庄時、過去の電蔵らしき人物に出会う
電神は有無を言わせぬ眼力で、庄時を服従させた。幼いながらも、この威圧感。只者ではない。この世界ではメスが上位。王様の言うことは絶対。
「……留守番、頼んだ」
「えらそう」
「留守番を頼む」
「さっきとほとんど変わってない」
「どうしろって言うんだ」
「お守りをお願いするでいい」
「おもられるのは、お前の方だ!」
おもられるという言葉はない。
庄時も王様と同じ過去に向かった……つもりだった。
庄時がワープした先は今とほぼ変わらない世界。ワープに失敗したのだ。
今の王様がいない世界だ。庄時がいる場所は王城の中だが、見たことのない者ばかり。
「嘘だろ……」
失敗したことなど、今までになかった。さっきも恐らく成功したはずだ。
庄時の姿を視認することもなく、王城にいる者たちが忙しなく働いている。声をかけても反応がない。当然だが、過去に干渉はできない。
「……ここは一体、どの時代だよ……」
庄時は深いため息をついて、城内を歩き回った。内装は変わっていない。王室に入ってみようと思ったら王城の者がドアをノックした。中からオスの声が聞こえた。
「……オス?」
『王様、失礼する』
王城の者がドアを開けたので、庄時もこっそり後をついていった。
『なんの用だ』
肘をついて、組んだ脚を投げ出している、斜に構えたこの時代の王様。
水紫色の髪、赤黄色の瞳。柔和な顔立ちをしたオス。ゴージャスな王冠を被り、身に着けている服も王様らしい服だ。ファーつきの赤いマント。白い軍服のような服。ステッキまで手に持っていた。絵に描いたような王様っぽさに、愕然とし、驚愕する庄時。
「……電蔵!?」
庄時が叫んでも、相手は認識できない。目の前の事象は過去の出来事を辿っていく。
『はっ。王様のことを調べている者がいるとの模様』
『あのメスどもか……』




