第12いいよ!(最終回) 私の趣味見つけたかも!?しゅーかつ部は永遠に!~旅行編6~
各々好きな所を周り夜7時にはかな姉の実家に全員集まっていた。
そして旅先であった事やプレゼント交換、そしてアタシの服装の話題……話しは尽きなかった。
「それでね春が私に"春がずっとそばにいるから"ってキリッとした表情で言ってくれて……」
「!?そ……そんな事……言ってない!」
「ウチは風花に告白したで~」
「ちょっ!?違う!皆ヒューヒューじゃなくて……違くないけど違うから!」
なんだろう、アタシのいない所で続々とカップルが決まっているような気がしてならない。
少しため息をつくとかな姉がアタシの肩を後ろから叩くので振り向くとサムズアップして真顔でいた。
「ちなみには私がいます」
「いや、かな姉とじゃ歳の差が……」
マズいと思ったがもう遅かった。
肩を掴む手に力が入り怒っているのがわかりアタシは逃げ出そうと立ち上がり2階へ逃げたが彼女も追ってきた。
足には自信があったがすぐ捕まり罰としてロメロクラッチをお見舞いされた……
◇
晩御飯は牛タンや自家製の漬物、いくらやサーモンなどの魚介類と豪勢でどれも美味しくこのままここへ住もうかと一瞬思うくらいだった。
そしてお風呂に入り各自パジャマに着替え布団を敷くことに。
場所決めにも一悶着あったが割愛。順番はかな姉・アタシ・梓・春先輩・風花先輩・英玲奈となり就寝しようと布団に入ろうとしたら誰だかわからないがアタシに枕を投げてきた人物がいた……いや、こんな事する人は1人しかいない。
「かな姉大人なんだから枕投げなんてやめましょうよ……」
「いいえやめません、この為に旅をしたと言っても過言ではないのですからね!」
「旅の理由しょうもない……皆だって疲れてるだろうしそろそろ寝たいよな?」
「は、春は……枕投げ……したい……かも……」
その言葉が"開戦"の合図だった。
かな姉が枕を拾い梓へ、梓が春先輩へ、明後日の方向へ投擲された枕は英玲奈へ、英玲奈は風花先輩へ……
争いとはこう広くなっていくのか、そんな事をしみじみ思い我関せずと眠ろうとしたら枕だけでなくドカドカと踏まれるから眠れない……それにうるさいしなんで止めるべき顧問も一緒にはしゃいでいるのか……色々考えていたがついに爆発した。
「ええい!皆うるさいんじゃー!」
フルスイングで投げた枕は少し遠くにいたかな姉へと当たった。
顔面へと当たった枕が段々と下へ落ちると笑顔なのだが目が笑っていない表情になっていた。
「ちなみ、限度を知らずやってくるとは……今度はこれだ!」
襖が閉められ逃げ場がなくすぐ捕まり今度はチキンウィング・アームロックを決められ周りは爆笑している、誰か助けてくれ……そう思うばかりであった。
先程のどんちゃん騒ぎが嘘のような静寂、皆眠りについたようで聞こえるのは寝息ぐらいだろうか。
アタシはプロレス技をかけられ痛みで眠れない……と言うのは嘘で旅先でウキウキしてしまって眠れないのだ、眠ってしまうのがもったいないと言えばそうなのだろうか……
ふと梓の方を向くとあちらもこっちを見ていた。
「……眠れないのか?」
「眠っちゃったら朝が来るから勿体なくて……ね、2階にベランダあったんだけどそこでちょっと話さない?」
2階には屋根のついた小さなベランダがありそこで洗濯物を干したりしているそうで寝付けないアタシ達はそこへ移動する事に。
ベランダに出ると少し肌寒い、向こうなら夜でも蒸し暑いくらいなのだが……
2人で仮設の椅子に座りしばらく外を無言で眺めていたが梓が遠くを見て口を開いた。
「ちなみちゃん、ありがとね」
「急にどうしたんだ?」
「春に昔あった事話して改めてちなみちゃんの偉大さがわかって……ちなみちゃんがあの時部屋に来なかったら今こうしていられなかったかも」
「お前なら1人で解決できたさ、それが遅いか早いかだけだよ」
「ううん、部活始められたのだって許可なく部員にしたのに拒否しなかったおかげ、英玲奈ちゃんとビーズを使って工作できたのも、パン屋巡って風花先輩が部員になったのも、春とかな姉がここにいるのも全部、ぜーんぶちなみちゃんのおかげだよ」
「よせよ、梓のおかげだろ」
不思議そうな顔でこちらを見てきた。
「お前が部活やろうって引っ張ってくれたんだろ?最初はまあ2人だけで細々とやってくかと思ってたけど、今はYutterで全国にアタシ達の活動が広まり部員もいつか5……ううん、6人になってたし、十分部活と言えるものになってさ、毎日がすげー楽しくなったよ。皆もそう思ってるはずだぜ」
「……なんか恥ずかしいな……そうだ!最初に私が部活始めた理由覚えてる?」
「確か趣味が見つからなかったんだろ?……んで今は見つかったのか?」
その問いに笑顔で答えてくれた。
「うん!趣味を"見つける"事が趣味なのかなって……皆と一緒に楽しい事して、上手くいかない時もあるけど努力して出来るようになって、そんな事をするのが趣味になってるような気がしたんだ。だから趣味探しが趣味って感じかな?」
コイツらしい答えだ、1つの事だけでなく広く知らない事にさえチャレンジ出来る強さは人一倍あるのだろう。
アタシだってそうだが新しい事にチャレンジする時は不安もあるし勇気もいるし、そのせいでやらないそれなりの理由をつけてやらないままにする。
コイツにはそんなものはない、梓と一緒にいれば色々な新しい体験が出来て退屈しないのだろう、趣味活動部とはそういう体験をできる部活なのだ。
夜風が吹いてまた寒さを感じて中へ入ろうとする梓を呼び止める。
「なぁ、夏休みが終わって集まる機会も減っちゃうかもしれないけど、これからも部活やめないよな?」
その問いにまた笑顔で答えてくれた。
「もちろん!"しゅーかつ部は永遠に"、だよ!」
◇
翌日になり身支度を整えかな姉の両親に挨拶をし帰路につく、また来てくれと言ってくれたのが嬉しかった。
しばらく車内は騒がしかったが、旅先での疲れがまだあったのか気が付けばアタシ以外は寝ていた。
「ちなみも眠っていいのですよ、あとは高速道なりに行くだけですから」
「起きてるよ、あと起きてるの2人だけだから敬語いいって」
「……そう、ならお言葉に甘えて」
敬語を使わないかな姉の表情は柔らかく見える。
「趣味活動部のYutter始めたのって部活存続させるためでしょ?」
「気付いてたのね……そう、もし梓達がいなくなっても私が顧問として残せるよう学校の名前を広めたりして実績を作ったりするために。まぁ皆のやってる事も他の人達に共有したいと思ってたのも嘘じゃないけどね」
「本当かな姉って優しいよな」
「……歳上をからかうもんじゃありませんよもう……ちなみ、これからもこんな私だけどよろしくね」
「もちろん、そうだよな皆!」
皆後ろでアタシ達の会話を寝たフリして聞いていたのを知っていたので呼びかけると、寝たフリをやめ笑顔で肯定的な返事をしてくれて梓が提案をした。
「学校着いたら皆で写真撮ってYutterへあげよう!」
この提案にも皆賛成し学校へ到着した後に校門をバックにして写真を撮りYutterへアップした。
愛川 梓
【これにて趣味:旅行の共有は終わり!でもこれからも部活は続くよ!皆、これからもよろしくねー!】
(完)




