電蔵はこどもっぽい
「なんだ。粉塗れにされなくてすむのか……」
「粉被ったら、余計に髪が白っぽくなるよな」
そう言われてカチンときたのか、電蔵は無表情で友青を親指で差した。
「先生とやら。こいつにお仕置きしてくれ。こいつは口が悪い。制裁を加えてやらないと、直らんかもしれん。甘やかしてはいけない。王様みたいになる」
「ん……何かあったか? 二人は仲いいよな」
「何もねえよ」
電蔵は腕を伸ばして友青の頬を抓った。優しくはない。
「いててて! いてぇよ、バカ!」
「お前さんの口の利き方がなってなさすぎて、オレにまでとばっちり来るだろう」
「はんはんはひょ」
「何を言っている?」
「ほはへほへへは」
「紫水ー、お前の所為だと言ってるみたいだぞ?」
「オレの所為か。それはすまん。まあ許せ」
電蔵がぱっと手を放すと、友青の頬は少し腫れていた。
「……」
友青は頬を擦りながら電蔵を睨みつけた。
「なんだ?」
「……なんか、あちいんだけど」
「あちい? 主語か?」
「熱いってことだよ。じじいかよ、オマエは」
苛ついた顔で友青がごちる。
「ジジイとはなんだ。オレはこれでも成人してないんだぞ」
「どう見ても成人してないように見えるけどな」
「成人が小学校に来ちゃいけないな?」
先生が核心を突いた一言を言えば、児童らがどっと笑った。
「電蔵がオトナなわけあるかよ~」
「すっげえこどもっぽいじゃん!」
「……お前さんたちに言われたら、お終いだな……」
電蔵はがっくりと頭を垂れた。
それから電蔵たちは授業を受けた後、売店に行った。
「なあ、オマエさ……静電気出てる?」




