愛くるしい生物の雷貴と対面する電蔵
「なら、なればいいじゃねえかよ。俺に友達作れってうるさいくせに、自分は友達作らないのかよ。見本見せろよ」
「……そうだな」
「さっきっから同じ返事ばっかじゃねえか」
電蔵が返事をしても上の空だと友青は指摘する。
電蔵は力なく笑い、力なく告げた。
「……なんでだろうな。オレもよくわからん」
頭を押さえ、電蔵は思い悩む。息子の一人が、重々しい口を開く。
「……お前には悪いことしか言ってこなかった。だけど今は……」
「わかり合える、か?」
「ああ……」
「わかり合ったら最後って、悲しいな」
「折角わかり合えたのに……お前と友達になれると思ったのに……な」
「オレが消えても、お前さんたちが忘れても……オレは忘れない。未来のオレに託す。お前さんたちの、その言葉。…………きっと……」
電蔵は悲しげな笑みを浮かべ、手をそっと差し出し握手を求めた。相手が握り返す。
「……俺たちは忘れるだろうな。自分たちで言っておいて、無責任なことだよ。でもお前と会えたこと、感謝してる。俺たちに色々教えてくれて、ありがとうな」
「ああ。オレも感謝している。ありがとう」
電蔵は微笑んで、息子たちと別れた。王室に行く前に、友青が電蔵に尋ねた。
「……何話してたんだよ」
「お前さんには秘密だ」
「なんだよ。言えよ。折角ついてきてやってんのに」
「そういう言い方はよくないぞって何度教えたら気がすむんだ」
「……悪かったよ」
電蔵はニコと笑って、友青を王室に案内した。ノックもせずに、電蔵が先に入った。後ろを友青がついていく。感想は特になし。いつになく無愛想な面をしている。
「王様。いるか?」
「電蔵か」
王様の座る玉座の肘掛に居座っている生物がいた。消え入りそうな真っ白い生物。
電蔵は雷貴を指差して王様に問うた。
「……? そいつは?」
「お主の前世みたいなもんじゃ」
「オレの前世? そいつが、か?」
「そいつとはなんだ。我に対して失敬だ。我の化身よ」




