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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第三章 王様とブラックスフィア

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愛くるしい生物と出会うムューユ

 同じ場所をくるくると走り回る生物を目で追っているものの、顔つきは深刻になっていった。

 生物はしっかりとムューユの姿を瞳に映していた。

「キュ」

「うーむ。可愛い……連れて帰りたい……」

「キュキュ」

「わしの言葉に反応しとる?」

「キュキュキュ」

「ピカピカに掃除してくれそうな音じゃな」

「キュ」

 生物が首をかしげるように身体を傾けた。ムューユの言葉がわかる生物。

 先程王様が、頭がかゆいと言っていた。それとは関係がないのだろう。この生物はこの世界に存在しているものではないと断言できる。なんらかの方法でこの世界に来てしまったのだ。

 すり抜けてしまうのは、多少疑問が残るが。

「お主、どこから来た?」

「キュ」

「ブラックスフィアの言葉はわかるんじゃな」

「キュキュ」

「キュの回数は何を意味するのか。さっぱりわからんぞ。電蔵、電蔵。やーい」

 口の両端に手を添えて、ムューユは大声を出す。メガホンを使ったところで、電蔵はここへは来られない。庄時の不安定な術でここへ来てしまったのだから、二度同じ世界へは来られるはずもない。庄時の所在もわからないのに、どうすることもできない。

「……電蔵……」

 なんの前触れもなく、生物は突然二足歩行になった。まるで人間のように。それから、あの懐かしい声がつぼみのような小さな口から出た。

「ふん。相変わらず面倒なメスだ」

「その声は……!」

「久方ぶりか、救世のメス。ざっと百年クラスか」

「な、お主。雷貴か? なんじゃ、その姿は」

「我にもよくわからんことだ」

「あんな邪悪な雷貴が……そんな愛らしい姿になりおって……ふはっ、いたわしい……」

「笑っているな、笑っているだろう。もうお前を殺すしかあるまい」

 生物の雷貴は、ムューユの肩が震えて声を出してしまったことを見逃さなかった。

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