友青と久三の再会
「いや……違う」
電蔵は首を振り、友青の疑問を払拭させた。
「友達というものがどういうものなのか、オレはまだわからん。普通に接していれば寄ってくる。だが、どんな風にしたら友達なんだ。お前さん、知らないか?」
「なんだよ急に。こうやって話したり家に呼んだりすんのが友達なんだろ。友達がいねえ俺に訊くなよな。いじめか?」
友青は電蔵をギロッと睨みつけた。
「いじめとはなんだ。人聞きの悪い……オレがそんなことをするやつに見えるのか?」
「ああ、見えるね」
電蔵と友青は互いに視線を交じらせ、火花を散らした。
「ほう……。いじめられっ子がそう言うってことは……いじめて欲しいんだな? 覚悟しておけよ、オレはやると決めたら絶対にやるからな?」
「受けて立つぜ。オマエのいじめなんかに、俺が屈するわけねえだろ」
睨み合ったのち、両者勢いよく顔を背ける。ちょっとしたことでいがみ合うこどもの喧嘩だ。誰が何を言ってもこれは自分たちの問題であり、お前には関係ないと言い放たれるだろう。
電蔵が何か悪巧みをしていると、ドアが開く音がした。久三が中を覗いている。
「……電蔵。帰ったか?」
「久爺さん」
「……っ」
久三の顔を見て、友青が罪悪感に苛まれたように、息を呑んだ。
電蔵の後ろに隠れた友青を、久三が目を細めながら見つめ、懐かしそうに名を呼んだ。
「……友青か」
「お、おう……」
返事をする友青の声が震えた。それは恐らく、久三にも電蔵にも気づかれている。
「家族とはどうじゃ。元気にやってるか?」
「まあまあ……」
「そうか。寂しくなったら、いつでも帰ってきてもらっていいんだ。嘉世子とわしと電蔵がいる家だから、辛いことなんてない。一度来たら、もうお前の家なんだ、ここは」
雰囲気がよくなってきたところ、電蔵は自分を指差して久三に尋ねた。
「……オレ、邪魔か?」
「いや。そこにいていい」
「いつでも遊びに来ていいってことかよ」
「そうだ。いつでも来い。わしらが死んだら……お前たちにこの家をやる」




