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 彼は、見たことがないほど緊張している様子だった。

 へらへらくにゃくにゃとよく動き、よく曲がる唇の線を今はただ一本にして、机を見ている。

 私の目を見つめ、私の顔を見つめ、彼の瞳に焼きついた自身の姿を何度眺めたのか、私は覚えていない。

 ──口を開いた。

 埒が開かないと、思ったから。

 なぜここにいるのか尋ねたけれど、君がいるからだと彼自身のようにふわふわしていて、曖昧で、不明瞭な輪郭を持つ回答しか出てこない。

 そんなことを聞きたいのではなくて、なぜかと聞いているのだけど。

 ぐらぐらと彼の瞳が動く。

 ──友達。

 確かに、彼の乾燥した唇はそう動いた。

 声には乗っていなかったけれど。

 友達?

 やや時間をおいて、自分で言ったくせに戸惑うようにして頷いてみせるが、その単語だけではなんの情報も得られない。

 いや、まさか。

 ひとつだけ、可能性として浮かび上がる彼の言い分とやらは、私の中では最もないものだ。

 私がそう考えているとは知らず、彼はもう一度唇を直線上に引き締め、机を見つめ、そして私を見つめた。

 

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