王様は寂しがり屋
「王様。わたしがブラックスフィアを守る」
ブラックスフィアでは、一週間が経った。
電蔵と会えないことがストレスとなり、王様は目の下に隈を作っていた。
「電蔵成分が足らん……足らんぞ、庄時ぃい」
「俺の成分吸ってけよ」
庄時が王様の元に駆け寄り、手を差し出した。
「叶わぬ恋か……。それもまたいいな……」
「なんの話だ?」
「庄時、お主、わしのことが好きなんだな。愛しいんじゃろう。なあなあ~」
「そんなの、当たり前だろ。母親として好きなんだ」
庄時がはっきりと言いきったので、王様は驚いて真っ赤になった。
「ななな、何! お主、電蔵も言わぬようなことを面と向かって……」
「そうかよ。電蔵が言わないんなら、俺の方が王様の側近として相応しいってことだな」
庄時はまだそんなことをうそぶいていた。
「今は側近として認めてやってるではないか。まだそんなこと言っとるのか」
「いつ辞めさせられるかわかったもんじゃないからな。王様は電蔵大好きなやつだっていうのは、もうみんなが知ってることだ。あいつが戻ってくれば、すぐに俺たちは元通り」
「安心せい。暫くは戻ってこんよ」
「何故そう言いきれる?」
「わしがそうさせたんだ。やつを破門したも同然。戻りたくても、暫く戻ってこれん」
「なんでまたそんなことを……」
「ちょっと喧嘩になってな」
「……」
庄時は王様をギロリと睨んだ。蛇に睨まれた蛙のようになる王様。
「何、バカやってるんだよ」
「そう言うな」
「だって、そうだろ。なんで大好きな息子を傍に置いておかないんだよ。バカだろ。絶対間違ってる。それはやったら駄目なことじゃないのか?」
「う……」
王様はこどものように言葉に詰まって、俯いた。




