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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第一章 従者と少年

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少年とコミュニケーション

「日本語で喋れ。日本人じゃない奴は日本に来るなよ」

 態度も顔も可愛げの欠片もない男子が、日本語で電蔵に言い放っている。電蔵は彼の意図を理解できず、頭を抱える。しかし、仕草でなんとなくはわかるのだ。

「ああー。わからん。が。……お前さん、侮辱してないか?」

「くそ……オマエ、謝れよ。俺に当たったんだからよ」

 男子は言い逃れをするために、話を逸らした。その焦りようを電蔵は見逃さなかった。

「なァ、お前さん。いや、少年と言うべきか? 少年、王様に尽くすつもりはないか?」

「……何語だよ。意味わかんねえ。図体だけでかいからって、調子乗んなよ」

 拳を構えて臨戦態勢になっている。シュッシュッと口に出す。ボクサー気分なのだろう。

「……何かよくわからんが、戦って負けたらお前さんは王様に仕えるってことか?」

 電蔵は男子の態度をいいように捉えている。楽観的なところは誰譲りなのか。

 ズボンのポケットからカードを取り出して指に挟んでかざした。男子は素直に目を輝かせている。格好いいとでも言いたげで憧れている様子だ。

「オ、オマエ……中々やる奴か? 俺を……あざむくなんてよ」

「……よくわからんが、背伸びしているような台詞を吐いている。少年、恥ずかしいなァ。背伸びするほどお前さんはちっさいんだな。今に大きくなる。王様に伸ばされるからな」

 人のいいほがらかな笑みを浮かべて、電蔵は男子を励ます。しかし話が噛み合っていない。

 男子は警戒心を解いた。その代わり、さげすむような目で電蔵を見ている。

「……なあオマエ。変な奴だな」

「……やはりわからないか。オレもわからん。仕方ないな」

 電蔵はうなって指を鳴らした。最終手段を使うしかないと呟く。

「……なんだよ。びびるだろ」

 電蔵のいきなりの挙動に、男子はった。

 電蔵はカードを額に当てて、ぶつぶつと呟く。王様と交信しているのだ。

「王様。力を貸してくれ。日本語がわかるようになりたい。言語変換の力をくれ」

 電蔵がおかしなことをし出して、男子は不審に思っている。

 カードが黒い光を放つ。そこから声が漏れていることを、男子は感づかない。

「よし。聞こえた。やっぱり王様は頼りになるな」

 げんきんなことを言い出す電蔵は、いつもよりいい笑顔だった。

 カードの光が静まると、電蔵はカードをポケットに入れ直した。咳払いをして、男子を片目で見た。

「……あ。ん、んん。これでいいか?」

「……! ちょ、オマ、オマエ。どうなったんだよ、いきなり」

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