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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第四章 電蔵と役目

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封印が弱まってきている

「静電気? そうか……限界なのか?」

 電蔵はズボンのポケットに触れた。カードに封印されし電蔵の力が、徐々に強まってきている。封印の力が弱まっているのだ。

 つまり、王様の力の強さと電蔵の力の強さが逆転しつつある。

 雷貴として生まれた頃よりも、もっと強くなってしまう。そしたらブラックスフィアはどうなるのか。電蔵の力はなんのためにあるのか。王様の涙の意味が、明かされる頃には電蔵の役目が果たされてしまうのか。

 電蔵は自分の手をじっと見たまま、何も喋らなかった。

「おい」

「ん?」

「後ろ。詰まってるぞ」

 友青が後ろを振り返ると、電蔵もそちらを振り返る。順番待ちをしている児童らがたくさんいた。

「……すまない。少し考え事をしていた」

「こんなとこで考え事かい? そんなに悩むほど品揃え豊富でもないんだけどねえ」

 四十代くらいの女性が、電蔵が頼んだ紙パックのジュースを差し出す。電蔵はそれを受け取って軽く笑った。その笑い方は哀愁あいしゅうただよっている。

「そうか。だが、お前さんたちの顔は豊富だな」

 ずらりと横に並ぶ多種多様の顔を見て、電蔵が放った言葉。貶しているようにも聞こえるが、女性たちは顔色を変えなかった。まるで言われ慣れているかのような対応。

「そうかいそうかい。それはよかった」

「ブーちゃんからガリちゃんまでいるからねえ~」

「……人間は、本当にいろんな顔があるんだな」

 魔種として生まれた電蔵たちの顔には種類があまりない。色はこの世界よりもたくさんあるが、全てが循環しているブラックスフィアでは、オスもメスも似たようなものが生まれる。だから何度も生を受ける種もいるのだ。雷貴や電神のように、同じ姿でまた違った生を歩むこともままある。

「おかしなことを言うねえ」

「あら、ホント」

「……変な子ね」

 段々と目の色が変わってくる。よからぬ色へと。

 電蔵はハッとして口元を覆った。異世界の者としてこの世界の者を見てしまう。そんな電蔵の言動が異質だと周囲の大人は気づくのだ。頭のいいこどもも。

「……すまん。オレは……口が過ぎるようだ」

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