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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第三章 王様とブラックスフィア

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消滅する雷貴、落ち込むムューユ

『ゲームの王様だと? そんなもの、なってどうする』

『面白いものは好きだ。私の考えたものを試したい。どうなるか、楽しみだ』

『雷貴様。その者の言葉に耳を傾けてはならない』

 部下が間に割り込んで、雷貴を説得する。

 雷貴が部下を制して、一歩前に出てムューユを見下ろした。

『記憶は消さない。我は長く生きる。お前よりも長く』

『王様のお遊戯あそびだな』

 ムューユは腰に手を当てて、胸を張って堂々としている。

『我がお前なんかに負けるはずないだろう』

『そうやって自信満々な王は、いつも負けを見る。吠え面かいても知らないよ』

『必ず負かす』

『意外とこどもっぽくて、楽しいぞ』

 雷貴とムューユのゲームが始まった。ムューユは雷貴に惹かれていき、雷貴はムューユのことが気になっていた。傍目はためで見ていれば、なんともやもやした気持ちになるのかと庄時は胸を押さえていた。電蔵と王様が恋愛ごっこをしているように見えるのだ。

 雷貴は王として最後の決まりを作った。ゲームに始まり、ゲームに終わる世界になるように、システムを改竄かいざんしたのだ。ゲームをしなくなれば、この世界は消滅する。雷貴の黒い雷によって、世界は終焉を迎えるのだ。それをムューユが知るのは、百年後のこと。

 こうして、雷貴とムューユのゲームの世界が誕生した。

 しかし、雷貴は数年後、役目が果たされ、死亡した。その時、雷貴は失意のあまり、呪いをかけたのだ。役目を果たして苦しんで死するのが嫌だった雷貴が、役目を果たした者を消滅させる呪いをかけた。結果、そうなってしまったのだ。

『我はいずれよみがえる……一度は世界を掌握したのだから……いずれまた……』

 それはムューユに大打撃を与え、今も尚苦しめている。

 この世界は一度崩壊した。取り残されたのが、ムューユだけになってしまったのだ。

『雷貴……酷い……何故そんなことを……』

 ムューユは玉座から一歩も離れなかった。泣いてばかりいて、情けない姿をしていた。

 それを無言で見つめる庄時。

『私はお前が大好きなのに……』

 毎夜泣き明かすムューユ。ゲームをしなくなり、ブラックスフィアは消滅の危機。

 庄時は不甲斐ふがいないムューユに喝を入れたい気分になっていた。

「何してるんだよ、王様……!」

『雷貴……会いたい。会いたいよ……』

 手を差し出すが、くうを掴んでいるだけだった。

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