表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第零章 王様と息子
5/104

ショーツではなく、ショタだ

「平べったい顔の女子が言っていたのか。それは下品な女子だ。平べったい顔の女子には近づかぬようにしなければならんな。電蔵、忠告感謝する」

「ああ……よくわからんが、どういたしまして、だ」

 王様の息子、といえども電蔵とは血が繋がっていない。否、血などというものは電蔵たちの身体に流れてはいないのだ。

 王様は出産したのではなく、力によって生み出したのだ。魔種と呼ばれるオスを。

 電蔵もまた、王様のように力によって生み出す。魔天種と呼ばれるメスを。

 オスによりメスが生まれ、メスはオスを生む。大量に生まれるオスは役目を果たせば、やがて消滅する。それにより、王様は古来よりメスと決まっているのだ。オスは王になれない。このようにして、王様と息子たちは相互関係を持っている。ここにいる王様は、もう消滅してしまったオスによって生まれたのだ。

「オレもやがて消滅する……」

 独り言を呟いて、電蔵は王室に戻った。

「おお、電蔵。戻ったのか。遅かったな。それでショタは見つかったのか?」

「その者が言っていたショーツというものは下品だ。頭に被るものだと羽也はやが言っていたぞ。王様は冠だけを被っていればいい」

「ハッ? 何を言う、電蔵! わしがそんな下品なもの、欲するわけなかろう! ショタじゃ、ショタ! わしはショタが欲しいんじゃ!」

「だーかーら。それが何かと聞いているのに。お前さん、何を言ってるんだ」

「お主こそ何を言っておる? ショタは恐らく、人間じゃ! 若い女子おなごが好きなものじゃ」

 王様は両手両足を出してこどものように暴れる。電蔵も主張したいことはわかった。

 電蔵は握り拳を口元に当てて、感心したようにぽつりと言った。

「ほー。若い女子は随分とまあ精力的な……」

「なんの話をしているんだ、電蔵……」

「下品な男子が好きなのだろう? そんなのを好む女子はやはり精力的だと」

「人間はそういう営みをせねばならんから仕方ないな。しかし電蔵。お主がそういうことに詳しいとは思わなかったぞ? 王様に隠し事か?」

 電蔵は目を細めて、見下すように仁王立ちした。電蔵が輝いている瞬間。

「はっはーん。王様こそ息子のことをよく知らないんだなァ」

「ぬぐっ……電蔵、わしに対する当て付けか……?」

 王様が悲痛な面持おももちで息を荒らげる。息子に責められて、王様は悲しそうだ。

 電蔵は満足げに爽やかな笑みを零す。本来の好青年っぽさを取り戻した。

「ははっ。おいたがすぎる我儘な王様には、いい薬だなっ」

「……ぬうう……わし、大ダメージ……」

 王様は胸を押さえてうつむいた。電蔵の笑顔にやられてしまったようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ