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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第三章 王様とブラックスフィア

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雷貴とムューユの勝負


 城内はもぬけの殻……ではなかった。そこには赤桃色の長髪をなびかせた者がいた。

 現在の王様、ムューユ・パルヒャネラだ。髪は括っていない上に、背も更に低い。ボロボロの布きれを羽織っていて、肌も灰でくすんでいる。

『雷貴。まだ私が生き残っているよ』

 話し方も声色も若い。恐らく、百年以上前の出来事なのだろう。

『……何? お前は……』

『私はムューユ・パルヒャネラ。私はちょっと特殊で、お前の力にも当てられることはないよ。お前の考えたゲームというのは面白いな。……しかし、戦争か……。戦争は悲しい。私はあまり好きじゃない』

『それがどうした』

『私が新しいゲームを考えよう。もっと面白いゲームだ』

『聞く耳持たん』

『まあそう言うな。誰もお前を殺せはしないさ』

 ムューユはニコッと優しげな笑みを見せた。

『……話はそれだけか。ならば、消えろ』

『だから、言ってるじゃないか。私は力で消されることはないと。突然変異を知らないか? 私はオスを生み出せるんだよ。その代わり、大きな力はない。戦いには向かない』

 雷貴はピクリと眉根を動かした。戦えないメスであれど殺すのに、何故か。

『……突然変異?』

『そう。私はブラックスフィアに愛された存在。救世きゅうせいのメスとして名を馳せることになるだろうね。母として、この世界に君臨すべき存在なんだよ、雷貴』

『そのおかしな名には、意味があるというのか』

『おかしな名とはなんだ。可愛いだろう?』

『馬鹿な!』

 雷貴が笑い飛ばせば、ムューユはムッとした。

『お前と私で勝負をしよう。私はお前を殺せない。お前も私を殺せない。ならば、どちらも頂点に立てるということだ。お前と私は記憶を消し、あるべき姿に戻るんだ。この時代を知らない者になる。私とお前、どちらがこの世界を支配するに相応しいか……ゲームで決着を付けようではないか』

『そんなものに乗るとでも?』

『乗らないのか? それは面白くない。お前はゲームの王様になるのだろう?』

『そんなつもりはない』

『それなら、私に譲れ。私がゲームの王様になる』

 ムューユが横柄な態度で手を出す。

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