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今へ繋がる話

らっちゃんと規衣ちゃん、薫ちゃんの出会い編です。

らっちゃん視点。




最初から意味がわからない奴だった。きっとあいつのせいで俺の人生は変わった。それがよかったのかどうかはわからない。ただ、あいつがいなければ俺の人生はもっと刺激の無いものになっていただろう。










「ねぇ、君さぁ僕達と友達にならない?」




昼休みの教室。1人で本を読んでいるとクラスメイトに声をかけられた。そいつはクラスの中で1番といってもいいくらいの変わり者で、幼なじみだというやつと一緒に俺の机の前に立っている。顔だけは2人ともいいので、性根の腐った奴らにキャーキャー言われているが、どこがいいのかさっぱりわからない。ある意味問題児だ。同じクラスというだけで迷惑しているのに、友達?ふざけんな。




「そんな名のついた関係をお前らと築くつもりはない。他をあたってくれ。」




目を合わせることもなく言い放つ。まぁ、クラスメイトという名のついた関係はあるのだが、そこは気にしない。そもそも友達が欲しいと思ったことは1度もないし、これからもないだろう。勉強して大学に行って大学教授になるのが俺の目標だ。両親と同じ職業につくというのが小さい頃からの夢だった。




「やだっ。だって僕達らっちゃんと友達になるって決めたから!!ねっ、薫。」



「そうだよ。諦めなよ、らっちゃん。規衣は1度やるって言ったらやる奴なんだから。」




なんだ?『らっちゃん』とは、俺のことか?




「その呼び方やめろ。」



「じゃあ何て呼んだら友達になってくれるの?」




べつに、どんな呼び方をしたって友達になるつもりなどないのだが。ここで初めて顔をあげ2人を見る。親が会社を経営しているとこなんかは是非ともお近づきになりたい相手だろうが、生憎俺にとってはどうでもいい奴らだ。だいたいこいつらはいつもクラスの中心にいて、友達なんか腐るほどいるはずだ。わざわざ俺に話し掛けてくる理由はなんだ?クラス全員と友達になろうとでもしてるのか?それとも、いつも1人で本を読んでいる俺への同情心か?どちらにしても、ひどく迷惑な話だ。




「たとえどんな呼び方だろうとお前達と友達になるつもりはない。」




図書館にでも行こうと席を立つと2人とも後をついてくるから目立ってしかたがない。




「らっちゃん歩くの早い。僕らに合わせようって気はないの?」



「そーそー。俺ら何にも悪いことしてないのに、何でそんなに嫌われてるわけー?」




あまりにも煩くてうっとうしい。




「俺はお前らのようにフラフラ生きているようなやつが嫌いなんだ。もう話しかけるな。」




振り返ってみるとポカンとしている兎廩。ちょっと言い過ぎたか?




「僕はらっちゃんと友達になりたいの。だから、諦めないから!!」



「規衣は諦めと物分かりが悪いから、さっさと折れたほうがいいよ。」




……もっと言ってやればよかった。










結局どこに行くにも引っ付き虫のようについて来て、午後の授業が始まる頃には精神的にクタクタに疲れていた。これ以上付き纏われたら身体がもたない。いつもは図書館で勉強してから帰るところを今日は急いで寮に帰った。部屋に入るとしっかり鍵をかけて、そのままベッドに倒れ込んだ。制服にシワがつくと思ったが今は動きたくない。




「制服着たまま寝たらシワになっちゃうよー。」




だから、動きたくな……って




「お前が何故ここにいる!?」



「だって忍者になりたいんだもん。」




だもんじゃない。




「っていうのはホントなんだけど、細かいこと気にしちゃだめだよ〜。俺は君と話しがしたかったの、規衣抜きで。」




こんなに真剣な顔をして話す峻岑を今まで見たことがない。




「実は、規衣って両親とうまくいっていなくてさぁ。らっちゃんも中等部からいたから知ってると思うけど、規衣って仕事ができないでしょ?だから、家も姉が継ぐらしくって。居場所がないみたい。…だから、好きになれとはいわないから。せめて、邪魔扱いだけはしないであげて?これが周りにわかったら家目的で近寄って来ていた人達になんて言われるかわかったもんじゃないから、誰にも言えなかったんだ。」




沈んだ顔して言うからには本当なんだろう。本当のことなら悪いことをした……か?そういうことなら少しくらい話しをしてもいいと思う。だが、一様裏をとっておかなければ。直感的にコイツは侮ってはならないと思う。










「で、俺のところに来たと?」




やってきたのは担任である天巳のところ。この人は毎年1年を受け持つと決まっているらしい。まぁ、人当たりがよくて明るいからなっとくだが。

一様私的な話なので職員室の奥にある部屋に入れてもらった。




「その話は本当なのか?」




「さぁ、そんな話は聞いてないけど。…それが本当だとしても学校に連絡はしないだろうし、峻岑が言っていたように周りにバレるのは避けたいだろうから。それにそんな個人情報俺の口からは言えない。」




もっともな話だ。そうなると峻岑の話を信じるしかない。…危険なような気もするが、本当だとしたら気をつかうべきなのかもしれない。




それからは極力話し掛けられたら答えるようにしたし、移動教室だって一緒に行った。精神が擦り減るような気がしたがなんとか堪えた。俺って実は凄く良いやつなんじゃないか?




そんなこんなで月日は流れ、慣れとは怖いもので兎廩に話し掛けられると普通に返事をする自分がいた。だが、『規衣って呼んで!』発言には答えなかった。なんか負けた気がするから。これからも呼ぶことはないだろう。

気がつけば1年が終わろうとしている。2年生になってもクラスのメンバーはあまり替わらないだろ。春休みに入る前に、ただただ退屈でしかない生徒会選挙が行われる。この学園の生徒会は腐っている。メンバーは所謂美形と言われる者達で構成されており、一言で言うと人気投票だ。中等部でも同じで、兎廩峻岑は生徒会に入っていた。兎廩の仕事のできなさっぷりは全校生徒に広まっており、なんでも副会長がノイローゼになった程だとか。選ばれたやつは悲惨だな。




『生徒会に選出された者はステージに上がってください。』




今日で引退となる副会長の声が響く。思えばここも最悪だったな。完璧なる王権政治。まぁ、俺に被害はなかったが、そのせいで学校をやめた奴が後を絶たなかった。今度もある意味危ないが。




『生徒会長、兎廩規衣。』




やっぱりか。これで次の1年間学園の未来は真っ暗だ。




『副会長、』




最悪な役所だな。1年間兎廩のお守りか。きっと動物園の猿より手を妬くことになるんだろう。実際俺だって数ヶ月一緒にいただけでストレスが今まで感じたことがないくらい溜まった。この決定に拒否権がないのが人権無視だと思う。




『朔螺埒』




………は?今なんて言った?俺の名前を言わなかったか?同姓同名はいなかったはずだ。となるとやっばり俺か?

珍しく頭が真っ白になり、反応が遅れてしまった。




『朔螺埒君、前に。』




どうやら聞き間違いではないらしい。くそっ、はめられた。渋々ステージに登る。




「やったー、らっちゃんも一緒?これからもヨロシク!!」




声をかけられるが、反応を示すことはしない。こっちはよろしくしたくなどない。




『会計、峻岑薫』




呼ばれてこちらに向かって来る峻岑と目が合うとニッコリと笑われた。そして俺のすぐ隣にくると小声で『規衣のお世話ヨロシクね!』と言われた。確信犯か。わざと俺に近づいて目立たせやがって。副会長にして会長の仕事をさせる気だな。立場上しなければならないからな。

峻岑を睨みつけたが効果はないらしい。ニコニコして『今年は安泰だ〜』などと言っている。腹が立つこと甚だしい。絶対に誰か道連れにしてやる。俺だけこの仕打ちなど許されるものではない。そのだれかよ、恨むならコイツらを恨め。










それから数日後、さっそく卒業式に向けて仕事があるなどといって生徒会室に監禁されていた。それもこれも兎廩の仕事のできなさが想像以上だったからだ。むしろ仕事を増やしていて、邪魔どころの騒ぎではない。その兎廩が最近学校を休んでおり、人員が減ったというのに仕事は今まで以上に進んでいた。




「ひさしぶりー!皆元気にしてた?」




……せっかくうまくいってたのに、もう帰ってきやがった。無駄にハイテンションな兎廩は少し日に焼けていて大きな紙袋を下げていた。その中から平たい箱を取り出すと『お土産!』と差し出された。……マカダミアナッツ。ということはハワイか?なんてベタな。




「家族旅行でカナダに行ってきたんだ。仕事押し付けちゃってごめんね。」




いないほうが逆に進んでいいんだが……って、今気になることを言わなかったか?




「えーっ!?規衣ちゃんカナダに行ったの?ハワイじゃなくて?」




その疑問ももっともだが、俺が気になったのはそこじゃない。




「家族旅行だと……?」



「そうだよ。あっ!写真見る?」




強制的に見せられた写真には兎廩とその両親、姉と思われる人物が写っていた。全員楽しそうに笑っており、とても仲が悪いようには見えない。




「…お前は家族と仲が悪いんじゃなかったか?」



「え?そんなこと言ったっけ?皆とっても仲良しだよ!」




嘘つきやがったな、あいつ!峻岑の方を見ると『あーあ、ばれちゃった』のような顔をしている。あいつはきっとこの学園内で1番の要注意人物だ。それに引っ掛かった自分にも腹が立ち、1人の1年を雑用という名の道連れにした。










「らっちゃん!この子生徒会に入れたいんだけど!!」




この間、兎廩の同室者になると決まった人物だ。さすがに俺でもコイツに好かれてしまった転校生に同情せざるをえない。まぁ、これも運の尽きということで。とことん利用してやろう。これで俺の負担が減ればいいが。




「いいぞ、許可する。」




写真を振り回し喜ぶ姿を見て頭が痛くなる。本当にこれで生徒会長か?

いろいろと振り回されて、生徒会にまで入れさせられたが今までよりも充実しているような気がする。







まぁ、こんな生活も悪くない。







fin,

結局、絖里が生徒会に入れられたのはらっちゃんの腹いせだったのか。

朱里は絖里が生徒会に入って喜んでいます。頑張れ絖里!!

最終的にやっぱり薫ちゃん強いですね。

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