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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第一章 従者と少年

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消えて欲しくないから

「これでわかったか?」

「……つまり、王様がいないと本当に電蔵は何もできないんだな?」

「そうじゃ。力の解放もわしの許可がなきゃできない」

「俺と違って……」

「そうじゃな……お主たちはわしの許可がなくても、使えるものな。口上で許可を得たと言ってしまえば、いくらでも自由に使える……」

「……っ」

 王様の悲しそうな顔を見て、庄時は心が痛んだ。

「でもそれを悪いことには使うな。わしが見ているところなら、わしが責任を取る。じゃが、わしの見えないところで使えば、どうなるか……庄時、お主がよく知ってるな? 力を使う時と場所は考えなきゃダメなんだぞ。じゃなきゃ、二度と帰ってこれなくなる」

「……わかった……」

 庄時は王様に頭を下げた。

「……それと、やつのことはムカつくと思うが、気にかけてやってくれ」

「……なんで俺がそんなことしなきゃいけないんだよ」

「お主たちより目にかけていて悪い。じゃが、電蔵はお主たちより弱いんだ。強く見えるのは錯覚で、やつは苦労しておる。お主たちよりよっぽどな」

 王様の所為でもある。

「……なら、もう電蔵には頼るなよ。俺たちを頼ればいいだろ。なんで電蔵ばっかり」

「そうしないと……消えてしまうかもしれないじゃないか……」

 王様は髪を振り乱して、涙を飛ばした。水滴が舞う。

「……なんで」

「お主たちを放っておいても、お主たちは消えない。まだ役目を果たしていない。だが、電蔵はどうだ? わしが頼らなければ消えてしまうんじゃないか?」

「……」

「それが怖い……」

 愛しいからこそ、我が子が消えるのを見るのは辛い。王様の肩の震えは、そう物語る。

「俺たちだって、いつ消えてもおかしくないだろ?」

「そんなことはない。お主たちは必要なんだ。わしにとっても、この世界にとっても必要なんだ。それを証明されているだろう? 消えるはずない」

「……そんなの、なんでわかるんだよ」

「わかるんだ。我が子が消える瞬間、それを歴代の王は全て感じ取れた。そう聞いている。わしもまた同じなんだ……誰かが消える時、怖気が走る。それは尋常でない怖気だ。思い出すだけでも、気がおかしくなってしまう……」

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