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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第二章 落ちこぼれと青春

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泥でできた助け舟

「それにな。仮にも同じ人間が、他者を物扱いしてはいけないぞ? お前さんがもし、誰か好きな人間に物扱いされたらどう思う? 嬉しいか? お前さんは今日から人間じゃないぞ、って言われたら……悲しくはならないのか? ん?」

 電蔵はクラスメイトをさとすように問う。クラスメイトたちはうつむいて、黙り込んだ。

「悲しいよな」

 電蔵が再び問いかけると、クラスメイトたちはコクリと頷いた。

「だったらお前さんたちもしないようにしなきゃな。あの少年のことが嫌いでも、物扱いはやめるんだ。ちゃんと一人の人間として、接するようにすれば……ちょっとくらい、いいところが見つかるかもしれん」

「せっするって何?」

「ん……そうだなあ……応対する?」

 言い換えると余計に難しい言葉になってしまい、更に深堀ふかぼりの質問を食らう電蔵。

「電蔵って絶対、小学生じゃないよね」

「そんな難しい言葉知らねえし」

「少年なら知ってると思うぞ。そら、見ろ。こっちを見てる」

 ん、と顎を突き出し、友青の方を見た。クラスメイトもつられている。交錯する視線。睥睨へいげいするクラスメイトたち。電蔵の泥でできた助け舟が、友青を苦しめる。

 友青はうっと唸った。

「対応の対語だろ……」

「ついごってなんだ」

 電蔵が訊ねる。

「反対になってる語ってことだろ?」

 難しい言葉を知っているが、友青の答えは間違っている。「ついご」または、「たいご」は語句の意味が反対になっている語として認識されている。対義語と同義。この場合、対応と応対は入れ替えた語なので、間違っているということである。それを正せる知識を持った者はいない。

 先生ですら、説明することができないようだ。国語の先生ではないことが原因か。

「とにかく、オレは難しいことはよくわからん。訊くなら、少年に訊け」

「えー。やだ」

「我儘を言うな。王様か」

 最早口癖になっている。王様が好きすぎる電蔵だった。

「いいよなあ、キング! カッコイイぜー」

「惚れるよなあ」

「そうか……お前さんたちはああいう王様が好きなのか……」

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