当初の目的を果たすために
「もういい」
「すまない。それでだな……お前さんにはこのことを話してしまった。なら、どうなるかわかるな?」
「ジジイのとこに連れてくるって意味だろ」
自信に満ち満ちた顔で友青は言うが、見当外れな答えだ。
「……うーむ。妙なところで頭が働かんやつだな……」
「うるせえよ」
「王様のところに一緒に来てもらう。久爺さんはついでだ」
「ついでかよ!」
「お前さんのそれ、つまらんぞ。普通のことしか言ってない。もっと面白く突っ込め」
「突っ込み待ちだったのかよ……」
「オレだってたまにはボケるんだ」
「いつもボケてるんじゃないのかよ」
「お前さんはいつも突っ込んでるな。悲しき性だな……ツッコミは嫌われる傾向にある。揚げ足取りをすることになるからな。ボケは好かれる。ボケはいるだけで面白い」
「好きで突っ込みやってるんじゃねえよ。こういう性格なんだよ」
「難儀な性格だなァ」
「……だから悩んでんだろ? 俺だって、変わりてえんだよ」
「変わる努力をしているのか?」
「……してねえけど……」
「ならオレの言うことを聞け」
「オマエこそ言い方に気を付けろよ!」
口喧嘩に発展しそうになり、電蔵は友青に待ったをかけた。それから考え込むような仕草になって、電蔵は呟く。
「……む。そうだな……オレも気を付けた方がよさそうだ……」
人に物を言う前にまず自分の欠点を直せ、とはよくいったものだ。
言われて気が付くのはあまり褒められたものではないが、気づかないよりはいい。
「自分の行いを……」
電蔵はまた自身の手を見つめ直した。握ったり開いたりしてみる。
「なあ。オマエさ、なんで俺にこんなにしてくれるわけ」
「なんでと訊かれても困るな。王様に言われたからだ。オレがお前さんを連れていくために仕方なく接している。そうでなければ、お前さんみたいな情けなくてだらしなくて口の悪い男のクソガキは相手にしないぞ」
「……すげえ毒舌……」




