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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第二章 落ちこぼれと青春

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友青は電蔵の友達

 友青は人知れず声を漏らす。いじめられる理由も、ともすれば理解できるはずなのだ。

 こどもは他者の気持ちに敏感。自分たちが見下されているとわかれば、さげすむのも無理はない。

 そんな友青の気づきをよそに、早速電蔵はクラスメイトに絡まれていた。

「今日から十二歳だって~」

「紫水くん面白いー」

「電蔵でいいぞ」

「電蔵でいいぞう?」

 男子がからかうと、電蔵はノリのいいお兄さんのように、返事をした。

「そうだぞう」

 丁寧に象の真似までして、クラスメイトを楽しませた。電蔵は誰とでも仲良くなることができるのだ。根は明るく、素直で快活だから、大多数に好かれる。電蔵が好かれていないのは、能力の高さゆえだ。能力がなければ、嫉妬に狂った奴らに嫌われることもなかっただろう。

 持っている者ゆえの悲しみは奥深く、心は深淵しんえんに沈む。

 持っていればいい、なんて単純な考えは、捨て去るべきなのだ。嫉妬の炎に勝ち続けられる精神力があれば、そんな考えを持ち続けてもいいかもしれない。人間は儚くも美しいが、恐ろしい生き物。

 電蔵を見ていればこう思うようになる。才能は少ない方がいいのだ。

 完璧を求めてしまうようになれば、苦しい。失敗を受け入れられなくなる。

 電蔵は笑っているが、そんなことを胸のうちに秘めているのだ。かすかに、疲弊ひへいの色が見て取れる。

「なー、電蔵。お前さー、あれと友達?」

「あれ? あれとはなんだ。物か?」

「あれだよ、あれ」

 クラスメイトが指を差したのは、友青だ。友青は人間扱いされていない。

 友青が驚いて顔を上げると、電蔵がじっと見つめた。友青は心臓の辺りを押さえた。何を言われるのか、おびえた表情で。

 電蔵は友青の気持ちを察したような目をして、クラスメイトにはっきりと言った。

「友達……そうだな。友達だ」

「ええーっ! まじ? あれと友達とか……」

「やめた方がいいよ。あんなのと友達になったら……電蔵までいじめられるよ?」

「いじめか。そんなのには慣れている。お前さんたちが気にすることじゃない」

 電蔵はしゃがんで頭をポンポンと撫でた。女子が喜んでいる。

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