第8いいよ! 涼と思い出を求めて避暑地"宮城県"へ!私達の旅はこれからだ!~旅行編2~
今回は学校外なので全員私服です。
服装を本文中に書くと長くなりそうなの6人の服装を書いておきます。
愛川 梓…白地に英語がプリントしてあるTシャツにブラックのショートパンツ、ホワイトのスニーカーとショルダーバッグを合わせた元気な彼女へ合わせたコーデ
長宗我部 ちなみ…ブラックの半袖ブラウスにホワイト系のパンツを、バッグは濃いグリーン系でブラウン系のシューズを合わせたユニセックスな服を選択
江島 英玲奈…カーキカラーのトップスの中にキャミソールを、ブラックのフリルスカートとバッグに足元も厚底サンダルとソックスもブラック系で合わせた可愛いらしくも子供っぽくなりすぎないようなコーデ
深緑 風花…ブラックのタンクトップの上に6分袖程のレッド系のチャイナシャツ、ホワイトのベルトにデニムパンツ、ブラックのバッグにサングラスを選択した大人っぽさをイメージしたデザインに
花ノ木 春…フリルのついたホワイト系のブラウスに紺系の色をしたベスト風のワンピースの下にブラックのペチパンツ、ブルーのリボンが目を引くレースアップサテンシューズと大人しめな彼女とはギャップがあるコーデになりました
金井 佳奈…ブラックドレスにブラックのサンダル、サングラスを合わせたシンプルながらも大人の魅力があるコーデに
8月の中旬になっても灼熱の期間は継続しており、旅行当日の今日は最高気温が37度になるそうだ。
校門前で先生達を待っている朝8時でも、既に30度近くになっている為、アタシ達4人は"暑い"を合計何度言ったのか数えられないくらい発言している。
梓は英玲奈の携帯扇風機に当たろうと無理やりくっついて怒られているし、風花先輩は明後日の方向を向いてボーっとしているし、校門前は混沌を極めていた。
「そういえば家の方向が同じだから春先輩ってかな姉に乗せられてくるんだよな?」
「そうやね~1人だけ涼しい思いしてくるなんてするいわぁ……って暑いからあずーウチにくっつかんといて!」
「えーいいじゃんちょっとだけ当たらせてよー……そういえば春先輩どんな服装でくるかな?」
「春の事だからあまりかわいい服とかチョイスしないと思うけど……あの子本当は元がいいんだから髪型とか変えればもっと良くなるのにもったいない、と思ってるんだよね」
そうこういている内に白い大型車が校門前に止まり、運転席からかな姉がサングラスをして「お待たせしました」と颯爽と姿を現した。
「いえいえ今日はよろしくお願いします……って春先輩はどこです?」
「ああ彼女ですか、ちょっと待っててください」
後部座席のドアを開け、中に入ったと思ったら2人が何やら揉めており、しばらくすると降りてきたのだが、その春先輩の服装を見て私だけでなく皆驚愕していた。
風花先輩の予想は大きく外れ、彼女の服装はフリルのついたブラウスにベスト風のワンピース、ブルーのリボンが目を引くサテンシューズを着用し普段とは180度違う印象を受けた。
アタシ達は少しの間面食らっていたが、各々スマホを取り出すとパシャパシャと写真を撮りだし、まるで有名人がいるみたいに興奮しており、写真の被写体の方は両手を顔の前に出して恥ずかしがっている。
「春、普通の服着ていこうとしてたら先生が『これ着ろ』って……こんなの着たことないし……恥ずかしい……うぅ……みんな撮らないで……」
「すごく似合ってるよ!英玲奈ちゃんもそう思うよね?」
「せやで、めっちゃかわええやん!はるるん先輩はやっぱ"ダイヤの原石"やったんやな~」
「春かわいい!こっちにも目線頂戴!」
アタシも写真を撮り舞い上がっていたが、旅行先でかな姉と一緒に行動し服を選んでもらうことになるのだから、自分もこうなるのでは……ということをこの時は忘れていた。
一通り写真撮影も終わり車内へ。
車内は天国かと思うほど涼しく、入った皆の感想が"涼しい"しか出てこなかった。
助手席はアタシが乗りナビ役を、前側の後部座席には梓と春先輩、その後ろには風花先輩と英玲奈が乗車し旅行先で別れるメンバーと同じになっていた。
しばらく走り、高速道路に入ってからかな姉が趣味活動部のYutterの事を話題に挙げた。
アタシたちの活動を校内や校外にも知ってもらうため始めたのだが、意外にも反響がありフォロワーが1000人を超えているようで、今回の旅も期待されていて各自旅行先で写真を撮りYutterへ載せるよう指示された。
「アタシ達の活動期待してくれている人達がいるなんてなんか不思議な感覚だな。梓と2人だけで活動してた時はこんな風になるなんて思わなかったよな?」
「うん!2人から今は部員が5人もいてくれてるんだよね……よーし、旅先で写真撮りまくるぞー!私達の旅はこれからだ!」
「その台詞何か打ち切り漫画みたいだな……」
会話が一区切りついて、しばしの沈黙が流れた時にアタシは音楽を流していいか聞くと、Bluetoothで繋げば車内のスピーカーに繋げると言うのでそれを試してみることに。
昔は車で音楽を聴くとなるとコードを繋いだり、FMの周波数を変えたりと大変だったようで、しみじみ語っているかな姉を見て『亀の甲より年の功って言うんだよね、こう言うの!』と失言してしまった梓の方を運転しながらかな姉はミラー越しに睨んでいたのに少し恐怖を感じた。
そしてアタシは最初に部活で共有した曲を流すと後部座席で梓が歌詞を口ずさんでいる。
「これウチも知っとるよ、ええ声しとるよな~」
「私も好きなんだよねこの人達」
「春は知らない……けどいい声……どんな人達なの?」
車内が盛り上がっている……1曲かけるだけでまた会話が広がるのを見ていると、最初の部活で梓にこの曲を共有したのを思い出し、少し懐かしいなと感じていると、休憩場所として予定していたSAが近い事を思い出し、それを伝えそこで予定通り休憩することに。
車内から降りて少し背伸びと深呼吸をして周りを見渡すと、見慣れない景色で今旅をしているんだと実感できた。
6人で飲食店に入り各々好きなものを注文し食べ終わると、かな姉がYutterのアンケート機能を使って、今回の旅が盛り上がるよういくつか案を出発前に出していて、そのアンケート結果が出たといっている。
「えー案がいくつかありましたが、【みんなあだ名で呼びあう】・【制服旅行】を抑え1位になりました【2人1組で行動する時はお互い敬語を使わない】に決定しました……と、言うわけなので松島、水族館、服選びと別れますがその時お互い"敬語"も"さん"付けも禁止です」
急にそんな事言われてもと心の中でぐちっていたが、皆乗り気で盛り上がってるし春先輩までまんざらでもなさそうな表情をしているので言葉にするのはやめた。
「はい!かな姉先生に質問があります!」
元気よく梓が挙手している。
「なんでしょう梓」
「かな姉は普段から敬語ですけど、ちなみちゃんと2人になった時はタメ口使うんですか?」
「使いませんよ、私部員じゃないので」
その発言に5人一斉に先生を白い目で見た。
言い出しっぺなのにお前はやらないのか……それなら最初からそんな案出すな、と言いたいことはたくさんあったが彼女が運転手なので皆何も言えない。
"大人ってずるいな"
この旅で学んだ最初の事であった……
(続く)




