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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第一章 従者と少年

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王様と庄時

 嘉世子が頷けば、電蔵はハッとしたように目を見開いた。タオルを握り締めて。

「そうか……」

 電蔵の声が震えた。



 ところ変わってブラックスフィア王室。時刻は夜の八時頃。

 王様は下界の様子を千里眼で見て、歯軋ぎしりした。

「……電蔵め……。新たな家族をゲットしおって……わしというものがありながら……」

 半ば破門をしたような形で電蔵を日本に行かせたのに、王様はそれを棚に上げて忌々しげに呟く。憎々しげに恨めしげに、瞳に映る電蔵に念を送った。

 王室のドアを叩く音がし、庄時が姿を現した。

「王様。俺を頼ってくれ」

「庄時か。構わんぞ。何か用か?」

 王様の物言いは酷く冷たいものだった。電蔵にはそんな言葉をかけたことはないのに。

 庄時は舌打ちをしそうになったが、こらえた。

「……王様は電蔵じゃないとダメなのか?」

「……そんなことはない。じゃが、わしは電蔵が大好きなんだ」

「俺のことは大好きじゃないのかよ」

「お主のことも大好きじゃ。でも電蔵は特別なんだ。なんでかわかるか?」

 王様の問いに、庄時は歯軋りをしながら答えた。

「……カッコイイからか?」

「お主もカッコイイぞ?」

 そんなお世辞はいいと庄時は言った。王様は世辞ではないのにと不満そうに口を尖らす。

「電蔵はな……お主たちより力を持ってる。生まれた時から……そうだったんじゃ。じゃが、やつは力を持っているからこそ、心がすぐ揺らぐ。力に溺れたり、慢心したりする。他の者からも羨ましがられ、恨まれる。落ちこぼれていないからこそ、心が弱いんだ」

「……言ってる意味が、わからない」

「要するにだな。奴にはわしがいないとダメなんじゃ」

「……」

「心が乱れてしまうから、力の制御ができない。そこでわしが考えてやった。力を封印するというやり方を、な。奴はカードを持ってるじゃろう? あれはわしが封印してやったんだ。わしがやつにかせをつけてやった。そしたら、身体から徐々に力を失っていった」

「……あ……」

 電蔵が持ち歩いているカードを思い出して、声を漏らした。

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