キャラ付けする電蔵
「どっちも一緒だろ!」
うが入るか入らないかで大きな違いがある。漢字で書くのと平仮名で書くのとでも、そうだ。感じ方が変わる。言葉とはそれだけ不思議なものだ。
「お前さんは愉快なやつだな」
電蔵は久三に言われたことを友青に言った。
「俺が愉快……?」
「ああ。面白いぞう」
「オマエ、その喋りハマってんの?」
はまるという言葉は元々、悪いことに使う言葉だったが、昨今では好きになるという意味で使われている。マイブームと同じような意味になっている。
「そうだな。中々使いやすい。このキャラでいこうと思う」
「キャラって……」
「キャラ付けをしておけば、役割がわかりやすいだろう。宴会でも腹踊りができるキャラというのは、美味しいところを持っていくものだ。な、そうだろう」
「小学生が宴会とか行かねえし」
「ならなんだ。クラス会か?」
「……呼ばれたことねえ」
「そうだったな。お前さんはそういうキャラだった」
「好きでやってるんじゃねえよ!」
「もっといいキャラになるぞ」
ここから、電蔵指導による友青の青春の一頁が刻まれる。波乱の日々が幕を開けた。
友青は落ちこぼれから脱却できるのか――。




