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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第四章 電蔵と役目

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友青と久三の再会

「いや……違う」

 電蔵は首を振り、友青の疑問を払拭させた。

「友達というものがどういうものなのか、オレはまだわからん。普通に接していれば寄ってくる。だが、どんな風にしたら友達なんだ。お前さん、知らないか?」

「なんだよ急に。こうやって話したり家に呼んだりすんのが友達なんだろ。友達がいねえ俺に訊くなよな。いじめか?」

 友青は電蔵をギロッと睨みつけた。

「いじめとはなんだ。人聞きの悪い……オレがそんなことをするやつに見えるのか?」

「ああ、見えるね」

 電蔵と友青は互いに視線を交じらせ、火花を散らした。

「ほう……。いじめられっ子がそう言うってことは……いじめて欲しいんだな? 覚悟しておけよ、オレはやると決めたら絶対にやるからな?」

「受けて立つぜ。オマエのいじめなんかに、俺が屈するわけねえだろ」

 睨み合ったのち、両者勢いよく顔を背ける。ちょっとしたことでいがみ合うこどもの喧嘩だ。誰が何を言ってもこれは自分たちの問題であり、お前には関係ないと言い放たれるだろう。

 電蔵が何か悪巧みをしていると、ドアが開く音がした。久三が中を覗いている。

「……電蔵。帰ったか?」

「久爺さん」

「……っ」

 久三の顔を見て、友青が罪悪感にさいなまれたように、息を呑んだ。

 電蔵の後ろに隠れた友青を、久三が目を細めながら見つめ、懐かしそうに名を呼んだ。

「……友青か」

「お、おう……」

 返事をする友青の声が震えた。それは恐らく、久三にも電蔵にも気づかれている。

「家族とはどうじゃ。元気にやってるか?」

「まあまあ……」

「そうか。寂しくなったら、いつでも帰ってきてもらっていいんだ。嘉世子とわしと電蔵がいる家だから、辛いことなんてない。一度来たら、もうお前の家なんだ、ここは」

 雰囲気がよくなってきたところ、電蔵は自分を指差して久三に尋ねた。

「……オレ、邪魔か?」

「いや。そこにいていい」

「いつでも遊びに来ていいってことかよ」

「そうだ。いつでも来い。わしらが死んだら……お前たちにこの家をやる」

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