第6いいよ! 夏休み特別企画!創作文女王決定戦!~読書と執筆編2~
7月下旬になり夏休みに入った。
ウチらしゅーかつ部は毎週水曜日と土曜日に全員集まってその他は自由参加になり、バイトしているちーとふー先輩は水曜日と土曜日も来れない事もあるけどなるべく顔を出してくれるそうであずーも喜んどったなぁ……
それぞれが夏休みを自由に過ごしてるワケであり、バイトをしていないウチとあずー、そしてはるるん先輩は毎日のように部室に集まって色んな話や宿題を進めたりして過ごしてた。
そんなある時、いつものように宿題をあずーと進めていると、はるるん先輩が宿題とは別にノートに何か書いてはニヤニヤしとるのを発見した。
「はるるん先輩何書いてるんですか」と覗き込もうとした時、バッとノートの上に体を乗せて見られないよう「なんでもないなんでもない……」首を何回も横にブンブンと振りながら必死になっている。
そないな事されたら凄い中身見たくなるやん……
それは横にいたあずーも同じようではるるん先輩を見ていた。
「ウチら別に馬鹿にしようとかそう言うのじゃなくて、ただ何書いとるのかなーって気になっただけで」
「ダメダメ……見せるの恥ずかしい……」
「見せるの恥ずかしいって事は何かポエムとか詩とかですか?春先輩いっぱい本読んでるからどんなの書くのか気になります!」
ウチらから期待の眼差しを寄せられる事5分、観念したのかはるるん先輩はノートを見せてくれました。
そこにはオリジナルのストーリーが書かれており、とても引き込まれる内容でした。
「先輩これ面白いですよ!もっと見たいです!」
「えっ……そう……?うへへ……まだ書いてるのあるから……見る……?」
褒められて気を良くしたのがバッグから数冊ノートを取り出してあずーに渡すと夢中になって読んでいたので、その様子を見てウチは閃く。
「せや!次のしゅーかつ部の活動は"オリジナルストーリー"を各自作るってのオモロそう!」
ウチの提案が通り次の土曜日に各自用意してきた二次創作文を発見することになった。
ルールは完全オリジナルストーリーで内容は自由、あらすじとその1話を作成する。審査員はかな姉で、選ばれた場合は豪華賞品が用意されているとあって皆バイトや宿題の合間を縫ってストーリーを考えていた。
そして決戦の土曜日。
いつもの席に各自座って黒板には【創作文女王決定戦!】と書かれとったなぁ……
そういえばかな姉がスマホスタンドを机の上に乗せてスマホのカメラを回しているので、ちーが何をしてるのか聞いていた。
「これは部活の様子を収めようとしているのです。
私この部活の顧問になったからには何か皆様の役に立てないか考えておりました。
それで部活の内容を記録しYutterにアップすると言う事を思いつきまして、こうして撮っていると言う訳です。無論、学校からの許可は撮ってありますが皆様はどうでしょう、嫌であれば辞めますが」
「それ良いと思います!アタシ達が普段どんな活動してるか拡散できるし、それを見て興味出た人が部活に入ったりして……アタシは賛成です!」
それを聞いて否定する人はおらんかった。皆この部活の事好きなんやなって感じたわ……
「ありがとうございます、ではこれより【創作文女王決定戦】を開催いたします。事前に告知した通り私が審査員です、よろしくお願い致します」
かな姉が頭を下げると拍手か鳴った。
その後順番を決めるくじ引きをしていざ開戦!
トップバッターはふーやった。
「えー、私が書いたのは【パンの国】と言う物語です。
内容としましては主人公の食パンにはよく聞こえる"ミミ"があって他のパンの悩みを聞いて解決していくと言うストーリーで……」
ふーの発表が終わりかな姉が感想を述べる。
「パンの特徴など風花のバイトの経験がとても活きた作品だと思いました。個人的には食パンの大事なミミをお腹のすいた少女へ分け与える展開が好きでした」
トップバッターで緊張していたようだったけどかな姉からいい評価を受けてふーは笑顔になっとった。
次はウチや。
「ウチは【ハンド"メイド"】や。
感情を表に出さないお金持ちの子に雇われとるメイドが喜んでもらおうと色々な物を作ってくハートフルな作品やな!他には……」
一通り発表しかな姉からの感想が。
「タイトルがまずいいですね、ハンドメイドとメイドを掛けてあるのが面白いです。内容もホッコリするような内容で続きを読みたくなりました」
安心してふーっとため息が出てもうた……次ははるるん先輩や。
「えっと……春は【内気な少女は外食がお好き】を書きました……これまで書いたことのないグルメ物です……美味しい物好きの内気な社会人が、勇気を出して色々な食べ物を食べるストーリーです……」
はるるん先輩の作品を聞いてかな姉はお腹をならしとった。
「聞いててお腹がすきました。春の語彙力で書かれる料理の描写がとても食欲をそそります。
店に勇気を出して入るも1名の指上げたまま5分ぐらい経過したり、注文がベルを押すタイプではなく店員さんを自分で呼ぶタイプで絶望したりと個性がある作品でしたね」
終わったと安心し力がぬけるはるるん先輩をポンポンと肩を叩いて良かったよとふー先輩は声をかけとったなぁ……次はちーやったかな?
「アタシはコメディにしてみました。
【世界最速の男はタイパ重視】と言うタイトルで、せっかちな元陸上部エースが日々の暮らしをタイパ重視で生活すると言う内容です。具体的には……」
ちーの発表が終わった。
「タイパですか……最近よく耳にしますね。タイパを求めるあまり逆に時間を損したり、倍速視聴をしすぎて周りの人達の会話がスローに聞こえてイライラしたりとクスッと笑える箇所がいくつもあって良かったです」
「ありがとうございました」とちーは頭を下げている。最後はあずーなのだが、多分皆同じ事考えてると思う。
(絶対児童向けの内容だな)と……
「最後は私ですね!
えーっと私が書いたのは【百合の花が咲く時】です。
内容は同性同士で付き合っていた恋人を亡くして絶望していた女子高生の主人公。転校してきた人がその恋人にそっくりで、でも中身は違う訳でそれで悩んだり、その転校生は普通に男の人が好きなので主人公の気持ちに答えられず彼氏が出来そうになったり……みたいなラブストーリーです!1話は……」
あずーが恋愛物書くとは思ってなくて皆唖然としていたが、話を聞くにつれて悲しい恋愛や転校生の気持ちが段々と主人公に向いていく展開が皆のハートを撃ち抜き例外なく皆涙を流しており、それに1番驚いていたのはあずーだった。
「えっ、なんでみんな泣いてるの……?」
「いやっ、梓がそんな恋愛物書くなんて思ってなくて……しかも内容も切なくて……ぐすっ……凄いよかった……」
「ちなみの言う通り普段明るい梓がこんな切ない恋愛物かけるなんて……涙とまらない……」
「ウチもあかんわ……うっ……こう言うの弱いんよ……結ばれて終わって欲しいなぁ……ぐすっ……」
「春も……好き……叶わない恋とか……続き気になる……愛川さん、続きぜひ書いて……」
ひとしきり感動した後かな姉の評価を待っているのだが、誰よりも感動して嗚咽までしとったなぁ……
「……失礼、とても良かったです。
私も正直童話等を持ってくるのかと思っておりましたが恋愛物、しかも同性愛とは……しかもストーリーも良かったです……これで全員ですが優勝者はもう決まっております」
かな姉がそう言うと全員あずーの方を向いた。
文句はなかった、かな姉だけが決める形ではなく多数決でも同じ結果が出ていただろう。
こうして創作文女王は"愛川 梓"となったのだ。
本日の趣味について長宗我部 ちなみさんからメッセージがありました。
【自分でストーリーを考えてる時が1番楽しく、文書に落とし込む時が1番大変だと思ったぞ!
うっ…梓の文章思い出してまた涙が…ぐすっ…】