誤った解釈を正す
電蔵は王室を出た後、また情報収集に出かけた。何度も聞かされたので、今度はもう間違えない。明瞭に発音し、息子たちに聞き回った。
「ショタ? それはナニか? 人間の食い物か?」
「いや。人間のことらしい。若い女子が好きな男子というのはわかっている。下品な男子というのもわかっている。しかしそれだけでは連れてこられない」
「なるほど。その男子を特定したい……というわけだな」
「ああ。わかるか?」
「わからないが、地球の国に行って見てみればいいんだろう」
「王様に頼めばいいんじゃないか? 王様なら見えるはずだ」
「そうか。ならお前がしろよ」
「……おお! そうだな」
「頼られ慣れてる割に気づかないんだな、お前って」
「あまり頼られたくないからだなァ」
王様の息子と笑い合った。電蔵はハァと溜息をつき、王室へ足先を向ける。
ポンと肩を叩かれた。王様の息子は白い歯を零す。
「でもたまには俺にも頼ってくれと王様に言っといてくれ」
「了解。伝えておく」
電蔵は手を挙げて応えた。
王室に行くと、王様が目を閉じていた。玉座に座ったまま、集中しているのだ。
「……」
「……見えた」
カッと目を見開いた。迫力のある目付きだ。
「見えたのか、何が」
「この者はショタではない……! 何故だ、何故ショタが見えないい」
「何を見ているんだ……」
電蔵は額を押さえた。王様の挙動に呆れを隠せない。
王様は一束の髪を揺らし、電蔵に向き直った。豪快な所作で人差し指を突き出し、王様は満面の笑みを浮かべる。
「ショタが何かわかったのだ!」
「おお。それは凄い。なんなんだ?」
電蔵は拍手を送った。王様は王冠を触って、照れ臭そうにしている。
「ショタとは人間の男であり、年若いものである! これが正解じゃ!」
「ほう。若い男か……何歳くらいまでだ?」