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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第二章 落ちこぼれと青春

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覆水盆に返らず

「オレが小学生じゃなくて、何がいけないんだ。何も悪いことなどないぞ? 小学校にでっかくて古いお兄さんが来ても、損することなんかないだろう。金だってがっぽりふんだくれる。経営者は大喜びだ。目がドルになるぞ」

「開き直るなって」

「やっぱり電蔵、小学生じゃなかったんだ」

「いけないんだー。ちゃんと高校行けよー」

「見た目で言えば、オレは高校生なのか。へえ」

「高三くらい?」

 友青が電蔵にそう言うと、クラスメイトたちが電蔵にこっそりと耳打ちした。

「ねえ、なんで話に入ってくんの?」

「少年が、か?」

「なんかウザイ」

「そう言うな。お前さんたちと仲良くなりたいんだ」

「電蔵とだけ話してるじゃん」

「コミュニケーションが下手なんだ」

 電蔵たちが内緒話している様子を、苛々しながら友青は眺めていた。

「……んだよ……。言いたいことがあるなら……面と向かって言えって」

「仲良くなりたいなら、こっちに来て話せ。じっと座ってないで、こっちに来い」

 電蔵が手招きして友青を呼び寄せる。

「仕方ねえな……」

 友青が席を立つと、電蔵の周りにいたクラスメイトが散っていく。友青から逃げた。

「……ふぅ」

 電蔵が困ったように息を吐いた。彼らは友青と仲良くしたくないのだろう。

 残酷な仕打ちに、友青は唖然あぜんとした。一度壊れた人間関係を修復するのは、不可能なのか。覆水盆に返らず、人は他者を退しりぞけ、人を惑わせるのか。深い傷を刻むのか。

「…………」

「お前さん、随分嫌われてるな」

 口も利いてもらえないというのは、言葉も交わしたくないということ。

 友青が何をしたのか、電蔵は気にかかっているようだ。

「オマエが余計なことしたから……また俺は……」

「そうだな。その通りだ。オレはもう余計なことはしないようにする」

「……そ、そんなつもりじゃねえ……」

「どんなつもりだ?」

「ありがとよ」

「ああ……いいぞう」

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