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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第一章 従者と少年

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文明の利器

 女性のうち一人が、小型の携帯電話を取り出して、指で操作し始めた。見たこともない機械を見て、電蔵はぽかんと口を開ける。

「ちょい待って。スマホで調べるし」

「お。それいい! ナイス!」

「美紀やるぅー!」

 気の利いた女性に手放しで褒めている他の女性たち。電蔵は出会ったことのない人種に出会い、戸惑いを隠せない。他の息子たちが話していた、日本人の女性の雰囲気とはかけ離れたものだった。やはり下品な女性なのかと電蔵は少しばかり顔を歪めた。

「日本人は大和撫子やまとなでしこ……まるで違う」

 大声で笑い、携帯電話をいじる姿を見て、電蔵はげんなりとしている。しとやかで美しい女性だと聞いていたばかりに、ショックも大きいのだろう。

「わかった。探すって意味」

「は? 探す? 探すって何を」

「人探しじゃないぃ?」

 女性たちは電蔵の顔を見もせずに、自分たちで盛り上がっている。電蔵はどこかへ立ち去ろうとすると、がしっと腕を掴まれる。女性たちは電蔵を繋ぎ止めるのに必死の形相ぎょうそうだ。

「待って。待ってください、お兄さん……」

「イケメン君、待てぃ」

「ね。ちょっと待ってって言ってんじゃん」

 電蔵は女性たちの威圧に押され気味になった。状態をいえば、引っ張られているが。

「……王様よりおっかない……」

 電蔵は日本人の女性の凶暴さに頭を押さえた。捕まった人物がたまたまギャルと呼ばれる女性だっただけだ。電蔵が出会った女性が品性の欠片もない女性だったとしても、日本人は礼儀正しく、根は勤勉。礼儀正しさは、初対面の相手に敬語で話したりするなどといった行為にも表れている。それらは世界に認められつつあるのだ。

 基本的には、日本人の女性はあまり派手好きではないと考えられている。茶髪も金髪も奇抜な髪色もところどころにいるものの、黒髪がやはり多い。スーツを着ている者は圧倒的に黒髪。イギリスには平べったい顔の人以外、黒髪はいなかった。

「またなんか言ってるぅ」

「ね。藍野あいの、あんた訊いてよ」

「えぇー。さっき勇気出して逆ナンしたじゃぁん」

「私が英語を喋れれば……聞くことしかできなくて……」

 三人で話し出す。電蔵はハァと溜息をついた。左手を出して、きつめの声音で言った。

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