第1いいよ! 私の趣味ってなんだろう?~動画鑑賞編~
春になって高校生になりました!
最初はクラスの皆と仲良く出来るかなってドキドキしてたけど、皆いい人達ばっかりで、鴻巣高校に入学して1ヶ月が経って友達も何人かは出来ています。
私は愛川 梓なので、あいうえお順で決められた席順は教室の扉側で1番前の席、授業も見やすくて聞きやすいしお気に入りの席で、後ろにいる江島 英玲奈ちゃんとも仲良くなって色々話せるしこの席が大好きです。
ある時、授業前にある10分間休憩の時、後ろの英玲奈ちゃんに肩をトントンと軽く叩かれて話しかけられたのです。
「なぁなぁ、あずー、これ知っとる?」
英玲奈ちゃんは生まれは関西で何年か過ごしていたみたいで、小学生ぐらいで埼玉に引っ越して標準語を周りが使っていたので元々関西弁で話していたけど、周りに合わせるため自分も標準語を使うようになり"エセ関西弁"みたいな話し方をする茶色のロングストレートが綺麗な女の子。
ちなみに"あずー"は私のあだ名です!
ピンクのスマホの画面を見せてきたので見てみると、そこには【Yutter】のプロフィール画面が表示されてました。
「知ってる知ってる、皆やってるみたいだよねー!
私はやってないけど英玲奈ちゃんはやってるんだね」
「そうなんよ、ウチも最近始めたばかりやねんけど毎日なんかあった時に気軽にツブヤキできるのハマってしもうてな~」
Yutter……通称Yとも言われており、画像や動画付きで今の心境や伝えたい事などを投稿できる"ツブヤキ"、それに対して見た人が良いと思ったら星型の"いいよ!"と呼ばれるマークをタップする事でツブヤキをあげた人に反応が寄せられると言う最近出来たSNSサイトで中高生ならず大人の人もよく使っているサイトなのです。
そんな事を話していると授業開始のチャイムが鳴り先生が入ってきて授業が始まる。
Yutterかー……家に帰ったらやってみようかな?
学校が終わって自宅のベッドで横になりながらYutterのアプリをダウンロードして、Yutterのアイコンである白文字のYをタップし初期登録を始めました。
まずは名前、@から始まるYネームとも呼ばれているこのアカウントでの名前なのだが、大体は授業中に考えていたので名前の欄に"@A_A♪"と入力。
A2つは私のイニシャルで、自分のイニシャルを付けるのが流行りらしいのでそれを、あと顔文字みたいにして音符は私のお気に入りの髪飾りを見立てて付けてみました。
可愛くできたかもとウキウキしプロフィールも登録完了し詳細設定の欄の中に趣味があり私の手がとまってしまう。
趣味……今まで色々やってきたけど特にないなぁ、暇な時はスマホ弄ったりテレビ見たり前髪のぱっつん具合が気に入らなくて自分で切ったり……思い返すとこれと言って趣味がないなと思って幼なじみへ相談しようと電話してみる事に。
「ちなみちゃん、今Yutter登録してるんだけど趣味の欄に何書こうか迷ってるんだよね」
「おー梓もYutter始めたのか、アタシもやってるけど趣味の欄とか何も書いてないかも。
まぁ趣味はあるにはあるけどなんか新しい事始めてみようかなーとは思っててさー」
ちなみちゃんがちょっと悩みながら返事してくれました。
長宗我部 ちなみちゃんは私の幼なじみで男の子みたいな話し方と170ぐらいある身長が特徴な私の親友です。
「んー……それじゃあ一緒に趣味作ろうよ!」
ちなみちゃんと新しい趣味を一緒に作れたら楽しそうだし、その話とかで盛り上がったりできたらいいなと思い提案してみました。
ちなみちゃんもその意見に賛成してくれたので、翌日学校へ部活申請の紙に2人の名前を書き提出した事を廊下でバッタリとあったので伝えてみる事に。
「えっ、部活……?全然意味わかんないんだが……」
キョトンとしてるちなみちゃん可愛いなーと思いながらも説明してあげることにしました。
「皆で趣味を共有して趣味を増やす部活、"趣味活動部"を作ったんだー。
部活にしたほうが他の人たちも集まりやすくて教室も割り当てられるしいいかなーって思ってさー!
ちなみちゃん部活してないからいいかなーって思って勝手に出しちゃった、ごめんね?」
説明をきいて納得してくれたのか呆れているのかわからないけど「やれやれ」とため息混じりに言って一言「いいよ」と了承してくれたのです!
放課後の1-1教室、1階にあり私のクラスでもある教室が趣味活動部の部室となりました。
鴻巣高校は登録するだけなら簡単に出来て部室も各教室を使ったりできるので部活動が沢山あるのです。
私が自分の席に座り、ちなみちゃんは隣の席に座り互いの机をくっつけて最初の"部活動"が始まりました。
「ちなみちゃんって何か趣味ってある?」
「アタシはスポーツかな?体動かすこと好きだし。
最近だとアウトドアも気になっててそういう店行ったりしてるぞ、梓は何かないのか?」
「私はないかなー、暇な時は"WeTube"で動画見るくらいしかしてないし……」
それを聞いてちなみちゃんがスマホを取り出して私もよく見てると賛同してくれました。
WeTubeとは動画サイトでYutterと同じく手軽に動画投稿出来ることがウリであり色々な動画があります。
広告をつける事で収益が発生しお金が貰えたりするのでその人達を"WeTuber"と呼び、小学生がなりたい職業1位になるぐらい有名なサイトです。
私は主に犬や猫の動画や音楽を聴く時なんかに使っているがちなみちゃんはどう使っているんだろうと思い質問してみました。
「アタシもお気に入りの曲聴いたりだなー、プレイリストなんか作ってジョギングなんかしてる時に聞いてるな」
「でも広告流れて途中で曲止まったりしてモヤッとする時ない?」
「アタシは月額制のプレミアム入ってるから広告もないしバックグラウンド再生できるから困った事ないかも」
「えーいいなぁ、私携帯料金パパに払ってもらってるからそういうの登録できなくてさー。
ちなみちゃんみたいにバイト始めようかな?」
色々話しているうちにYutterのアプリを起動しプロフィール欄に"動画鑑賞"と入れてみたが、趣味と言えるのだろうか……
悩んでいると私が見てる動画を見てみたいとちなみちゃんに言われたので普段見てる犬の日常動画を見せたら、目を輝かせて可愛いと連呼していた。
ちなみちゃんは可愛い物とか動物に弱いのです。
逆にちなみちゃんはどんな音楽聞くんだろう?
興味が出て来たので聞いてみると動画を流してくれた、ロック系で初めて聴いた曲だ。
かっこいいし私結構好きかもと思いタイトルを教えてもらったり他の曲も聴かせてもらった。
私もちなみちゃんに私のオススメのチャンネルを教えたりして趣味を共有していました。
ちなみちゃんとは帰り道が逆なので部活が終わった後は学校前で別れて帰ります。
家へ歩いてる途中にWeTubeを開くとさっき教えてもらった曲がトップ画面に現れていました。
動画を再生するとユーザーが好きそうな関連の動画をトップページに表示してくれる機能で、部活の時に聴いていた曲もあったのでイヤフォンをして聴きながら帰ることにしたのです。
激しめのギターの音、中性的なボーカルの澄んだ声、間奏のドラムソロ……気がついたら何回もリピート再生してあっという間に家に着いて、いつもの帰り道も少し新鮮に感じました。
自分だけじゃ知れないこともあるし、他の人とも何かを共有して共通の話題が出来たり……これって凄く楽しい事だと思う!
部活を作ってよかったと思える瞬間でした。
本日の趣味について愛川 梓さんからメッセージがありました。
【動画鑑賞って作業用として聞くこと多いけど、何か作業開始する前に動画探すのが習慣になってしまって、お気に入りのやつとか見つけるまで行動出来ない事多くなってしまいました!これって私だけなんでしょうか?】