都、ガーネットを守護するマグマ国かと」
「なら、明日そこへ向かう。今夜は皆しっかり休養するように」
「御意」




