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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第四章 電蔵と役目

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暴走する力

 電蔵は目を逸らして逃げるように背を向けた。出口まで歩いていき、友青を待つ。

 待ちながら、なんだか気分が悪くなったので片目をつむって耐える。

「どうしたんだ、オレは……」

 電蔵は自身の胸を押さえた。苦悶くもんの色を浮かべ、中腰になる。額に汗が噴き出て、呻いた。途切れ途切れになる息。周囲の者が電蔵を心配するように見た。

「ハッ、ハッ……」

 握り潰すかのごとく、胸を乱暴に掴む。かきむしるように、強く。

 瞳から光が失せる。瞳が激しく揺らぐ。心臓の音が激しく脈打っているのだろう。

「……ぐ……」

 電蔵の感情の変化によって、幾度となく暴走してきた電蔵の力。それが更に強大になり、電蔵の身体をむしばんでいく。心も身体も支配する。

 まるで、力が心を持っているように――、


「……紫水?」


 友青が紙パックのジュースを飲みながら電蔵に声をかけた。すると、電蔵は目を見開いて息を深く吸い込み、整えた。友青が来たことにより、激しい動悸は止まった。

「……ああ……待っていたぞ」

「わりいな、待たせて」

「悪いな、本当に」

「それよりオマエ。さっきどうしたんだよ。持病の悪化か?」

「そんなもんだ」

「若いのに大変なんだな」

「お前さんが気にすることじゃない。若いのに苦労しているのは、お前さんの方だぞ、少年。友達が一人もいないなんて、人生寂しいじゃないか」

「う、うるせえよ……オマエがいるじゃねえか」

「オレを数に入れるのか? まあいいが……それでいいのか、お前さん」

 電蔵が自分を指差してキョトンとした顔をする。今まで仮の友達だったのに、随分と進歩したものだ。それだけ友青が電蔵になついているのだろう。

 電蔵はにまにまと厭味いやみったらしい笑みで答える。

「できれば、小学生の友達が欲しいよなァ」

「……くそっ」


 友青が電蔵を友達として認めたので、久三との約束を果たせることになった。

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