ブラックスフィアの謎
庄時は顎に手を当てて、考え込んだ。
「ブラックスフィアのことは……今でも謎だ。わからないことはたくさんあるぞ。わしらが何故こんな力を持っているのか、何故黒いもので覆われているのか、何故人間に知られてはならないのか……何故メスが支配し、オスが消滅する運命なのか……挙げればきりがない。この世界は謎が多すぎる」
「代々王様に語り継がれてきたことなんじゃないのか?」
「わしの代には語り継がれていない上に、わしの記憶では……先代も知らんじゃろうな。この世界には謎が多いということじゃ。わしらが生まれたのも解明されておらん。何故なんだろうな……このゲームの世界が生まれたわけは」
「何故だろうな」
「庄時も一緒に考えてくれ」
「俺でいいのか?」
「ふひゃひゃ。今はお主しかおらんじゃろう。なんだ、急に。自信なくなったか?」
王様は下卑た笑い方をして、庄時を見据えた。
「いや、そんなつもりはなかったが……咄嗟に出てしまったみたいだ」
「お主の力……どこにでも行ける能力があれば、過去にも飛べるかもしれんじゃろ」
「……そんなことは、考えてなかったな」
「お主の力、使わせてもらうぞ。ブラックスフィアの解明のために」
「失敗したら、戻ってこられないかもしれないが、それでもいいのか?」
「失敗のことを考えていたら、前には進めんよ。まずは成功のイメージからだ。さ、使え」
「時折心にくる言葉を言うよな、王様は……」
「なんじゃと? わしはいつもいい言葉を言っとるのに!」
王様は庄時の胸をポカポカと叩いた。力のないパンチ。庄時は微動だにしなかった。
王様は玉座から一歩も動けない。今回はワープさせる対象が王様なので、玉座の周りを取り囲むように円を描いた。今までは場所を移動するだけだったのに、時と空間までも歪ませなければならない。
庄時はどうやってそれを導き出すのか。
「できそうか?」
「わからない。けど、やってみる」
「そう聞いて安心したぞ。必ず成功する」
「根拠のない自信だな。王様らしいと言えば、らしい」
「庄時は、らしくないな」
クスリと笑う王様の顔をチラッと見て、庄時は口上を唱えた。




