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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第三章 王様とブラックスフィア

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雷貴(らいき)の大勝

『電神と名付けたのは間違いだったか……』

 紫電を黒雷で弾き飛ばした。パリパリッと音が発され、すぐに消えた。

『雷貴……お願い……』

『断る。我らオスから生まれたメスが、何故オスに逆らう。ことわりに反するのか』

『……いずれ……メスからオスが生まれる……希少なメスが……この世界を支配するようになる……これは、古くからの言い伝え……』

 ポワポワとした白い光に包まれて、電神が消えた。電神が消えても、雷貴はに落ちない様子だった。電神の言葉が気に食わないのだろう。

『……我を止められないのに……?』

 雷貴は惨憺さんたんたる光景を目の当たりにして、狂気をはらんだ笑みを浮かべた。

 首と形の残らない黒い灰のみ。建物は全て灰に帰した。雷貴と雷貴を慕う者たちがメスを滅ぼしたのだ。勝利の雄叫おたけびを上げる雷貴の部下。これで、雷貴がこの世界の真の主となったのだ。反対する者はもういない、と。

『雷貴様万歳!』

『勝利だ! 我らは勝ったのだ!』

『祝杯だ!!』

 ずっと黙って見ていた庄時は、口元を押さえた。泣きそうになっているのではない。えづいた。

「……気持ち悪りい」

 この有様を見て、何も思わない者がいたとすれば……それは恐ろしいことだ。ここにいる者たちは何も思わないのではなく、喜んでいる。同郷の者を殺して、喜んでいる。

 ここで何か言っても無駄なのだろう。誰も聞き入れはしない。

 争うことが残酷なのだと庄時は知った。あの憎しみが、電蔵を殺害することになっていたならば、どうなっていたか。そうならなかったのは奇跡だった。

 もし、憎しみが殺意に変わっていたら、雷貴たちと同じになってしまう。

「俺は……とんでもないことを……俺は最低だ……」

 電蔵を妬みそねんでいた自分を激しく責めている。

 しかし、雷貴と電蔵の関係はまだ明らかになっていない。電蔵が雷貴の生まれ変わりだとしたら、殺した方がいいのではないか。せっかく理解できたのに、苦しい結末だ。

『さて、王城に戻るか』

 マントをバサッと翻し、雷貴が先頭切って歩き出した。わらわらと集まっていく部下。

 無傷での勝利。すなわち、大虐殺。一方的に殺しを行った。残酷で非情な仕打ちだ。

 庄時は私情を挟まないように、十分に注意した。全ては真実を知るために。

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