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愛人は葡萄でした

作者: 雨露みみ

「……君は誰だ?」


 その場にいた使用人たちが一斉に顔を上げる。

 無理もない。私は──この男「アラン・ベルトラン」の妻なのだから。


「アラン様! なんてことを……このお方は奥様、セリーヌ様でございます!」


 執事が慌てて嗜めるが、彼は本気で私のことを忘れてしまったらしい。戦帰りの彼は困惑の表情を浮かべている。


 ──都合がいい。

 だから私はアラン様を責めようとする執事を手で制して、笑顔を向けた。


「おかえりなさいませアラン様。どうか、私と離婚してくださいませ」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 私は貧乏伯爵家の娘だった。

 それに対してアラン様は、武功を立ててベルトラン騎士伯の称号と財産を得た、成り上がりの騎士。彼との出会いは、社交界の華やかな夜会だった。場違いなほど豪華な会場で勧められるままに酒を飲んでいた私は、気がついた時には見知らぬ男性に支えられて立っている状態だった。その翌月に決まった私の結婚相手が、偶然にもその時の彼 ……アラン様だったのだ。


 無口でそっけない態度の彼との結婚は、もちろん政略婚。愛のない結婚生活など、貴族にはよくある話だ。それ自体に大きな不満はない。


(でも私を屋敷の中に閉じ込めて、自由に外出させてもらえないのは酷いと思うわ!)


 私の外出に関しては「俺がいる時だけだ」と一蹴され、アラン様がいない時は籠の中の鳥。いくら鳥のように煩く鳴いて文句を言ったって、アラン様は聞く耳を持たない。

 それに対して彼の方はというと、休みの日でもふらりと外出し、葡萄のような熟した果実の香りを纏って帰ってくる。行き先を訪ねてもはぐらかされてしまう。

 使用人たちにそれとなく話を振れば、どうやら私と結婚した頃から頻繁に足を運んでいる場所があるらしい。


(きっと浮気でもしているのだわ。愛人を作るのは構わないけど、だったら私の外出くらい自由にさせてくれたらいいのに)

 

 ……だから私はこれ見よがしに、元々大好きだったワインで盛大に晩酌をするようになった。アラン様が帰ってきても碌に相手もせずに、ワイン片手に部屋に閉じこもった。飲んでいる間だけは屋敷の中でも楽しく上機嫌でいられる。舌の上で転がす甘みと渋みが、胸の奥の苛立ちを覆い隠してくれるから。

 彼はそんな私を責めなかった。


 そんな鬱々とした日々は、騎士である彼が戦地に赴いた日から一変した。

 使用人たちの計らいで、私はお忍びで外出できるようになったのだ。


 川のせせらぎに、馬車からお尻に伝わる振動。

 活気あふれる市に、屋台から香る美味しそうな匂い。


 通常であればなんでもないようなことに心が躍った。どれも懐かしくて涙が出そうだった。

 

 しかし、戦が終わってアラン様が戦地より帰ってくれば籠の中の鳥に逆戻り。……の、はずだった。

 どうしてか記憶を失った彼の言葉は、私がまた自由に羽ばたくための、鍵だ。



「きっとアラン様の愛人も首を長くしてお待ちでしょう。やはり結婚は愛する者同士でするべきですわ」

「……愛人?」


 アラン様は眉間に皺を寄せて、顎に手を当てる。


「ええ。以前より熱心に通っていらしたのでしょう?」

「覚えていない。……君がその愛人なのではなく?」

「は?」


 ……何を言っているのだろう、この人は。

 

 彼はじっと、穴があいてしまいそうなほどに私を見つめて。信じられない言葉を吐いた。


「これほど美しい人が妻なら、愛人なんて必要ない」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 翌朝。私は鏡台の前に座って、鏡を覗き込んでいた。

 緩やかなチョコレート色の巻き毛に、少し吊り目気味なエメラルドの瞳。子供の頃は美人と評されることもあったが、左眉尻から頬に向かって残る傷跡のせいで、今ではそんな風に言ってくれる人は少ない。化粧をしていても、至近距離で見られるとうっすら傷跡が見えてしまうからだ。


 しかし記憶を失ったアラン様は、女性の趣味まで変わってしまったらしい。出会ってから一度も容姿に言及されたことなど無かったのに、突然美しいと評された。しかも離婚を断られたどころか「俺は君を手放したくない」と熱烈に抱きしめられた。

 何の冗談かと思ったが、彼の髪色と同じ漆黒の瞳は、真剣そのもので。……記憶を失う前には一度もなかった甘い響きに、すっかり私は戸惑ってしまった。


「……やだ、クマが出来ているわ」


 アラン様のせいでよく眠れなかった私は、昨夜遅くまでワインを飲んでいた。思ったより深酒してしまったせいか、よく見れば目の下にクマが出来てしまっていた。


 目立たぬように化粧で隠し身支度を整えてから朝食の席に向かえば、彼はすでに席についていた。


「昨日は申し訳なかった。実は結婚どころか、その数年前からの記憶が曖昧で……」

 

 どうやらアラン様は、戦場で矢を受けて落馬したらしい。命に別状はなかったが、頭を打った影響で、ここ三年ほどの記憶が曖昧だという。

 私と彼が出会ったのはほんの二年前。覚えていないのは無理もない。


「君から離婚を申し出るほどに、以前の俺は酷い夫だったのだろう。妻を忘れてしまうなんて、とんでもない奴だと俺も思う。しかし少なくとも今の俺は、君と睦まじい夫婦でありたいと思っている」

「はぁ……」


 顔が同じだけの別人なのではないかと疑ってしまうほどの衝撃だ。すぐに上手く言葉が出てこなかった私だが、そう言われて「はいそうですか」と受け入れられるような心の広さは持ち合わせていない。


「……それは少々都合が良すぎるのではありませんか? アラン様は以前のことをお忘れでしょうが、私は覚えているのです。そう簡単に睦まじい仲になど……」

「頼む。俺に挽回する機会をくれ。必ずセリーヌのことを思い出してみせる。君が、そのまま俺と暮らしたいと思えるような環境を作ると約束するから……」


 ──だから、ここにいて欲しい。


 懇願とも言えるような彼の言葉。

 あれほど離縁したい、自由になりたいと思っていたのに……以前はあんなにも無愛想な態度だった彼の変わりように、私は心底困惑し戸惑ってしまう。ふぅ……と肺の奥から、深く息を吐いた。


(……そうだわ。私は自由に出歩けるのなら、アラン様が何をしていようが構わない。ここで折れたふりをして、彼と上手く交渉すればいいのよ)


 ひとまず離婚の話は彼が記憶を取り戻すまでは保留にすることにした。きっと愛人のことを思い出せば、離婚に応じてくれるだろうから。

 その代わり、一つの要望を出す。


「……では。離婚の話を保留にする代わりに、自由に外を出歩く許可をくださいませ」

「それくらい、護衛を連れて行くのなら自由にすればいい。……が、今回は俺が付いて行こう。どこへ行きたいんだ?」


 思わず耳を疑った。


(あんなに私を外に出したがらなかったのに、こんなあっさりと許可を出すなんて!)


 結局彼がついてくるのは以前と変わりないが「今回は」と言うからには、それは必須条件ではない。

 思った以上の色良い返事に、私は嬉々として答えた。

 

「じゃあ、街歩きに行きたいです」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「あの……アラン様?」

「何だ」

「私がしたかったのは『街歩き』です。フルオーダーのお仕立てではありませんわ!」


 一緒に外出したアラン様は、私を服飾店に引っ張り込んだ。可愛らしいレースが特徴的で日常使いもできそうな秋物のドレスを何着かオーダーしてくれて、私はすっかり気分を良くしていたのだが。

 ……これでは、目的が変わってしまっている!

 

 だから私は服飾店を出た後に、アラン様に対して一言文句を述べたのだ。


「女性はお洒落が好きだと聞くから、セリーヌもそうだったかと思ったのだが」 

「もちろん嫌いではありませんが、私は単純に外を歩くのが好きなのです。ほら、こうやって歩いているだけで、沢山のことが感じ取れるでしょう?」


 行商人の客引きの声に、その近くを走り回る子供たち。

 果物屋の果実を狙って忍び寄る鳥が、追い払われてバサバサと飛んでいく。


「……なんでもない日常風景だな」

「ええ。でもこんな平和な日常風景も、戦に巻き込まれれば失われてしまうもの。故郷が戦火にのまれたことのある私にとって、平凡な日常はいつまでも眺めていたい平和の象徴なのです」

 

 風がアラン様の髪を撫でて前髪が揺れ、驚きの色を滲ませた黒の瞳が露わになる。


 私が生まれ育ったモンフォール伯爵領は、十年前に戦に巻き込まれて一度は荒れ果てた土地。当時八歳だった私は騎士様に助けられたが、仲のよかった多くの子供達や後継だった弟は──帰らぬ人となった。領地はすぐに取り戻され敵軍は撤退していったが、私の心と体に傷跡を残した。


 だから私は屋敷の外へ出て、自らの足で街を歩いて日常を眺めるのが好きなのだ。平凡な日常は、見ているだけで「戦が終わり平和になった」ことを示してくれるから。

 

「先日は離縁して欲しいと申し上げましたが。アラン様は私との婚姻を機に、モンフォール領に自衛軍を持つよう助言してくれました。そしてその援助をしていただいた点には、心より感謝しているのです」


 だからこそ私は嫁いできた来た当初、アラン様に淡い恋心を抱いていた。アラン様が騎士であったことから、昔自分を颯爽と救ってくれた騎士様と重ね見て……少女のような夢物語を想像したこともある。

 ただアラン様があまりにも私に興味がないので……すぐに無駄な感情だと分かり、切り捨てたわけだが。


「そうか……十年前のモンフォール領の悲劇はよく覚えている。新米騎士だった俺の初陣だ」

「え!? そんなお話は初めてお聞きましたわ。どうしてそんな大切なことを教えてくださらなかったの? そうと知っていれば、モンフォール領を助けるために尽力していただいたお礼を──」

「どうしてと言われても、残念ながらセリーヌと過ごしたここ数年の記憶がないんだ。むしろ、結婚したのに何故伝えていなかったのだろうな」


 そうだった。馬鹿な質問をしてしまったと、己に呆れた。


「それでも昔の姿はよく覚えている。あの少女を妻に迎えていたのか……なかなかに感慨深い」

「な……! それこそ忘れてください!」

 

 マナーもなっていなかった頃の私を知られていたなんて想定外。私は恥ずかしさを誤魔化すかのように、アラン様の腕を掴む。


「これ以上記憶を失うのは御免だ。……そうだ。昔のセリーヌの話をすれば、ふと記憶が戻ったりしないだろうか? あの頃のセリーヌは──」

「やめて下さいませ! もう……私を揶揄って遊ばないで下さい!」


 すると彼は破顔して楽しげに笑って。……胸の奥がぎゅっと締め付けられた。


(アラン様ってこんな風に笑うお方だったのね……)


 私は妻なのに、アラン様のことをほとんど何も知らない。

 そんな寂しさが心の内を占めていく。

 こんな気持ち……気が付かないままでいられたら、きっと楽だったのに。

 

(アラン様の愛人は、こんな風に彼と過ごしていたのかしら)


 寂しさの中に生まれた心のざわつきは、自分でも理由が分からない。……どうにも居心地が悪い。


 

 ひとしきり笑ったアラン様は、スッと私の手を取り自分の腕に添わせて歩き出す。さりげなくエスコートしてくれる彼の優しさが、心のざわつきを穏やかにしてくれた。


「もっとセリーヌについて教えてくれないか。君の好きな、街歩きをしながらでいいから」

「私について、ですか?」

「ああ、記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない。こう見えても俺は君を繋ぎ止めるのに必死なんだ」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 その後。アラン様と私は他愛もない話をしながら、露店の立ち並ぶ市の方へと向かった。焼き菓子の甘い香りや、香辛料の刺激的な匂い。それに混じって色とりどりの果物や織物が目に飛び込んでくる。そんな場所を歩きながら、好きな食べ物だとか、趣味だとか……そんな話をしつつ、露店を見て回った。


「そうか、セリーヌはワインが好きなのだな」

「ええ。果実酒は何でも好きなのですが、元々葡萄が好物なのもあって、ワインが一番好きなのです」


 好きな物の話題となれば、話も弾む。そういえば以前のアラン様とはこんな話すらほとんどしたことが無かった。

 それなのに今のアラン様とは、ぽんぽんと会話が続く。

 

「俺も果物なら葡萄が好きだな。……せっかくなら、屋敷の庭で葡萄を育てられないだろうか?」

「どうなのでしょう。でも自分で育てた葡萄でワインを作れたら素敵ですよね」

「ああ。いつか自家製のワインを持って、一緒にピクニックに出かけたいものだ」

「まぁ! とても楽しそう。持っていくサンドイッチの中身は、チーズと厚切りのハムがいいわ」


 そう返事をしてハッとする。

 これからもアラン様と共に暮らす未来を、当然のように想像したことに。

 そしてその未来図が、私にとっては幸福な温かい家庭でしかなかったことに。

 

「身近に園芸に詳しい者がいればいいのだが。うちの庭師に聞けば分かるだろうか」

「あ、ちょうどそこの露店が種木商のようですわ。せっかくなので聞いてみてはいかがでしょう」


 先程までの想像を追い出すかのように、白髪の混じった中年男性が営むその露店に近寄る。その店主は人好きする笑顔で私たちに笑いかけた。


「あぁ、アラン様! お久しぶりですね。どうですか? あの苗木の様子は」


 どうやら店主はアラン様と顔見知りのようだ。しかしアラン様の腕に手を添えていた私には、彼の動揺が伝って来ていた。


「……もしかして、覚えていらっしゃらないのですか?」


 私の小声の問いかけに、アラン様は一呼吸置いてから小さく頷く。

 記憶喪失なんて、大っぴらに言い広げて良いことではない。


「取り寄せるのに苦労したんですからね、あの品種。酒にすれば芳香な香りで──」


 店主はアラン様が記憶を失っていることなど知らずに喋り続ける。どうにか誤魔化せないかと、彼のシャツをキュッと握った瞬間だった。アラン様はぐいっと私の肩を抱く。


「すまないが、今日は妻と一緒でな。また後日報告に来る」

「あぁ、例の」


 幸い、店主はそれ以上口を出してくることはなく、私たちはその場を後にした。

 しかし、それはそれで……記憶があった時のアラン様が、私のことを外で話していたことを意味している。


(あれほど私に興味がなさげな様子だったのに? ……もしかして、私がワインに溺れている愚かな妻だとか、そんな話をこぼしていたのかしら)


 それに私が見ていた限りだと、アラン様に園芸の趣味はない。先程お互いのことを話していた時だって、彼は「体を鍛えるのが好きだ」と、趣味なのか仕事の延長なのか分からないことを言っていたくらいだ。苗木なんて買う用事はないだろう。


 それなのに、あの店主は確かにアラン様のことを知っていた。


(じゃあ何のために、種木屋に訪れたの?)


 答えは一つしか思い浮かばない。


(……きっとアラン様の愛人が、植物がお好きな人なのね)


 愛人と一緒に店を訪れて、彼女が欲しがった苗木を買ったのだ。その際に私への愚痴でもこぼしたのだろう。

 店主だって、それを知っていたから「妻と一緒」と説明したアラン様を深追いしなかったのではないだろうか。


 アラン様は私の肩を抱いたまま、早足で露店の立ち並ぶ区画から去ろうとする。軽く声をかけたが、聞こえていないのだろうか。返事もなく、歩く歩幅も大きくなる。

 

 ……肩に食い込む彼の指先が、痛い。


「──アラン様。アラン様! 痛いです、離して!」


 私の呼びかけでハッとしたアラン様は足を止めて、私を解放した。


「すまない、考え事で気が漫ろになっていて……! 傷になっていないか? これ以上痕が残ったら──」

「……少し気分が悪いです。人に酔ってしまったので、少しだけ一人で休ませてください」

 

 少し離れた場所にある噴水脇にあるベンチに座り、アラン様は飲み物を買うと言って再び露店の方へと去って行った。

 その背中が焦っているように見えたのは、私の気のせいだろうか?


「……あの種木屋で、愛人の話でも聞くのかしら。それとも──何か以前のことを思い出した?」


 胸の奥に、鈍い痛みが広がっていく。

 私は、やっとこの気分の悪さの正体に見当がついた。



 ──嫉妬だ。



 気がついた瞬間、乾いた笑い声がこぼれた。


「ふふ……馬鹿みたい、私」


 このまま私だけを見てくれるアラン様でいて欲しい。

 アラン様の記憶が戻らなければいいのに。

 そんなことを願ってしまうなんて、なんと愚かなのだろう。

 

 今朝の私は、彼が記憶を取り戻して、すんなり離縁してくれればいいとさえ考えていたのに。

 

 ……こんなに簡単に、以前抱いていた気持ちを再燃させてしまうなんて。


「……ワインが飲みたいわ」


 こんな感情、酔って誤魔化してしまいたい。


 そう思った瞬間だった。ベンチに座っていた私の背後から影が差して、低い声が響く。


「では一杯お付き合い願えますか? お嬢さん」


 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「助けて! 後続の馬車に子供達がいるの……!」


 敵の襲撃を受け横転した馬車。辺りは血の匂いが漂い、倒れた敵兵の呻き声が響く。

 モンフォール伯爵夫人は、戦に巻き込まれてしまった領地から避難する最中だった。そこを運悪く敵兵に見つかってしまい、襲撃を受けたのだと言う。


「夫人、落ち着いて。ここには貴女の馬車しか居ないようですが、後続の馬車はどこへ?」

「分からないの! あの馬車には執事も一緒だったから、私の馬車が襲われたのを見て進路を変えたのかも……!」


 上官が夫人を落ち着かせて状況を把握しようと努めているが、そんな悠長なことはしていられない。


「上官、俺が行きます!」

 

 十八歳の新米騎士だった俺は指示も待たずに、一人で森の中へと馬を走らせた。

 脳内に地図を描いて、一緒に馬車に乗っていたという執事が選ぶであろうルートを考える。そしてそれを奇襲するのに最適な場所を割り出して向かえば。……まさにその場所で馬車が停められていた。しかしそこには、地面に伏した執事の姿しかない。


「くそ……っ、まさか子供たちだけで逃げたのか? それとも誘拐?」


 俺の中に焦りが生まれる。子供の行動は突拍子もなく読みにくい。逃げたのであれば、捜索は難しくなる。

 森の中の細い道を疾駆しつつ周囲を捜索していれば、少女の悲鳴が耳に届いた。

「間に合ってくれ!」と何度も心の中で唱えながら馬を走らせれば、帽子を目深く被った子供が敵兵に腕を掴まれているのが見えた。

 

「ちっ……お前は生捕りで連れ帰るように命じられている。大人しくしろ」

「──いやです! 私はあなた方の言いなりになんてなりません。離しなさい!」


 膝の見えるパンツスタイルに、帽子の中に収まってしまうほどに短い髪。出立ちからすれば少年のようだが、その声は間違いなく女の子だった。少女の強気な発言に、敵兵が苛立ったのが見て取れる。


 俺は剣を抜き、馬から飛び降りながら叫ぶ。


「伏せろ!」


 叫ぶと同時に、少女を捉えていた敵兵に斬りかかる。

 驚きで目を見開いた少女と視線が合った。そのエメラルドのような瞳は恐怖に揺れながらも、強い意志を持って真っ直ぐに俺を射抜く。

 この子を守りたいという思いが、確かに俺の中に生まれた。


「騎士様あぶない……っ!」


 彼女の声で、瞬時に振り返って敵の攻撃を剣で受け止める。

 次々と敵を斬り払うが、どうにも敵の数が多い。彼女はゆっくり後ろへ下がり、俺に言われた通り身を小さくしていた。

 そこで違和感に気がついた。


(確か伯爵家の子供は二人だ。もう一人、男の子がいたはず──)


 どこにいるのかと周囲を確認しながら剣を振るが、どうにも姿が見えない。早く敵兵を倒して探さなければという気持ちが俺の判断を鈍らせたのだろう。仕留め損ねた敵兵が、少女に剣を向けた。


 ……気がつけば。先程までの喧騒が嘘のように静まった森の中で、俺は少女の止血をしていた。

 左眉から頬にかけてと、その延長で肩から背に向かっての大きな傷。幼い少女が負うには痛々しいその傷に布を強く押し当てる。


「痛いだろうが我慢してくれ。大方血が止まれば、すぐに安全な場所まで連れていくから」

「……ウィルは? ウィルは無事なの?」


 少女は痛みで苦痛の表情を浮かべながらも、ウィル──おそらく弟なのだろう。他人の心配を始めた。


「きっと狙いは嫡男のあの子よ。だから追手を撒くために別れて逃げようって、別方向に走ったの」

「……賢い子だな。だから弟と服を取り替えて君が囮になったのか」


 髪も自分で適当に短剣か何かで切ったのだろう。ざっくりと切られており、まばらな毛先はご令嬢にはあるまじき状態になっていた。

 

「だから私は放っておいていいの! お願い、ウィルが無事か確認して!」


 しかし、大怪我を負ったこの子を見捨てることはできない。

 それでも……宝石よりも強く輝くこの瞳から向けられる眼差しを、無視することも憚られる。

 

 どちらを優先させるべきか。結論を出した俺は──嘘をつく。


「大丈夫だ。俺の仲間たちが君の弟も保護しに向かっている。……だから君を、安全な場所まで送らせてくれ」


 こうでも言わねば、怪我を負っているにも関わらず彼女自身が弟を探して駆け出しそうだった。

 彼女を安全に守るために、必要な嘘。だから……仕方ない。


「よ……かった……良かった」


 ぽとりと、地面に涙が落ちた。


「じゃあウィルも大丈夫ね。どうなることかと思ったけど、本当に良かった……」


 今までの気の強さは何だったのかと思うほどに、少女は肩を震わせて嗚咽をあげ、涙を流し始めた。

 きっと無理をして強がっていたのだろう。そう思えば愛おしさが溢れた。


 ──しかし俺はこの後、彼女を絶望に陥れることになる。


 その後何日探し回っても、弟のウィルは見つからず。後日森の中から、ウィルが着用していたはずの、姉のドレスだけが見つかった。

 彼は敵軍に殺されたという扱いで、弔いを受けることになった。

 少女──セリーヌは自分を責め、別々に逃げたことを後悔しているらしい。


 ……同様に、俺も己を責めた。


 側にいながら、痕の残るような大怪我を負わせてしまったことに。

 安易な嘘を並べ、彼女を傷つけたことに。


 贖罪というわけではないが……せめて。彼女が二度と危険な目に遭わないように、守ろう。そんな執念にも近い思いを抱き、俺はこの後の戦いに身を置いて。……無事モンフォール伯爵領は敵の手から取り戻された。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



(モンフォール伯爵夫妻は、セリーヌしか守れなかった俺を責めることはなかった。むしろセリーヌの命があっただけでも良かったと言ってくれたが……彼女は、嘘をついた俺のことをどう思っているのだろう)


 俺の記憶がある限りでは、あの後彼女と接触する機会は一切なかった。伯爵令嬢と一介の騎士では身分が違いすぎたのだ。

 しかし結婚しているのだから、再会して謝罪し打ち解け合ったのかと思ったが……どうやら以前の俺はあの戦に参加していることすら話していなかったようだ。さりげなく昔のセリーヌの話を出してあの頃の話をしようとすれば、止めてくれと言われしまう始末。まさかセリーヌに何も伝えていないのだろうか。


 失った記憶中での、己の行動の意味が分からず、肺の奥底からため息を吐いた。


「まさか戦地から戻って一目惚れした相手が妻で、昔助けた少女で、いきなり離婚を切り出されるなんて。運が良いのか悪いのか……」


 いくら結婚の経緯が不明でも。過去に守りたいと願い助けた存在──それが妻として目の前にいるのだ。閉じ込めてしまってでも離したくない。二度と彼女を危険な目に合わせたくなければ、絶対に離婚もしたくない。


(しかし、俺に愛人がいたという話は本当なのだろうか? 俺の性格を鑑みれば、望んで彼女を妻に迎えたはずだ。そんな奇行に走る訳がない)


 こちらに何かを訴えかけるように強く輝くエメラルドの瞳。少女の頃と同じく意志の強さを感じさせるその輝きに、俺が惹かれないわけがない。それなのに、先ほど一欠片だけ取り戻した記憶の断片によれば──以前のセリーヌは、俺に対して明確な嫌悪感を表していた。

 

 過去の自分を殴り飛ばしてやりたい衝動を抑えながら、俺はセリーヌのために果実を絞ったジュースを購入した。人に酔ったと言っていたので、さっぱりとした柑橘系のものがいいだろう。


 そうやって選んで、元の場所に戻ろうとした所で──セリーヌの悲鳴が聞こえた。頭で考えるより先に、俺は駆け出していた。

 


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「やだ、離してください!」

「まぁまぁそう言わずに。あっちで一緒に飲もうよ。飲めば気持ち良くなって楽しいんだから」


 突然現れた、小綺麗な見た目の怪しい男。ベンチに座っていた私の手を引いてどこかへ連れて行こうとするので、私は必死に抵抗していた。

 

「嫌です、私は絶対に外ではお酒を飲まないって決めているの!」

「どうして?」

「それは──」


 ──どうしてだったか。よく覚えていないが、そう誰かと約束した気がするのだ。


「……貴方には関係ありません!」

「可憐な見た目の割に気が強いお嬢さんだ。でも男に本気を出されると敵わないって学んだ方が──」


 ぐいっと肩がが後ろに引かれたと思った瞬間。鈍い音と共に、男の体は宙を舞う。


「──汚い手で妻に触れるな!!」

 

 低く唸る声と同時に、視界を横切った影が男を蹴り飛ばした。


「アラン様……っ」

「遅くなってすまない……! セリーヌだけは、絶対に俺が守る。俺が守るから──」


 私を抱きしめるアラン様は、どこか様子がおかしい。私はただナンパ目的の男に声をかけられただけなのに、どうしてそう切羽詰まったような表情をしているのか。


 地面に叩きつけられた男は完全に沈黙した。どうやら衝撃で気を失ってしまったらしい。


「ど、どうしましょう。とりあえず道端に寄せて……」

「そんな下衆男、捨て置けばいい。セリーヌが気に留めてやるような価値はない」


 そう言い放ったアラン様は、その怒りを今度は私に向ける。


「しかし、セリーヌもセリーヌだ! 外で酒は飲むなと、あの時散々言い聞かせたのに、こんな怪しげな男から貰った酒を飲むなんて!」

「……言い聞かせた?」


 その言葉が引っかかった私は、首を傾げる。

 私はアラン様とそのような話をした記憶はない。まさか私も記憶喪失なのだろうか? そんな馬鹿な。


「私はあんな男から貰ったお酒を飲むほど不用心ではありませんわ。それに……アラン様。その口ぶりですと、記憶を取り戻されたのですね?」


 アラン様がしまったという表情をするが、もう遅い。

 わざとらしく口角を上げて微笑めば、アラン様は以前と同じように「……明日、全て話すから」と、ぶっきらぼうに告げて。私の心の内にしこりを残した。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 楽しむための街歩きだったのに、後味が最悪になってしまった昨日。私はどんよりとした気分で朝を迎えていた。


 昨日私と一緒に屋敷に戻ってきたアラン様は、急ぎ馬を走らせてどこかに向かったらしい。

 だから私は、ワインを飲む気力すら湧かなかった。当然、アラン様と一緒の朝食の席にはつきたくない。


「……馬鹿みたい。こんな気持ち、気が付かなければ今まで通りでいられたのに」


 朝食も取らなかった私の部屋に訪れたアラン様は、どこか緊張した面持ちだった。


「侍女から体調を崩していると聞いたが……」

「ええ。アラン様は昨晩愛人とお楽しみだったのかもしれませんが、私は体調不良で碌に眠れませんでしたわ」

「は? 俺はすぐに屋敷に戻って──まぁいい。それよりも、今から外に出られそうか? セリーヌを連れて行きたい場所がある」


(まさか愛人と直接対面させる気?)


 愛人の方をここまで連れて来なさいよ、と思ったが。ここまで来ればもう、早く真実を知って楽になってしまいたい。

 そんな気持ちで私は馬車に乗り込んだ。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 二時間ほど馬車に揺られてたどり着いたのは、一面の葡萄畑だった。


「わ……ぁ! 凄いわ、夏のこの時期から葡萄がこんなに沢山実っているなんて」


 葡萄好きな私は思わず声が弾んだ。瑞々しい房がたわわに実り、陽の光が当たってキラキラと宝石のように輝いている。

 鼻先をくすぐる甘い香りは……以前アラン様がふらりと出かけた後に、時折纏っていた芳香な香りと同じだ。


(まさか愛人は葡萄園の娘なの?)


それならば種木商と面識があったのにも納得がいく。


「……それで。アラン様の愛人はどちらに?」

「葡萄だ」

「は?」


 この後に及んで何を言っているのだろう、この人は。


「冗談はやめてください。何でもいいですから、早くアラン様の愛人に会わせてくださいませ。この葡萄園の娘なのでしょう?」

「だから! セリーヌの言う俺の愛人というのは……葡萄なんだ」

「……どういう意味ですの?」


 まさか葡萄の精霊と恋仲だなんて話をされるのだろうか。ただの人間の愛人と対面するよりも、よっぽどファンシーで深刻な事態に、私は思わず身構えた。


「何から話せばいいのか分からないのだが……セリーヌは夜会で酷く酔って俺に介抱された日のことを覚えているか?」

「初めて参加した夜会でしたから、もちろん覚えています。気がつけばアラン様に支えられて立っている状態で、最後には抱いて運んでくださったわ」

「あの日のセリーヌは、君に吸い寄せられたかのように近寄ってきた男達に散々酒を飲まされて、危険な状態だった。俺は男たちを始末して、不用心な君に説教した。……君は何と言ったと思う?」


 私は首を捻った。なけなしの酔っ払いの記憶を手繰り寄せて、自分の発言を省みて。……ようやく、該当するかもしれない一言を探り当てた。

 

「まるで昔助けてくれた騎士様のようだと──」

「ああそうだ。しかも、その騎士がまさに俺だ」

「……え?」

「十年前、俺は君を守るために戦った。だが俺は傷つけてしまった。セリーヌの、心も体も」


 その声は硬く押し殺されている。

 見たことがないほど深い後悔が、黒の瞳の奥に沈んでいた。


「何を言ってらっしゃるの? あの時、私は助けていただいて──」

「いいや、俺の油断が君の体に傷跡を残した。弟もすぐに保護されるだろうと嘘をついてしまったばっかりに、君はより深い悲しみに暮れることになった。……ずっと後悔していたんだ」


 違うと言いたいのに、彼の表情があまりに深い後悔を私に伝えてくるので、何と言葉を返していいのか分からなくなる。思わず視線を彷徨わせた。

 そんな私を見たアラン様は、深く息を吐いてから葡萄棚の方を眺めた。

 

「夜会の参加者に君の名前を見つけて、謝罪するよい機会だと思い、俺は君を探した。美しく成長した君に目を奪われると同時に、昔あの戦場で君を守りたいと思った気持ちが蘇った。だから男たちを追い払ってから君に約束させたんだ。二度と外で酒は飲まない、と」


 そういえば──そんな流れで約束をしたような気がする。


「酔っているのに、君は昔と変わらない綺麗な瞳で俺を見上げてくるから……俺はすっかり君の虜になってしまった。だから妻に迎え、屋敷の中に閉じ込めた。一生この手で守り愛したかったと言えば高潔だが、見方を変えればただの酷い独占欲だ」

「では、どうしてあの時の騎士様だと、教えてくださらなかったの……?」

「傷を負わせた責任感で結婚したのだと思われたく無かった。嘘をついたことを責められ心を閉ざされてしまったらと思えば怖くて、あの時の俺はあえて距離を取った。屋敷に閉じ込めている時点で嫌われているのにな。……実に身勝手な話だろう?」


 私は胸の奥がざわつくのを感じた。

 これまで感じていた苛立ちや不信感といった負の感情が揺れ動き始める。それでも……、まだ信じ切るには早い。


「私の外出を禁じていた理由は分かりましたわ。では、この葡萄園は何なのです?」

「約束を守って屋敷の中で酒を嗜む君に、好物のワインを手作りして贈りたかった。セリーヌはワインを飲んでいる時は上機嫌だったから」

「え? じゃあ愛人が葡萄っていうのは──」

「ここまで重い感情を持った男が、愛人なんて作ると思うか? それなのにセリーヌが誤解するから……あえて言うなら、『葡萄』が愛人だと言ったまでだ。新しい苗を植え、多くの時間を割いて世話していたことは事実だから」 

「……待って、少し待ってくださいませっ!」


 アラン様は幼い私を助け、助けられなかった弟のウィルのことを気に病んでいて。

 夜会で不注意極まりない行動をした私を注意しただけでなく、ずっと守りたいとまで思ってくれて。

 アラン様にとって不名誉極まりない誤解を私がしていたにもかかわらず、私の好物であるワインを手作りしようとしてくれていた。


 ──愛情深くて、至極不器用な人ということ?


 私は一度視線を落として、息を整えようとする。それなのに、逆に私の顔はじわじわと熱が溜まっていく。

 浅はかで自己勝手な嫉妬心を恥じる気持ちが、私の体を震わせて。

 それと同時に、愛人なんていなくて──始めから私はアラン様に愛されていたのだという事実が、私の視界を滲ませる。


「ずっと黙っていて申し訳なかった。貴族の君は、平民上がりの騎士伯に嫁ぐだけでも屈辱だっただろうに……」

「いいえ! 騎士伯は絶え間ない努力を重ね、国を助けた者の証。それを見下したりなんて、私はいたしません。それに……私はずっと、あの騎士様にお礼が言いたかった! アラン様が守ってくださらなかったら、私はこの場に存在しません。傷跡なんて、命に比べればなんてことないものです」


 ウィルと同じように、遺体すら見つからない事態になっていた可能性だってある。

 私の命は、アラン様が繋いでくれた命だ。

 

「それにアラン様は先程から嘘をついたというお話をされていますが、騎士の皆様がウィルを探してくれたのは事実です。あの時アラン様はウィルが助かったとは言っていませんよね? 私が早合点して安堵していただけで、それでアラン様を責めるなんてお門違いですわ」

「セリーヌ……」

「あの時の私の行動を鑑みて後悔することはあれども、あの時のことでアラン様を憎く思ったことなどございません。……むしろ令嬢にあるまじき振る舞いをして弟を助けようとした私の行動を『賢い子だ』と褒めてくださったのは──アラン様だけです。だから私にとってあの騎士様は、後悔に潰れてしまいそうだった私の心を支えてくれた特別なお方でした」

 

 そう言い切った私を、アラン様は驚いたように見つめた。

 そして覚悟を決めたかのような表情で、私の両肩を掴む。


「すまなかった。君が外に出たい理由も碌に聞かず、屋敷に閉じ込めたりして。今後はそのような行動は慎み、真っ当に愛して守り抜くと誓おう。だから、どうか離縁だけは……」

「私こそ、色々と勘違いして申し訳ございませんでした。私、葡萄たちに嫉妬して拗ねてしまっていたくらいには……アラン様をお慕いしていたみたいなの。だから、離婚のお話は無かったことにしていただけませんか?」


 やっとアラン様の黒の瞳の奥に、安堵の色が浮かぶ。


「アラン様。何度も助けてくださってありがとうございました。私、アラン様と結婚できて良かった」

「あぁセリーヌ……君の口からそんな言葉を聞けるなんて、夢のようだ」

 

 婚礼の儀以来交わることのなかった吐息が、葡萄の芳香な香りと共に重なり合って。……唇を離した私たちは自然と笑い合う。


「ねぇアラン様。ワインが出来たら、私が初めに飲んでもよろしいですか?」

「勿論だ。……ただし、飲みすぎないようにしてくれ。今後は飲めない時期もあるだろうから」

「ふふっ、じゃあ私と子供のために、葡萄ジュースも作れるようにしておいてくださいね。それよりも昨日の種木商から買った苗はどれですか?」

「あぁ、それなら──」



 手を取り合って、私たちは葡萄棚の奥へと歩き出す。


 陽射しを受けた葡萄の房が、私たちの未来を祝福するかのように、きらきらと輝いていた。


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