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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第二章 落ちこぼれと青春

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自分の殻を破る

「虫が喋るわけないだろ?」

「だよなー。やっぱ、勘違いだな!」

「俺は虫なんかじゃねえし。単細胞なのはオマエらの方だろ!」

 怒り狂うように叫び、友青は男子たちに殴りかかった。一発目は綺麗に入ったが、取っ組み合ってからの殴り合いの喧嘩には負けた。だが、友青は満足だ。初めから負けるよりいい。これで勝てるだろうか。現実に負けていないだろうか。

 顔も身体も痣だらけになって、服もボロボロ、髪もぐしゃぐしゃになった。

 そして呼び出されて先生に怒られる。その後に先生に事情を説明すれば、友青の言い分を聞き入れてくれるのだ。先生が味方になってくれるから、友青のいじめも終わらない。友青もそれをわかっていて、先生に甘えている節もある。

 依怙贔屓えこひいきだと男子たちはぶつぶつ文句を垂れていた。

 手を出した友青が悪いが、原因は男子たちにある。なので、文句は言えないはずだが、小学生は基本的に感情で動く。理屈を説明したところで、理解しようとしない。理解できるやつは、初めからいじめなどに加担しないのだ。噛み砕いて説明しなければならない。それを説教だと受け取り、聞き入れようとしなかったりもする。

 こういったいじめっ子は、先生たちの手に余っているのではないだろうか。

「……先生。助けてくれてサンキュな」

「おう。今度は殴らないように。言葉で勝負するんだ」

 先生は拳をぎゅっと握り締め、ガッツポーズをした。

「……でも男は、喧嘩が強くなきゃ女にモテないんだろ?」

「じゃあお前はモテないな。もっと強くなれ!」

 先生は豪快に笑って友青の肩を何度も叩く。力強く叩かれ、友青は肩を押さえてうめいた。

「おっと。悪い。まあ……なんだ。頑張れよ!」

「……そうだな……頑張るぜ」

 力のない笑みを浮かべて、友青は先生の拳に拳を当てた。


 友青が教室に戻ると、クラスメイトが恨みがましく睨む。友青は少しばかりひるんだが、持ち直す。拳を握り締め、自身の席にドカッと座った。もうクラスメイトの視線など気にしない、と言わんばかりに。彼は強くなったのだ。いじめにも負けない強い男になる。もう落ちこぼれから脱するのだ。

「俺は負けねえ……」

 負けじとクラスメイトを睨み返した。クラスメイトは友青の反撃に驚きを隠せない様子。

 目力で相手を怯ませる競い合いが行われていたところ、先生が教室に入ってきた。

「今日は転校生を紹介するぞ」

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