消えかける雷貴、そして電蔵はーー
「じゃから、わしは殺せんて」
「今の我の姿を見よ。我は進化した」
「……ぷふ」
オコジョのように愛らしい姿を見ても、笑いしか込み上げてこない。
「我は世界中のメスを悩殺できる」
「まさかのプレイオールドマンになりおった!」
ムューユは怒りのあまり、地面を叩いた。色々な語句が混じっていて、別物に聞こえる。
「……ああ……そんなことはどうでもいいんじゃった……。お主、電蔵の生まれ変わり、いや違う。電蔵がお主の生まれ変わりなんじゃろ? 何故存在できる」
「それは間違っていない……が、我の存在が消えかけている」
「さっき触れられなかったな。それがどうかしたか?」
「電蔵が我の化身として完全復活を遂げる。ということを意味しているが、どうかしたか程度の問題か。いいのか、それで。お前は救世のメスなのだろう」
「電蔵はお主と違って優しい心の持ち主じゃ。何も心配は要らんよ」
「さっきの電蔵を見ていなかったか? やつがどんな顔をしていたか、見たのではないか」
「昔のことはそう覚えとらんが、お主より怖かった」
「当然だ。全盛期の我よりも強くなる。やつはそういう運命にあるのだ」
「それはどういうことじゃ? 電蔵は……」
「そうだ。電蔵は――」
次の言葉を聞いた瞬間、ムューユは泣き崩れた。
一方、日本では――
時刻はおよそ夜の七時頃。
電蔵が食事の準備をしていると、バチッと静電気のような音がした。
「……ん?」
手の平から黒い電気が発される。
電蔵の目に暗い影が差す。それはこれからの未来を黒く塗り潰すものなのか――、
果たして。




